でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103036715

感想・レビュー・書評

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  • レビュー省略

  • ぐいぐい引きこまれて、一気に読了。

    結局グレーな判決になったのは、川上教諭自身の曖昧さが敗因。気弱な川上教諭は人から言われたら「そうかも」と考えてしまううえに説明不足で自分の立場を危うくするばかり。自分も似ている点が多くあるので、自分の考えをきちんと確立すること、面倒くさがらず必要なときはきちんと言葉で伝えること、この2点を忘れずにいようと思った。

  • 理不尽な親の主張など、この本に登場するようなトラブルの萌芽は、かなり多いはず。ボタンのかけ違えが、最悪の事態にまで発展したのがこのケース。自分の身にふりかかるかもしれないと考えると、自分の身は自分で守るしかない。常に公正な目で見てくれる人を身近に持つことがいかに大事か痛感する。

  •  2007年に刊行された、「福岡県で起きた教師によるいじめ事件について、事件偽証の可能性が高いのでひょっとすると冤罪では」と主張する本。
     教師になりたい気持ちを挫かせる。わりと客観的で、感情移入はしていない様子のルポ。

    (脱線)
    ・一方的なの主張はもちろん、ネットの記事もイエロージャーナリズムも(このルポタージュも!)、鵜呑みはいかんぜよ。
    ・「自陣が常識人で敵方が異常。だからおれが正しい。」という設定で進めるやり方は、よくあるやり方。というのも、自分の主張をのっけた文章に説得感を持たせるためにどうするかと考えて、誰もが(わりと最初の方で)考え付く手法なわけなので。
    ・で、ググると分かるが、この事件についても主張の黒白に関わらず、そういうやり方のものが多すぎる。

    ・本書は2007年に「新潮ドキュメント賞」というのを受賞している。

  • モンスターペアレント。校長、医師、弁護士、皆先生と呼ばれる識者達がこんなに簡単に騙されてしまうものなのだろうか?しかし、校長がだらしなさ過ぎ。事なかれ主義、その場しのぎの結果一人の教師が地獄に落とされてしまった。本書ではあまり触れていないが男性教師の家族も相当辛かっただろうな。マスコミはタ―ゲットを見つけたら情け容赦なく追いかけそうだしな。一人の人間の人生ってこんなに脆く崩れてしまうものなんだな。でも、何度でも立ち直る強さを自分の中に育てたい。

  • モンスターペアレントという言葉が一般的になったのはココからなのでしょうか?

    マスコミというか、どれが真実か分からないまま一人歩きしてしまいとんでもない自体に発展してしまう…最悪のパターンです。

    教職ではないですが、このような自分が状況になってしまうと本当にパニクってしまいます…というか上司(本では校長・教頭)がしっかりしていないと自分の敵になってしまうというか、たまったもんでは有りません。

    こんな妄想親に振り回されてひどい目にあったではすみませんし、クレーマーというのは自分勝手なストーリーを作ってしまう事が多々有ります。

    自分の身を守るではないですが、防御壁を常に考えていないと今の時代生きられないのかもしれません、サバイバル現代社会。

  • これホントなの?
    ノンフィクションって筆者の思考も大きいからな…

  • 全国で初めて教師による児童へのいじめと発表された事件の真相。

    読んでいくと、事件の真相に驚かされるとともに、ニュースのあり方、自分自身のあり方について深く考えさせられた。

    児童の立場に立って考えれば、そして、じっくり話を聞き出すことができたなら、これほど多くの人々を傷つけずにすんだのではないか。なぜ、これほどまでに保護者の意見を人々は信じ、流されてしまったのか。学校の管理職から始まり、教育委員会、新聞記者、弁護士、精神科医……。冷静になって、どうして子どもと教師の話を聞くことができなかったのか。たくさんの何故?がわき起こってくる。

    今でいうなら、モンスターペアレンツに周りの大人たちが振り回されたようにも見えるが、冷静な判断に欠いた他の多くの大人たちにもきっと原因はあるはず。この著者のように声を上げる人がもっと多くなれば、理不尽な制裁を受ける加害者が減っていく気がする。

    そして、すぐに悪者を決めつけようとする今の社会の流れがここに凝縮されているよう。また、被害者に対して過度な感情を寄せ冷静な判断を欠いた大人たち、自分自身の非を認めない大人たち。本当に様々なことを考えさせられた。

    たくさんの人にこの本を読んで、考えてほしくなる。

  • 恐すぎ!恐すぎ!恐すぎ!!!

    …確かに記憶の片隅に「穢れた血」「殺人教師」等の報道の断片が。
    でも、その後、こんな展開を遂げたとは知らなかった。

    てか、この親。何者?
    なにがしたいの?
    こんなことって実際に起きるの?
    いや。起きるんだろうな…と、プチモンスターに出会った後なら理解は出来るんだけど
    ホント酷過ぎ。
    事件自体を知らない人も多いかもしれないけど、
    私みたいに「殺人教師」のまま、情報が訂正されていない人も多いと思う。
    どっちにしろ、「報道」というモノの怖さを考えさせられる。

  • うーむ、映画「羅生門」ではないが(ちと、例が古すぎるか!)、真実って一体何やろう?それぞれの当事者によって、事実のとらえ方が異なるのは、致し方ないことなのか?わからん、わからん。

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著者プロフィール

専門誌・編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。以後、様々な雑誌、webメディアへの寄稿を続けてきた。学校での「教師によるいじめ」として全国報道もされた事件の取材を通して、他メディアによる報道が、実際はモンスターぺアレントの言い分をうのみにした「でっちあげ」だったことを発見。冤罪を解明した過程をまとめた『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』で、2007年に「新潮ドキュメント賞」を受賞。他に『モンスターマザー 「長野・丸子実業高校【いじめ自殺】でっちあげ事件」』では、編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞・作品賞を受賞。他、『暗殺国家ロシア:消されたジャーナリストを追う』(以上新潮社)、『スターリン 家族の肖像』(文芸春秋)などがある。

「2021年 『ポリコレの正体』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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