あめりかむら

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著者 : 石田千
  • 新潮社 (2011年8月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103034520

あめりかむらの感想・レビュー・書評

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  • 初めて読んだ『きなりの雲』が、ヒロインの編むセーターそのままに
    ふんわりと包み込むような温かさで、大好きになった石田千さん。

    2冊目となるこの本を張り切って読み始めたら。。。
    ん?なにか印象が違う。。。そうか、台詞にちゃんと「 」と、鉤括弧がついてるんだ!
    『きなりの雲』では、地の文と渾然一体となった台詞が
    なんとも心地よい、不思議な浮遊感を漂わせていたのですが、
    鉤括弧で括る、それだけでかなり現実的な印象になるものなのですね。

    収められた5篇のうち4篇は、同じ女性を
    現在→幼少期→高校・大学時代→数年前の順に描いている感じがするのだけれど
    1篇めの『あめりかむら』以外はヒロインの名前が出てこないし、
    読み手の想像にまかせる、といったところなのでしょうか。

    この4篇は、ヒロインが再発の恐れのある病を抱えていることもあって
    喪失、後悔、不安、苛立ちが行間からぽろぽろと零れ落ちて痛々しく
    ほんのりと救いの暗示があっても、読んでいてやっぱり苦しくて。

    でも、芥川賞候補となった『あめりかむら』は、病と死に憑りつかれたようなヒロインが
    大雑把だけどプラスのエネルギーに満ちた大阪のおじちゃんの親切をきっかけに
    死を選んでしまった友人に向かって叫ぶ言葉が鮮烈で、凄味を感じさせるし、
    ラストの「あめりかむら、きれいな色の服を買う」というつぶやきからも
    とりあえず生きていこうという意思が立ちのぼって、救われます。

    私としては、第1回古本小説大賞を受賞したという、5篇めの
    『大踏切書店のこと』が、ほのぼのとした味わいがあって、一番好きで

    ちいさな飲み屋の中に、ひとつだけ書棚を置き、
    古書店を営んでいた夫が遺した本を並べて売っている「かねの家」、
    カウンターに並んでつくしのはかまをとるおばあさんたち、
    毎日やってきてコップ酒を一杯だけ飲むハルおばあさんのためにだけ
    立ち退かず、店を開け続けるおかみさんのふみさん、と
    懐かしく、ぬくもりに満ちた描写が素敵でした。

  • ちょっとでも落ち込む事があると、
    (死んだ方がましかも。)
    なんてやけっぱちになったりする私。

    でも、
    考えてみると不思議。
    生き物はいずれ死ぬのに。
    今、
    わざわざ死に急がなくても
    待ってれば
    いつかは死ぬのに。

    5編の物語を読んでいて気がついたのは

    (落ち込んでいる時の私って、
    逆に、永遠に生きるつもりでいるのかも。)と、いう事。

    淡々と、
    粛々と、
    泣きながら眠っている人を
    起こさぬように、と気遣うような優しさで

    「死」を語る短編集。

    いや、間違い。

    生(活)を語る短編集。

  •  自伝では?と思わせるこの小説はエッセイの千さんのままだった。エッセイよりもちょっぴり深みが足りないような、気はしたけれど。

     心の昏さやいたみをゾクリとするほど自然に表現するところが好きだ。

     収められた「クリ」「カーネーション」「夏の温室」はエッセイのようだった。
    デビュー作「大踏切書店のこと」をやっと読むことができた。

     いい一冊だった。

  • 「あめりかむら」読んでいるうちに、大阪の「アメリカ村」であること。
    三角公園のポリボックスすぐ近くなんだけど、この本のような所を知らない。

    初めて読む作者なのだが、この本は、私にとって、複雑であり、少し違和感を持つ作品であった。

    5話からなるのだが、連作ぽくもあり、それでいて、主人公が男性だと、読み進むと、女性ぽくもある。
    病気を背景にその不安さを描きながら、嫌っていた青年の自殺、幼き時代のいじめ、、、、どれをとっても、少し暗い話であり、読み終えても、印象が薄かった。

  • 『店じまい』の著者の小説ってことで読んでみた。5作品が入っていて小説ごとの主人公が男なのか女なのか読み進めないとはっきりしないものがある。静かな作品で静かに終わった。私の読むタイミングが悪かったのか何も残らなかった。

  • 面白かったです。初めましての作家さんでしたが、すっかり惹きつけられました。病気の影がまとわりつくお話がほとんどでしたが、ほの暗さの中に生きていく力を感じたり。ひとりでふらっとどこかへ行きたい気持ちにもなりました。興味深い作家さんです。

  •  短編集。『あめりかむら』がいい。芥川賞候補作だったとか。受賞作であれ、候補作であれ、読むことがなかった。重い病を持った不安を、凛とした文章で、自らの命に対するけなげで真剣な様子が伝わり、引き込まれました。最後の『大踏切書店のこと』を読んでいて、語り手も作者も、男性なのかと急に気になりました。居酒屋でお酒を飲む場面が頻出するのです。内容にとっては、どうでもよいことか。

  • 20151112読了。
    やるせなくざらつく後味からもちゃんと読み終わらせてくれて、お見通しなんだな、と思った。

  • 間の2作品がちょっと退屈。

  • 石田千初読み。芥川賞の候補になった表題作含む、著者初の作品集。表題作は流石芥川賞の候補になったともあり、この中では完成度が高い。主人公の男友達の広告マンみたいな人っているなーって思う。でも彼には他の人には見えない何かを抱えていたんだろうなー。ただ大阪にたいしてネガティブ過ぎてなんか嫌だった。「大踏切書店のこと」は第一回古本小説大賞を受賞した作品。私はこれが一番好きかな。純文学の香りがする短編集。2012/442

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あめりかむらの作品紹介

病再発の不安を消そうと出た旅先で、体の異変に襲われた道子。その瞬間脳裏に現われたのは、あれほど嫌っていた青年の姿だった-。エリートビジネスマンへの道をまっしぐらに進み、周囲の誰からも煙たがられた友人との心の絆を描き、芥川賞候補作となった表題作。下町の、古本屋を兼ねた居酒屋で繰り広げられる人情ドラマ「大踏切書店のこと」。いじめにあう幼な子と、犬との心の交流を描いた「クリ」など五篇を収録。著者初の小説集。

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