夕子ちゃんの近道

著者 :
  • 新潮社
3.59
  • (45)
  • (75)
  • (118)
  • (11)
  • (3)
本棚登録 : 474
感想 : 102
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103022510

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • フラココ屋という古道具屋の二階に商品と一緒のスペースに住まう事になったバイトの僕(若者から中年という年齢)と店長や大家さん一家、常連客などとの半年くらいの交流を描く。誰もが何かを強烈に目指したりしてないこの温度感が好き。

  • アンティーク店フラココ屋の二階で、一人居候暮らしをはじめた「僕」の周りにいる人たちの日常生活を描く。
    のんきでしたたかな店長、大家の八木さん、その二人の孫娘、朝子さんとタ子ちゃん、初代居候の瑞枝さん、相撲好きのフランソワーズと言うのが主な登場人物。
    月日が経つごとに、繋がりが深まってゆくが、決して深入りなどしない。
    7つの短篇の最後では、全員がパリに集まり、それぞれの道を歩んでいることが分かる。

    良く言えば、ほのぼのと安心しきって読める内容だが、抑揚がなく期待が空振りに終わると感じる人もいるだろうな。

  • 日々のちょっとした気付きや、ふとアレとコレが繋がったように思えたときの感じが共感できて心地よかった。
    他のひと目線バージョンも読みたくなる。

  • 夕子ちゃん、朝子さん、瑞枝さん、店長、八木さん、フランソワーヌ、バイク屋の店員、みんな愛想がいいわけじゃなくて、だけど離れてなくて、やっぱりこの距離感好きだなあ。ずっとこういう感じに書いててください。

  • 流れるような文章。でもどこか単調で日常的過ぎるのでなかなか思うように手が進みません(笑)外枠から固めるタイプの文章ですよね。
    過去に、自分とこの方の文章に似ているといわれたことがあります。言ったのは大学の卒論講師だったのですが、なんとなく理解できました。人物直結じゃなくて、周りからわやわやと攻めて行く感じ。

    ゆるやかにおだやかに、といったイメージが強いですが、でもどこか心に残る作品です。明確な答えがないっていうのも魅力なのかもしれない。日常の中の一コマ一コマに何かが絶対ある!というわけでもなく、ただある日常が、愛おしいと思える瞬間を切り取っている。のんびりしたときに読むのがいいと思います。なんとなくね。

  • 僕は西洋アンティーク(古道具、骨董)を扱うフラココ屋の二階で住み込みのバイトをすることになった。

    フラココ屋の店長、
    近所に住む、買わない常連の一人、瑞枝さん。
    大家さん、大家さんの孫の、朝子さんと夕子ちゃん。
    店長の昔からの知り合いのフランス人のフランソワーズ。

    のんびりしたどこかにありそうな日常。

    駅やらフラココ屋周辺の地形が細かく書かれている。
    とにかくいちいち細かい。

    会話文も話の流れも著者らしいゆるゆるな感じ。
    登場人物みんなが愛しく微笑ましい光景。

    川上弘美の古道具、中野商店を思い出させる一冊)^o^(

  • 面白かったです。
    大きな事件は、ないこともないですが、穏やかに過ぎていく日々でした。空気感が好きです。
    嫌で仕方ない!という人が全く居ないのも穏やかでいいなぁと思います。
    お相撲の描写が一番詳細だった気がしました。
    この空気感どこかで…と思ったら、川上弘美さんの「古道具 中野商店」だ。どちらも心地好くて良いです。
    カギ括弧でなく会話のやりとりがあるのが、独特のテンポでした。

  • 古道具店のフラココ屋の2階に住む主人公と、近所の人たちの日常。

    期待せずに手にした本でしたが、思いの外好みでした。
    世界観がとても好きでした。

    実際に身近にいたらどうかなとは思いますが、物語の主人公としては好きなタイプ。
    彼の名前や、何故そこで暮らしているのか、どこに帰るのかなど、主人公については何もわからないまま。
    でも、彼のことはとても良くわかった気がしています。
    周りの人たちもとても魅力的。いい出逢いでした。

  • 2017/02/17

  • なかなか読み進められないし、続きが気になって夢中で読むという事もないのだけれど、なんだかとても好き。
    長嶋さんの小説はいつも、いつまでもこの人達の会話を聞いていたいな、と思う。
    みんなそれぞれに生きていて、でも確かに繋がっている。それが心地よくて、羨ましい。

全102件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

小説家、俳人。「猛スピードで母は」で芥川賞(文春文庫)、『夕子ちゃんの近道』(講談社文庫)で大江健三郎賞、『三の隣は五号室』(中央公論新社)で谷崎潤一郎賞を受賞。近作に『ルーティーンズ』(講談社)。句集に『新装版・ 春のお辞儀』(書肆侃侃房)。その他の著作に『俳句は入門できる』(朝日新書)、『フキンシンちゃん』(エデンコミックス)など。
自選一句「素麺や磔のウルトラセブン」

「2021年 『東京マッハ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長嶋有の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×