老師と少年

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103021315

感想・レビュー・書評

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  • 「悩んでいたけどこの本に救われた」と言って
    推薦している方がいて、
    それを聞いて図書館で借りて読んでみました。

    この先、かなり個人的な感想になります。


    生きたいけど死にたいと思っている人や
    生きる意味を探している人が
    救いを求めてこの本を手にするかもしれないけど、
    明確な答えを必要としている人は、
    この本を読んでも救われないと思う。
    何も得られないし、
    それどころか、
    ただ失望感に包まれるだけだと思うので、
    そういう人にはおすすめしません。


    人々が抱える疑問と、
    人々が行き着く答えを、
    うまくまとめたという感じがしました。
    というか、
    老師と少年の対話は
    私が普段やっている自問自答と
    ほんとうによく似ていて、
    それでこんな風に思うのかもしれないですけど。

    だから、自分が行き着く答え(答えはないのだということも含め)とは別の、
    何かはっとさせられるようなものを期待していたので、
    その点、少しがっかりしたというのはあります。

    でも、自分の思考が整理されてるみたいで、
    すごくすっきりしました。
    私のように頭の中でごちゃごちゃ考えてしまう人は、
    シンプルにまとめられたこの本を読むと、
    すっきりするかしれないです。


    つまり答えはないのだということを強く感じました。

    それは宙ぶらりんな気もするけど、
    「大切なのは答えではなく、答えがわからなくてもやっていけることだ」
    ということばに、安堵と共に、勇気のようなものを与えられました。
    ほんとうにこのことばの通りだと思う。

    真理なんてものはいくら考えたって見つからないし、
    誰しもが、皆同じように不安や疑問を抱えて、
    それでも生きて、
    うまくやっていく方法を自分自身で見つけていく。

    そういう、当たり前といえば当たり前のことを、
    はっと気付かされたような気がします。

    答え!答え!
    と言って駄々をこねるもんじゃないなと思った。
    考えすぎはよくないなあとも。


    こうして色々書きましたが、
    あまり深く考えないのが一番という気もする。

    とても穏やかな一冊でした。

  • うつ状態の時に読みました。何か深い悩みを抱えていて、何かしらの”救い”や”答え”を求めているならこの本はお勧めしません。なぜなら、それは叶わないからです。終始抽象的で掴み所のない会話が続きます。私は是非こちらの本の”解説書”を読んでみたいです。

  • 読めば読むほど、分からない。
    でもきっとこの先もなんども手に取ってしまうと思う。

  • 2016/3/6
    ふむふむ。

  • 「自分とは」「生きるとは」なんとも深いテーマだが老師と少年の会話はなぜかほほえましく感じる。しかし最後まで読んでもなにかもやもやとしてスッキリしない感じが残る本。いや、この本には「答え」などないからそれでいいのかもしれない。

  • 答えはない。
    私もない。
    何もない。

    仏教の世界。禅の世界。

    読んでもあまり救われない。
    答えを与えられないから。

    考え続けても決して答えが出ないから、今ここまで仏教は続いているのかも。

    この現実を受け入れることは、なかなかそれは、しんどい。

    しんどいながらも生きる。
    しんどさを軽減するものなんてない。

    しんどいながらも生きることが良いことでもえらいことでも選ばれてあることでもない。

    どうしたらいいんだ。
    ただ生きればいいのか。
    でも、生きる意味だって問われない。
    死ぬことが悪いことだとも問われない。

    なーんにもない。
    よりどころになるものがない。

    でも、わたしは仏教に救われそうだ。

    おじいちゃんが死んで、
    つらくてつらくてどうしようもないから読んだ本。

  • カテゴリーを一応小説にしたけど、宗教書であり哲学書であり自己啓発本であり…ジャンル不明

    たった100pのそれもスカスカの行間の本やけど、読み飛ばせば30分で読めるけど。
    多分一生かけても本質は理解できないんじゃないかなと思う。
    ものすごく深い、でもこの少年が問いかけ老師が語っていることを自分たちで考えるにあたっては新たな知識を必要とはしていないように思う。

    今まで生きてきた中に回答を導く材料はたんまりあるはずで、でも絶対回答は出てこないだろうなぁ。

    ☆は5つだが、1つでもなしでもいい、☆なんてものはそもそもなんなんだ…いや、この本読んだらそんな気になりますよ、ほんま

  • 恐山の禅僧が、人間の存在の根本的な問いを、小説形式で書いた本。
    生きる意味を問い、本当の自分を探してる人向け。生き難さを感じている人や、繊細で多感な時期の子供が読んだらいいと思う。

    考えてしまう人と、考えなくてもすむ人がいる。
    そして、考えなくてもすむ人が、世の中の仕組みをきめていく。
    その世の中で考えてしまう人は迷い、遅れ、損をする。

    師よ。僕は以前、父にこう言われました。お前のように考え苦しむのは苦労がないからだ。楽をして暮らしているからだ。飢えや病に苦しむ人たちにくらべれば、実にくだらない、贅沢な悩みだ と。

    生きていくことの苦しさと、生きていることの苦しみは違う。


    断念せよ 答えを出すことを。答えが問いを誤らせるからだ自分であること、ではなく、あること。自分が生きていること、ではなく、生きていること。
    それが正しい問いだ。~自分が存在するのではない。存在するのだ。自分が生きているのではない。生きているのだ。問いはそこから始まる。自分からではない。

    友よ。器を作れ。困難な仕事だ。それを何度も磨く。一度打ち割って、作り直さねばならぬときもある。割れた器で飲まねばならぬときもある。それでも最後まで生を飲み干せ。

    大切なのは答えではなく、答えがわからなくてもやっていけること
    やっていく方法は自分でみつけるしかない 生きる意味より死なない工夫


    本当の自分なんていないし、俺には今しかない。それでも、意味や本当の自分が知りたければ、たまに振り返れば充分だと、最近思う。

  • 老師と少年による、「自分とは何か」「生きる意味は」など
    人生に関わる問いかけ。
    小説というより自己啓発の本に近い。

  • とても分かりやすくまとめられた内容。
    絵がついてたら絵本としても通用するくらい明解に書かれている。
    内容は一時間ほどで読めるものだが、内容はとても奥深い。
    この本に出てくる少年や、若い頃の南直哉さんと同じ悩みを持っている人にはとても良い本だと思う。
    思想の入り口としての本、といった内容。入門書のような?

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著者プロフィール

1958年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、大手百貨店に勤務。1984年、曹洞宗で出家得度、同年、大本山永平寺に入山。以後、約20年の修行生活を送る。2003年に下山。現在、福井県霊泉寺住職、青森県恐山菩提寺院代。著書に、『語る禅僧』(ちくま文庫)、『日常生活のなかの禅』(講談社選書メチエ)、『「問い」から始まる仏教――私を探る自己との対話』(佼成出版社)、『老師と少年』(新潮文庫)、『『正法眼蔵』を読む――存在するとはどういうことか』(講談社選書メチエ)、『出家の覚悟――日本を救う仏教からのアプローチ』(スマラサーラ氏との共著、サンガ選書)、『人は死ぬから生きられる――脳科学者と禅僧の問答』(茂木健一郎氏との共著、新潮新書)など多数。

「2023年 『賭ける仏教 出家の本懐を問う6つの対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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