白蝶花(はくちょうばな)

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著者 : 宮木あや子
  • 新潮社 (2008年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103038320

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白蝶花(はくちょうばな)の感想・レビュー・書評

  • 大正の終わりから昭和初期を生き抜いた女性の、報われない愛の物語。
    江戸の遊郭の花魁の恋模様を描いた「花宵道中」と同じく、本当に愛しい人とは結ばれない運命にある女たちの連作になっています。

    悲恋に身を焦がし時代に翻弄されていく姿は、とても女性的でした。
    いまより自由恋愛が難しく女性の自立も難しかった時代背景に関わらず、こういう禁断の恋的なのってやっぱり心ときめく媚薬なんでしょうね。
    それでも強く生き抜いて世代を繋いでゆくのは女なんですから。

    温泉芸妓の菊代と雛代
    妾として売られた泉美
    女中の千恵子とお嬢様の和江
    恋は儚くとも、そこから得た命は続いていくし
    羨望も嫉妬も女の友情には欠かせないものなのですな。

  • 読みやすかった。

    短編だけれども、一話一話に出てくる登場人物が長い年月をかけて、再度登場します。

    大正、昭和と戦争の混乱の中
    生き抜く女性の話です。

  • 花宵道中に比べてしまうと物足りないが、戦争中の話として乙女椿はとても読んでいて胸が締め付けられた。

  • 全く別の話かと思えば、ふんわり続きもの。

    生き辛い時代を強かに生きた彼女たちの物語。

    自分がこんなにも平和で贅沢な毎日を無駄遣いしている気になって少し苦しかった。

  • 一気に読んでしまった。
    序盤のような話が続くのかと思いきや、それぞれが別々の主人公で紡がれており、さらに少しづつ繋がっており、読めば読む程ぞくぞくした。どんどん時間が現代に近づく中で、自分の中でリアリティが増し、涙が止まらなくなった。
    女性の生き方は、絶えず変化している。平成に生まれ平成に育っているわたしは、どう生きられるのか。生きるのか。宮木あや子作品、まだまだ読み続けたい。

    2013.07.04

  • 大正、明治、昭和…
    激動の時代を生き抜いた女性達のお話。

    宮城あや子さんの描く
    しなやかで逞しい女性達の姿には心を動かされます。

    時代のうねり、社会のしがらみ、『性』の絶対的な壁。
    そういったものに翻弄されながらも、
    自らの足で立ち、歩き、唇をかみしめて生きてきてくださった
    先人の女性達は、本当に強く、美しい。

    命を繋ぎ、生きてきた先には、繋がる縁がある。
    その仕組みに気付いたときに、思わず声をあげてしまいました。…嬉しくて。


    私は文庫版を読んだのですが
    (表紙はこちらの方が好みだったので)
    大好きな三浦しをんさんが解説を書かれていたので嬉しかったです。

    「激動でない時代など、なかったでしょうが」
    という一言が印象的でした。

  • みやぎあやこめーーーーー。
    なんでこう、こう、くるもの書いてしまいますかね。この人。
    ただの短編集かと思いきや、“乙女椿”で前の二作と綺麗につながって、そして、“雪割草”で補完。
    読後の余韻なんて軽いものではなく、最後のページを捲り終わっても彼女たちの感情に引き摺られています。

    うまいなー、うまいよー、みやぎあやこ、くううううう。

  • 男尊女卑の風潮が色濃くただよう昭和初期。
    まだ少女と呼べる年頃の女の子が妾にさせられたり、大きな屋敷で書生と女中が内緒で付き合っていたり、女学校ではお姉さまと親密なお付き合いがあったり…
    そして忍び寄る戦争の影。

    昭和を生きた女性は、なくしたものが多すぎる。
    家族や恋人が戦地へ行くと決まったとき、どんな思いだったろう。
    無事に生きて帰ってくることを、心の中で祈ることしかできないなんて。どれだけの人が、その絶望を胸の奥に隠したのだろう。

  • 「私は家がなければ生きてゆけない。私は何もできないし、何もできなくても、生きていれば失うばかりだったもの」
    「僕が生きてゆかせるよ。そしてあなたに全てを与えてあげる」
    「きっとあなたのほうが先に死ぬわ」
    「僕のほうが年下だよ、和江さん」
    (P.258)

  • 時代に翻弄されながら儚い恋心を確固として生きる、強い女たちの物語。
    やっぱり上手だなぁ、としみじみ世界観にどっぷり浸かりました。

    正式に結ばれないまま子を宿してしまう女たち。しかしその背景には、強制的な結婚などよりも、心から強く求めたものがある。それを否定してしまう時代というのが、非常に悲しく感じられた。戦争のために結ばれない男女が、愛し合って子どもを産んだというのに、それを非難してしまうその「時代」こそ、今の時代には考えられない。それと当時に何も手に入らないと嘆く令嬢もまた、時代に遊ばれた一人だと思う。
    愛した男を戦争に見送り、残された女たちの、愛した男との子どもと共に生き抜こうという気持ち、強さ、人情、あらゆるものが感じられる。もうなんと云って良いのかわからないが、とても儚く、でもとても強固で美しい。

  • 戦後70年の節目を迎えた今年の夏は、例年以上にメディアでも戦争が取り上げられていました。
    そのうちいくつかは自分でも読んだり見たりしたけれど、
    あまりの悲惨さに目をそらしてしまったものも多くて、、それではいけないと思い直しての本選定。

    社会的にも女性は地位が低く、
    また、戦争の影響で自由も許されなかった時代に
    愛する人を信じて強くしなやかに生きた女性5人の物語です。

     女中である千恵子は、書生の政吉と恋に落ちる。
     間もなく政吉は出征し、
     千恵子は身ごもっていることに気が付く。
     千恵子は実家に帰ったものの、
     「未婚の女が、明日死ぬかもわからない男の子供を産むなど許さない」と父親に勘当され…。(乙女椿)

