- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103037521
感想・レビュー・書評
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白洲次郎と妻正子の娘である桂子が両親について書いている。
二人共上流階級の出で、少年時代を海外留学していることから、お金の使い方が尋常でなかったり、「個」を尊重する考え方が徹底している。彼らの中には彼らなりの基準があるのだけれど、それが普通とはちょっと違う。それを頑なに押し通す強さがある。
個性的な両親に育てられ、子供の頃はかなり戸惑うことが多かったのだろうけれど、両親の子供に対する愛情が感じられる。こういう子育てもあるのだなぁ。
次郎と正子夫婦も、個と個のぶつかり合いだから日々喧嘩(?)が絶えないのだけれど、それをレクリエーションと楽しんでいる。きっと毎日が楽しかっただろう。
この本は、どちらかというと正子についてのエピソードが多い。正子の強烈な個性を読んでいて、とても面白いのだけれど、もっと次郎についても読みたいと思わせる本だ。 -
『白洲家の日々 娘婿が見た次郎と正子』(牧山圭男著)と併読。
白洲夫妻はいずれもが、恵まれた環境にいるからには自らの持つ何かを社会に還元し、有用の人たらんとする気概を持っていたらしいことが窺える。実の娘である桂子氏と、その夫である圭男氏の二者から見る白洲夫妻が楽しい。けれどこの2冊を読んでいて、改めてこうした人間は今後現れないのではないかと思った。それはもう、夫妻の傍にいた桂子氏・圭男氏からさえも失われていて、そもそも日本という国にああした在り方をする人間を作る下地(素地)があったのは本当に短い間だったのだろうと。
直近で読んだ田辺聖子さんの『夜の一ぱい』からも似た感じを受けた。 -
子どもからみた白洲夫婦。
子を思う普通の父親であり母親であったんだなーと感じました。 -
牧山さんの文体に飾らない人柄が垣間見られて、好感が持てる。
『白洲正子自伝』などの関連本と記述が食い違う点があるが、読者としては複眼的な目線を持つきっかけとなり、かえってよかった。軽井沢での朝食のエピソードが愛らしくて印象的。何より、私がよく買う九段下のうつわ店「花田」の店主と正子に交流があったことが、正子ファンとしてはとても嬉しい。 -
知らんことをただ信じて教えてもらう。
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白洲ご夫妻の一人娘である牧山桂子さん。強烈な個性を両親に持ちさぞかし「普通」にあこがれたことだろう。
家事一切できない一人娘の身の回りの配慮も無頓着な母、多忙でシャイな父、美味しいものや美しいものステキな人々との出会を作ってくれた両親への想いは温かい。
ある時、父が京都の定宿の請求書をしげしげと見つめ、原稿料は自分のふところ、取材旅行の宿代はこちらに請求するのはおかしい・・と母に詰め寄り、以後その宿の女将は家族旅行と取材旅行の請求に腐心するという話や、父の親友のロビンおじさんを父娘でロンドンに訪ねた時のイギリス上流階級の日常など、面白いエピソードが淡々と記されていて、あの白洲一家の裏側をちょっぴり知ることができた。