ぬるい毒

著者 :
  • 新潮社
3.04
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本棚登録 : 929
感想 : 161
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  • Amazon.co.jp ・本 (133ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103017745

感想・レビュー・書評

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  • 人間の自意識が存分にえぐられていて、読んでいて居心地が悪い。でもそれがヒトの本当の姿なのだと思う。

    主人公の女の完全に独りよがりな目線で語られるがゆえ、多くの解釈の仕方がある。それを読み手に委ねる余裕を持たせた作品。

    真実は分からないし気分が悪くなる作品なので好き嫌いが大きくわかれそうだけれど、わたしは好き。ページ数は薄いけど、その分量とは思えない読後感。

    「悪いひと」として描かれた男が語り手だったら、と違うストーリーを妄想するのも一興かと。

  • 傑作!!これこそ本谷さんって感じ。
    なんか読み終わった後に「うわぁー」って言いたくなる感じ。
    やられてしまった、ぬるい毒

  • 向伊を好きになってしまって、でも向伊は自分を好きになってはくれなくて。ずるい。考えて考えて、いろいろやってみても、根本的に感じ方がちがうから効かないっていう。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ずるい。」
      そう思うと痛いよね、、、
      【紀伊國屋ホール】 劇団、本谷有希子(番外公演)「ぬるい毒」(2013年9月13日~26日)観に行け...
      「ずるい。」
      そう思うと痛いよね、、、
      【紀伊國屋ホール】 劇団、本谷有希子(番外公演)「ぬるい毒」(2013年9月13日~26日)観に行けたら観に行きたい。。。
      http://www.kinokuniya.co.jp/contents/pc/label/20130716141000.html
      2013/08/07
  • 最後の方で、主人公の口から「ぬるい」という言葉がでました。

    ああ、なるほど、そういうことか、と感じたときに、

    読んでいた自分は、すさまじいショックを受けました。

    タイトルが、作品世界そのものということです。

    「ぬるい」が故の本当の恐ろしさは、すごいとしか

    言いようがありませんよね。

    芥川賞3度目のノミネート作です。

    本谷さんの描く世界観が審査員にどこまで理解

    されるかと思いますが、素晴らしい出来です。

    受賞の有無とは関係なく多くの人に、

    読んでほしい作品です。

  • いままでの本谷有希子さんの小説のなかでも、小説らしいはなしだった。
    一気に読んでしまった。
    人間の憎悪と狂気に満ちた物語。
    とにかく向伊がいやなやつ。
    だけどそれも主人公の被害妄想なのかもしれないってところが狂気。
    あと味悪いよ、なかなか
    芥川賞受賞するかなぁ、どうかな。前作に比べると可能性高そうだけど。

  • 人にとって毒というのは不要な様で実は求めているもの。エロスに対してタナトスも本能であり、快感である。女性というのはイケメンにボロボロにされるのも本望なのでしょうか。

  • 最初の辺の向伊一味とのやり取りには、ものすごいモヤモヤイライラ感が募りました…
    その後のやり取りでも、モヤモヤイライラは続くのですが、ラスト付近の

    ━私は元気になった。元気になったというより、あれだけ侮辱されてもう立ち直れないだろうと思えた出来事だったのに、気付くと忘れていて、あの笑い声が自分に傷一つ残せていなかったのだと知ったから。━

    という所でスーっと清々しいような気持ちになれたので、良かった。
    相手に傷を与えるよりももっと、自分にとって何でもない出来事だったと思える方が残酷だし精神衛生上良いと感じました。
    その後熊田さんが平凡な日常を淡々と過ごしていくうちに、むしろ愛おしい記憶に摩り替わっていくんじゃないのかな…

  • 11/23

  • まぎれもなく傑作。

  • 初めの1ページを読んで、これは面白そうと思って、最後まで一気読み。読んでる間も読後も、決して気分のいいものではないのだけれど、作者の毒に魅入られてしまったよう。若い時こういう虚栄心や残酷さってあったなぁ。痛々しすぎる。。

著者プロフィール

小説家・劇作家

「2022年 『ベスト・エッセイ2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

本谷有希子の作品

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