寒灯

  • 188人登録
  • 3.60評価
    • (12)
    • (33)
    • (22)
    • (9)
    • (1)
  • 37レビュー
著者 : 西村賢太
  • 新潮社 (2011年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (150ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103032335

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

寒灯の感想・レビュー・書評

  • 所謂「秋恵」もの4つ。
    どれを切っても面白いんだけど、金太郎飴みたいな感じ。
    作家になって以降の小説がほとんどないから、今ものすごいお金が入ってその後のこととかを読んでみたい。

    「陰雲晴れぬ」
    引っ越し、管理人とのトラブル。

    「肩先に花の香りを残す人」
    整髪料。

    「寒灯」
    正月。

    「腐泥の果実」
    作家になってから、「秋恵」との生活を振り返る。
    皮のペン置き。

  •  いつも通りの短編集。芥川賞受賞後初の短編集らしいが、受賞前と何が違うのか、あるいは何かが違っているのかは知らない。

     個人的にもっとも面白かったのは「腐泥の果実」。木枯しの吹く寒い日、主人公北町貫多は文具店で以前交際していた女性が誕生日にプレゼントしてくれたものと同じペン皿が売られているのを見つける。自身が犯した過ちを悔いるとともに思い出の世界に没入するが・・・そんな話。

     秋恵に未練は無いと前半で言っておきながら終盤で「今もただ一人の女性」と認めてしまうところは安定の面白さ。しかもどうしょもないオチまで付いている。

     ただ、大切な恋人を失ったと言うより、心の寂しさを埋めてくれるピースを無くしてしまった・・・という感じの印象を受けるのは何故だろう。
     甘えさせてくれる対象を求めるマザコン、とも違う気がする。ボロボロの家に入り込む隙間風から必死で身を守ろうとしているような・・・

     こんなモノを読んでしまっては、誰かに好意を抱くたびに「それは愛情なんかじゃなくて自分の空虚・寂しさを埋めようとしてるだけなんじゃないの?」と自分に問いかけたくなってしまう。余計なことは考え過ぎない方が幸せになれるだろうに。

  • めんどくさい女子って話はよく聞くけど、本作はほんっとめんどくさい男子が出てくる。その男貫多の夢の同棲生活、相手とのやりとり、全体的にレトロ感ただようのに、なぜか新しいおもしろみがあるのは、さすが平成の四畳半小説家のなせる技か。

  • もう秋恵ものは辛くて読めぬ。

  • 秋恵シリーズの4作からなる短編集。
    秋恵ものは同じワンパターンでも気分良く読めないからあんまり面白くない。

  • 芥川賞を授賞した西村賢太氏が受賞後に最初に発表した作品「寒灯」を読了。彼の授賞前の私小説にも出て来た貫多と秋恵の同棲生活を描いた短編を集めた作品だ。糊口を凌ぐすべとしてかける物が自身の赤裸々な過去だったのだろうが、読者としては他人の生活をのぞいてしまっている気まずさみたいのが読み始めてからずっとありあまり気持ちよい読後感はなかった。まあ本当に簡単に読めるという意味では軽い物を読みたい人にはいいかもしれないが、先に書いたが他人の恋愛での失敗模様を読みたいかどうかで購入を決めた方がいいかも。そんな最近ではめずらしい私小説を読むのに選んだBGMは

  • 資料ID:21302253
    請求記号:913.6||N

  • 北村貫多と秋恵の夫婦喧嘩を克明に記載していることに驚嘆した.これらの喧嘩を演じた作者の記憶力も大したものだが、かなりのドメスティックバイオレンスだな.表題作の暮れの出来事、帰省や年越しそばの話しが面白い.

  • 著者お得意の「秋恵と貫多」シリーズが4話。空気を読めない秋恵のちょっとした無神経っぷりが空回りし、貫多の怒りは段階を経て沸点に達する。そして、爆発。しかし、すぐに後悔する貫多。そして土下座謝罪。

    基本的にどの短編もこの流れ。安定感のある西村作品の王道だ。マンネリなんだけど、純文学を思わせる芸術性のあるタイトルと中身のギャップ、そして、貫多が沸点にたどり着くプロセスが抜群におもしろい。

