歪んだ忌日

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著者 : 西村賢太
  • 新潮社 (2013年6月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103032359

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歪んだ忌日の感想・レビュー・書評

  • 芥川賞受賞後の状況変化を描いた作品が大部分を占める。
    印象に残ったのは「感傷凌轢」。
    20年来音信不通だった母親からの便りにざわめく心境を綴る。毒づきながらも「(三百万までだな)」との具体的な金額の提示は手紙に「すべてを取り寄せてもらったのです。」と書いて寄こした母へのメッセージと受け取った。
    ところで、“三百万円”という金額で思い出すのは秋恵の実家からの借金のこと。こちらは返済したのだろうか。

  • この本は芥川賞もの、秋恵もの、母親もの、藤澤清造ものと多彩だ。秋恵ものは最後の別れのエピソードであり完結編だ。芥川賞をとってガラリと変わるかと思いきや、そうでもなかったり、生き別れた母親への複雑な感情や、師匠である清造への想いが伝わる小説で、いずれも人間の心を実によく描写している。著者ならではの世界観だが、もうそろそろこの手のテーマだけで小説を書くのも困難な気がする。それを跳ね除けて、ここを更に深化させることが出来るのだろうか。西村氏なら出来る気がする。

  • おもろい。笑った。

  • 西村賢太作品8作目を読み終えた。相変わらず読後の胸糞悪さは残るが、なんだろ、今になって不思議と貫多に変な愛着みたいなものがわき始めている。

  • 私小説。

    藤澤清造への思い。お金を払うことのない心の通いあった久々の恋愛からの同棲の結末。

    音信不通だった母からの突然の手紙。若かりし頃、親にお金をせびることと不純なことで頭がいっぱいだった短絡的な日々。
    芥川賞受賞後の、尊敬する藤澤氏の命日を邪魔されることへの恐れを不快感。

    苦役列車の続きみたいな感じ。ま、私小説だからw

    貫多は根は〜〜みたいなくだりが多すぎるw
    p26〜短期で粗暴、下品で酒好き、女陰好き。それに加えて邪推癖があり猜疑心も強く、小心で人見知りで弱い物苛めを好み、ケチで不潔でつけあがり体質、〜とか笑ったw

    読んでいるだけだから単にうけるだけだけど、実際にこんな人いやだw)^o^(

  • 正直かなり苦手な記述もあったんだけど,止める気にならず読み進めることになったのは,良い・巧い本だからなのかなと思う。

  • 一気に読み切った。
    『棺に跨がる』の秋恵ものの連作に比べ、少年期、秋恵もの、家族、藤澤清造など、短編のテーマがややばらつき、一作一作の印象が薄まり、寄せ集め的な短編集になった印象は否めない。
    だが、どれも読み応えがある作品だった。
    特に秋恵ものを書かせると、この作家は冴える。
    「膣の復讐」は何とも言えない男の悲しみがあって、胸に堪える作品だ。

  • 相変わらず、浸っていたい文体リズム。まだ、読める。材が尽きようとも。

  • にわか藤澤清三ブームについての腹立たしさ。
    描き方がうまかった。

  • レビューを読むと賢太ファンからの失望も見受けられるが、私はどこまでいってもこの人の、真似できない独特すぎる文章が大好きである。読点のつかい方とか漢字とか、編集者との間でも自分の中でも相当な逡巡があるのではないかと思うが、それを通り抜けて出てきたこの文章には味があると感じる。

  • 西村さんを読むのは二作目。自分の方がその書き口に慣れた感じ。読んでいてなんか妙な安心感。酷い男の日常がつづられる私小説。人には薦めない小説。
    自分をここまでさらけ出すのは、すごい。これはある男性のリアルな感情である、そう想わせる力が魅力である。

  • 筆者と目される北町貫多と秋恵の生活を描いた「青痣」「感傷凌轢」.仕事にありつくものの自堕落な行動で無にしてしまう顛末を書いた「跼脊の門」.藤澤清造の弔いにまつわる「歪んだ忌日」や著者と清造の係わりを書いた「形影相弔」.どの短篇も時々難解な語彙が出てきて、そこで読む速度が落ちる.妙な感じの短篇集だ.

  • 自らのたどってきた10~40代のどうしようもない人生経験を珠玉の私小説へと昇華させた破滅型の芥川賞作家の小説集です。笑いどころあり、教訓めいたところありで、今回も西村先生の憤怒と怨念が迸っております。

    破滅型の私小説書き、西村賢太先生の私小説集です。今回もまた、西村先生の「ダメさ加減が」存分に発揮されており、読みながら何度も腹を抱えては笑い、カタルシスを覚え、と同時にどことなく寂寥感を持つ独語に、西村作品の安定した魅力がほとばしり出ておりました。

    ここでの西村賢太先生の分身である北町貫多は10代、30代、そして40代と年代が飛び飛びになっているのですが、15歳で中学校を卒業してなし崩しに社会人となり、母親から手切れ金としてもらった10万円もあっという間に使い果たし、「集金」の名目で母親のところに行っては金を毟り取り、

    30代の貫多はいわゆる「秋恵もの」として女性の生理的なものについてデリカシーという言葉を真正面から無視したことを秋恵に向かってのたまい、秋恵がそれに対して不快感を示すと烈火のごとく怒りだし、後はお決まりの罵倒しては殴り飛ばすという展開になるのです。そんな日々から秋恵がパート先の男のもとへと出て行った喪失感を埋めるべく買淫し、女体と一戦交えようとするも、相手の女性に対してげんなりし、女の復讐は怖いなとしみじみ思う貫多。せつないですなぁ!