    一個人の人生の転換期の背景として戦争があり、
    その理不尽さを身につまされる思いで読みました。
    自分は自由が許される今の時代に生まれ
    本当に恵まれている。

    一番愛した人と一緒におれないなら、死んでしまった方がましだとたぶん自分は思うけれども、
    ここに出てくる5人はそうはしなくて、
    どうにかして愛した人の子供を産み育てよう、
    愛した人の分まで生きようとする。
    とても強い。

    乙女椿の政吉の手紙を読んで嗚咽してしまった。
    戦争の理不尽さと人間の美しさがより悲壮感を産むのです。

  • 自分が愛する人と一緒になるのは、どんなに難しいことか。
    抗うことのできない時代の中でも、女性の強く生きる姿がとても印象的にのこった。

  • この作家さんが書く女性は
    皆それぞれ本当に素晴らしいと。

    この本も、
    スピンオフが混じり合ったような
    不思議な書き方で、
    全体を通して読むから
    登場人物の内面や脇役の過去なんかを
    心の隅で感じながらより深く読める。
    話も書き方も好きだし、
    興味深く読める。

    少し恥ずかしくなるシーンがあるのに、
    どうしても誰かに勧めたくなる本。

  • 菊代、雛代。
    泉美。
    女中の千恵子、お嬢様の和代。

    時代や戦争に翻弄されつつも、生き抜く女たち。

    眠れなくなって夜中に読んだ。
    歯を食い縛って声を漏らさないように泣いた。

    ここの女たちと自分が融合したみたいに、強く物語に入り込めた。

    話が繋がっていく、あたし好みの展開に痺れる。

    回想しながら眠りにつこう。
    宮木あや子ちゃんにお礼を言いたい。

  • 途中から前のめりになる程、今年1番夢中になった本。容赦なく時代に翻弄され泣き崩れながら、それでも「生きていく」事で 大正~平成を繋いでいく女性達。今年は二次大戦絡みの話題書を何冊か読んだけれど、どの本でも得られなかったピースの1欠片をやっと掌にした感じです。

  • 廓の遊女の姉妹の話、妾に取られた女性の話、そして戦時中を生きる女性達。いつかすべてが繋がっていき、オンナという性の逞しさとせつなさとが感じられる小説でした。女性の為のR18作品ということで色っぽかったです。

  •  また、どの恋も成就することなく悲しく終わるのかと思ったらそうではなかった。戦争中であったり、売られたりして厳しい状況におかれた女たちなんだけれど、なんとか命をつないでいくとそこに人のつながりができてくるという感じかな。短編集だけれど話と話がつなっがていく、それがおもしろい。
     お嬢様も和江も自分のお嬢様を自覚して、そのうえで女の生き方について考えているところが和江いいやつと思ってしまった。最後に成就できて年老いるまで共に暮らせてよかった。

  • 花宵道中と同じで、短編なのに全部繋がっているというお話。女性って生きていくのに厳しくて辛いですね…と思わずつぶやいてしまった。それでも、好きな人と一緒にいたい、思い出に浸っていたい。
    短編を読み進めていくと、初めのほうの短編に出てきた人物のその後がさりげなく書かれていたりして、なんかドキっとしてしまった。

  • 当然のことだが、身体を重ねれば妊娠する。
    そのことを男のひとはわかっていない。

    性愛の向こうにある快感だけしか
    見えなくなるのかもしれないが…。

    女性にとっては抱かれた後の方が
    遥かに大きな重みをもって、愛情の帰結は迫るものだ。

    女性が拒めないのが悪いというが、圧倒的に女は不利である。
    そして、身体を重ねれば女はなんでも靡くというのも幻想である。

    こころの継ぎ目が合っている相手となら
    女は一度の逢瀬にも命をかけるかもしれない。

    連作の中の政吉が、千恵子のことを母に託すくだりを
    読むと、やっと

    「男性にもやはり、身体をつなぐことの重さを
    わかってくれる時があるのだなあ。」

    とほっとする。

    理想は和江と正文の在りようだが、現実には
    難しいことだろう。

    消費されてゆくだけの「女」という生き物に
    いっそ私自身は憎しみさえ持ってしまう。

    その燃焼はうつくしくドラマティックで
    この本ではそんな女たちの心模様を
    堪能させてくれるけれど。

    そういえば、この本の日本語は、
    とても言葉遣いが端正で、かつて女たちはみな
    こんな嫋々とした日本語を語っていたことや
    私たちがそれを手放してしまった事への愛惜が思われる。

  • おもしろかった(・∀・)‼ 3話めでなるほど!と納得@

  • 恋に生きる女性は強く逞しい、宮木さんの書かれる女性はほんといい女。
    すこしずつ話が繋がってるのも好き。

  • 有馬温泉の芸妓だった菊代は、自分を囲う70過ぎのやくざ男の弟分に心を囚われる。親元を離れ女中として働く千恵子は、出征の決まった愛する男と一夜の愛を交わす。閉ざされた世界で生きる女の道ならぬ恋。抜き差しならない状況で愛に溺れた女たちの行く方。
    「花宵道中」ほどの強烈な感動はないけれど、恋する女の危さ、覚悟を決めた女の強さ、そして最後に拠り所となる女同士の愛憎が、エロ切なくていい。
    有馬温泉の湯に初めて入ったときは私もかなりギョッとしたっけ。
    無色透明な温泉地域に住む者には、あの赤錆色は衝撃的だ。

  • こういうの好き。

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