人生の親戚

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 56
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103036128

作品紹介・あらすじ

異なる障害を抱えた息子たちが共に自殺する。…およそ堪えがたい人生の悲しみに直面した母親の、精神と肉体の苦闘。性的放縦、神への傾斜。知的で華やぎに満ちた一人の女性が、苦しみの果てにたどりついた地平。-作家歴30余年にして初めて女性を主人公に据え、その生涯を描いて魂の救いを探る、人生への励ましに満ちた画期的長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 大江健三郎さんの著書を初めて読んだ。
    これも、河合隼雄さんのお薦めから。
    お薦めの理由は覚えていない。
    ただ、二人の子供が一緒に崖から飛び降りて自殺した母親が主人公という点に興味があった。

    その人、まり恵さんの人生を、大江さんも登場しながら、描いている。

    僕自身は、この著書から、新しい何かを得ることはできなかったし、強い共感をおぼえることもなかった。

    でも、だからこそ、大江さんの別の作品を読んでみようと思った。

  • 気高い人とは、必ず何かを背負っている人なのかなと。

    魂と肉体の分離、についてのくだりも印象的だった。両者が一体化しているときもあるし、分離しているときもある。本書で述べられていたように、男女でも異なる。どちらが望ましい状態なのだろう。

  • 一章より十一章まで、新潮、1989-1。「後記にかえて」は「マッチョの日系人」として、文学界、1989-3

  • ひと言で言えば、「喪失と再生の物語」。
    なんて言うとムラカミハルキのようですがどっこい!!

    失意のどん底に落とされた人間が、どのようにして人生を全うするか。宗教に頼らない、というか八百万の神な信仰くらいしか根付いていない日本人を、しかも母を主人公に持ってくるところが新鮮です。
    まり恵さんは本当にストイックで、個人的な体験の主人公みたいに一次的な逃げすら許さないで崩壊寸前の自分を気合で繋ぎとめていたというか・・・。

    読み終わって色々考えてみると、よりこの本の凄さがじわじわ感じられてくる気がします。

    10.01.17

  • 異なる障害を持つ二人の息子を、
    彼らの自殺という形で失った母の話。

    そのことが起こった後は、
    向き合ったり逃れようとしたりと苦しみ続ける。
    母親としてこれほど苦しい人生はないだろうと思う。
    そこか逃れずに生きたまり恵さんの
    カラッとした表面と底がないほど深いと思われる心の闇を著者は描く。
    痛くて深い。

  • ここでの死別悲嘆は究極のもの。それをいかに乗り越えるかを深く徹底的に描く。宗教の信仰はあまり神に依存しない日本だからこそ逆に面白いテーマ。ただの再生の物語で終わらないのはさすがノーベル賞作家。

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著者プロフィール

大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。

「2019年 『大江健三郎全小説 第13巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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