  • 4つの短編からなる秋恵との日記。表題の「寒灯」は、初めて一緒に過ごす正月に秋恵が貫多に断りも無しに単独帰郷を決めていた事に対する憤りの話。男が嫌いな、女性のこうした無神経さを短編に上手く纏めてあり共感。巻末の「腐泥の果実」は秋恵と別れてから八年後に、当時を想起させる品と出会い、その心情を語る一編。
    巻頭の「陰雲晴れぬ」で始まる同棲の開始から巻末の一編までで、短いながらも充実していた初の素人女性との同棲生活が生々しく語られ、当初活き活きしていた二人が次第に淡泊な惰性の日々の果て別れてしまう様には、良く有る話とは言え、やはり刹那さを覚える。

  • ☆3つ

    4~5つの短編集。2011年の塵芥賞受賞後初めての新刊。
    表題作の「寒灯」はどうやら本当に塵芥をもらった後に書いたものらしい。

    でも本中の並びではそれ以前に書いた「腐泥の果実」が最終話になっているし、そ
    うでないとおかしい。
    これは、先に「腐泥の果実」ありきなのだけど、本一冊にするのはどうにも作品数
    不足なので、あと一遍書かせたい。
    が、しかし「腐泥の果実」も枯れ木も山の賑わい的に本の中に加えざるを得ないと
    したら「寒灯」はこういうストーリー仕立てにして欲しい、と新潮社の編輯担当者
    が東町癇汰 いやもとい北町貫多に強請ったものであろう。
    (「編輯」と書いて編集の意。読みも全く同じ。要するに気取っているだけなのであっ
    たwww)

    そもそもこの作家の作品を読む理由は
    1.自分はこうまでだらしなく感情的で暴力的な男でわあるまい、と自己確認する
    2.明治の昔に戻った様な語り口がちょっとカックよくて飽きるまではめづらしい

    そしてこれが最大の理由だが
    3.本が薄くて購め易く読みやすい(”購める”で”もとめる”と読ませる)

    さあ、あと2~3冊で北町貫多君の作品は全部読み終える模様なので、せいぜい切
    りの良いそこまでは付き合う事にする。

  • 貫多と秋恵のネタはワンパターンだが、ぜんぜん飽きない。

    一番面白かったのが、「肩先に花の香りを残す人」。秋江恵をののしる「貫多節」はここに極まる。

  • 2013/2/22購入
    2014/8/25読了

  • 「ぼく、おまえをずっと大切にするから、今後ともひとつよろしく頼むよ」待望の恋人との同棲生活の始まり。仲睦まじく二人で迎える初めての正月に貫多の期待は高まるが、些細な事柄に癇の虫を刺激され、ついには暴言を吐いてしまう。二人の新生活にあやうく垂れ込める暗雲の行方は―。

  • ダメ人間的な生き方の話は、苦役列車だけでもう十分です。

  • 西村賢太作品5冊目を読み終えた。芥川賞受賞作『苦役列車』よりも後に出版されたものなので、話題も比較的新しい。
    以前読んだ作品にもちょくちょく登場していた恋人秋恵との同棲生活が話のメインになる。相変わらずの貫多の性癖、嫌いだわ。秋恵もよくこんな奴と付き合って、1年半以上も辛抱したなと思う。でも、男って未練タラタラなんですよ。好きな女が離れていけば、どんな愚か者でもなかなか立ち直れない未練の生き物なんですよ。そんな俺も未練タラタラなタラ男です。「腐泥の果実」では離れていった秋恵への未練タラタラ感が、情けなさと共に何故か共感できてしまう男の性が表現されていて、タラ男の私、読んでいて切なかったですわ。

  • 北町貫多が30過ぎのころ,唯一同棲した女性との生活が4話集録されています。貫多の幼児性がうまく出ていて面白いです。ついつい貫多に肩入れしてしまいますが,貫多の言ってることはむちゃくちゃなのが逆に気持ち良いです。腐った泥の果実では,秋恵のセリフが秀逸です。

  • 北町貫多の念願の女性との同棲生活が中心の内容。
    これまでの作品の中でもかなり読みやすかった。

    それにしても彼ほど後悔がついてまわる人間もいないのではないか。
    後悔する様子を見事に描いていると思う。

    彼の女性に対する態度は相変わらずにひどいものであると思う。
    ただ「腐泥の果実」におけるプレゼント諸々の件は、その思考過程としてわからなくないところもある…
    しかし思うところはあっても彼のような行動は決してとらない。
    本作からその顚末を観て絶対に自分はそうならないと思った。