    そんな彼が小説を書いて芥川賞を受賞し、一時期は「芥川賞バブル」で有頂天になったものの、再び鬱勃した日々が戻ってくることを予感させたり、20年間音信普通であった母親から届いた手紙を前文公開するという荒業を私小説内で敢行したり、自らが「没後弟子」と称するまでに敬愛する物故作家・藤澤清造の命日がミーハーなファンたちによって荒らされるのではないかと思いを巡らせる…。

    西村氏の1日1日が小説であるということを実証させるこれらの私小説郡に出会えたことを今回もまた、心からうれしく思っております。

  • 新作が出るたび、期待を裏切らない西村賢太作品なんだけど、今作は、ちょっと・・・。私小説家以外のところで忙しい作者が手を抜いてしまったのか。それとも、本作品は作風転向の決意表明であって、次作には大作が控えているのか。

    ファンとしては後者であってほしい。

    自身を投影した寛多を主人公にして、青年時代から芥川賞受賞後までを順不同で描く全6篇。「膣の復讐」なんて下品なタイトルはこの作者ならでは。

    些細なことから、寛多が徐々に怒りの沸点に達し、暴れまくった末、後悔の懺悔をするというすばらしき黄金のワンパターンをあえて崩している短編が多い。母親からの手紙なんて、破り捨てて、その後に後悔するくらいの奴じゃないのか、寛多は。

  • 現在から10代の頃まで時が飛躍しますが、貫太の行状は一貫しています。DVに遺伝的な連鎖があるのかはわかりませんが、父親の犯罪と母親からのDVが貫太の精神を大きく歪めたのだとしたら、本書ではその一端を垣間見ることができました。

    自らのルーツを断ち切る貫太に、私小説家としての覚悟を感じます。それはもうどうすることもできないことへの怒りや悲しみと同時に更なる藤澤清三への没入を促し、そういう意味では絶望的な感じではなく、むしろ未来への展望を期待させられます。

  • 短編集。貫太の若い日のこと、秋恵と同居してた時期、芥川賞を受賞してからの現在のことなど。
    下ネタと小説的な単語とのギャップがたまらなく可笑しい。
    「感傷凌轢」、子供としての彼の甘さがかわいかったんだけど、ご両親の経緯にびっくり。

  • もうそろそろネタ切れのような感じがする。

  • 6つの短編集。またしても苦し紛れ、焼き直しの連弾かと思いきや時間の幅もさることながら、内容的にもぐっと幅を広げた作りこみとなっている。秋恵の呪縛から解放され、花が咲いたように興奮が満腔に拡がった。出色は「膣の復讐」。性でもない愛でもない情でもない。描かれているのは即物的な女陰。映像のみなならず芳香までもが脳裏に強く残った。全編通して流れているのは即物である。一見どうでもよい日記のような記述が並ぶも、不思議にこれが読ませる。己の投影のようでもあり、ぐいぐい引き込まれる。汚れた性根を底の底から抉り出してくれる爽快があり快感があった。表題作の「歪んだ忌日」には「膣の復讐」にも似た怨念があり、凍える寒さを覚えた。

  • たまに貫多の醜い話を読むと、暗いエネルギーに呆然となる。身を削るように文章を売って、貫多は今後どう老いて行くのか、興味は尽きない。

  • 貫太の現在、について書かれている章もあり、そこは新鮮さもあり、面白かった。
    あとは読み手の力不足なのかもしれないが、多少物足りなくも感じてしまった。

  • ☆2つ
    なあんとも薄い本である。厚みも薄いが中身も薄い。値段は1300円なのですぐと買えるが、たったの1時間半で読み切ってしまう。
    そして内容はというと、先の作品の内容を手を変え品を変えてまた語るだけの愚劣なものである。
    こんなの読まんでもよい。唯一読む価値があるとすれば、時代のきまぐれだか何だかは、こういう作品までもを本にしちまうのだなあ、と思へること。すまぬ。

  • 前作同様、読んでいる最中、彼の生活をのぞき見している感がある。

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歪んだ忌日の作品紹介

芥川賞受賞作『苦役列車』の主人公・貫多が抱く身内への思い、憤懣と怨念。同棲する女に怒罵と暴言を浴びせかける貫多。人生の先行きに不安と畏れを抱く15歳の貫多。没交渉だった母親からの手紙に心揺らされる貫多。大切な師の〈淸造忌〉を陰鬱な気持ちで挙行する貫多。出ていった女への後悔と幻影に涙滲ませる貫多。43歳で芥川賞を受賞した故の悩ましき日々と、不穏な苛立ちを炙り出す私小説六篇。

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