  • とるに足らない痴話喧嘩。ありふれた睦言に由無し言が赤裸に綴られる。いつものように身勝手な爆発が始まり侘びしく哀しい悔恨慙愧に帰結する。4つの短編がいずれもこのワンパターンに終始しているにもかかわらず飽きさせないのは磨き上げられた秀逸な筆力のなせる技。見事というほかない。ただ淡々と流れる何気ない男女の日常風景に夫婦のあり方、他者を思う心を深く見つめ直すこともできた。得体の知れない力に圧倒された。

  • 芥川賞受賞後、第一作との事で期待は募ったが、うーん。相変わらずに最低な主人公が主に同棲相手に向けて最低な振る舞いを行うといういつもの西村節なんだが、これに収められた短編どれもが、小手先のテクニックで書かれたという印象以上のものを残さなかった。なんか文章が濃ゆくなかった。話もリズミカルだけど、いささか安易に感じられた。

    芥川賞での成功が影響してるのかもしれないが、そこまでは心配してない。俺は、西村賢太の作品は短編集によって、お気に入りとそうでもないものが、2:1ぐらいに分かれるので、今回はたまたま、そうでもないものだったのかなあ、と。 次に期待している。

  • やっぱり
    西村賢太はいいなぁ…。

    読みながら
    おいおい!とか
    分かるぜ!とか
    ヒド過ぎ!とか
    ツッコミながら読める。

    素晴らしい作家さんです。

  • NHK週刊ブックレビューで紹介されていたので読んでみた。

    他の人のレビューを見たら、シリーズ物らしい。

    主人公は性格がクズな人間だけど、初めて同棲する相手を見つけた。
    そのことに浮かれていたが、だんだん本性がでて、相手が去っていくという話。

    主人公の性格はホント読んでいて理解出来ないレベルでダメだし、若干の不快感さえ覚えるのに、最後まで読むのは文章の上手さだと思う。

    ただ、短編の連作だと思うけど、一冊の本としてみると、これで終わり?って思ってしまった。
    最後まで書ききらず、読者に想像させる小説(教科書でいうと羅生門とか)はあんまり好きじゃないので・・・

  • ようやく出来た彼女 秋恵と同棲を始めた貫多。
    その約1年の同棲生活を綴った短編集。
    秋恵の実家に借金をし、秋恵のレジ打ちのパート収入で生活。
    自身は固定収入にならない小説を書き、陶酔する作家の高額な古本を買う。
    言ってみれば、秋恵に食べさせてもらっているのだ。
    だからと言って彼女を大事にするかといえば、まったくその逆、自分の欲望通りに扱うのみ。
    引っ越したマンションの管理人に言いがかりをつけられたと怒り、
    それを丸く収めようとした秋恵の常識的な態度にキレる。
    帰宅した秋恵の肩先に付いていた香りから、彼女に疑いを抱き、
    後日、自分に付いた他人の整髪料の匂いに気付かぬ彼女にキレる。
    大晦日、年越しそばの出汁が薄かったというだけでキレる。
    キレたら最後、ありったけの屁理屈を彼女に浴びせまくる。
    どうしてそうなるのか、私には全然理解できないけど、
    出てくる出てくる言葉の数々・・・ボキャブラリーの多さには感服。
    決して笑う場面じゃないんだけど、笑ってしまった。
    第144回芥川賞受賞「苦役列車」も読んでみようと思う。

    この作者は私小説を書くので、この主人公はこの作者なんだろう。
    ああ、想像しただけでも、うっとおしい。
    そして、秋恵さんは最後には出ていくのだが、すごい人だと思う。
    食べさせて、尽くして、キレた貫多をなだめ、悪くないのに謝る。
    実在する女性なんだろうけど、今は幸せになっているかな。

  • 貫太は愚かな男だ秋恵に暴言ばかり吐いていた。漢和辞典が必要な読書だった。

全37件中 1 - 25件を表示

寒灯を本棚に「読みたい」で登録しているひと

寒灯を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

寒灯を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

寒灯を本棚に「積読」で登録しているひと

寒灯の作品紹介

「ぼく、おまえをずっと大切にするから、今後ともひとつよろしく頼むよ」待望の恋人との同棲生活の始まり。仲睦まじく二人で迎える初めての正月に貫多の期待は高まるが、些細な事柄に癇の虫を刺激され、ついには暴言を吐いてしまう。二人の新生活にあやうく垂れ込める暗雲の行方は-。

寒灯のKindle版

ツイートする