随想

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著者 : 蓮實重彦
  • 新潮社 (2010年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103043522

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随想の感想・レビュー・書評

  • 成城ならぬ〈渋谷だより〉の一種か…、どうか。図書館本。

  • ハスミン先生と呼ばせてください。

  • 『随想』は、蓮實重彦の最も新しい単行本。雑誌「新潮」に連載した15本のエッセイを集めたものである。律儀なことに一章が四百字詰め原稿用紙28枚分。小見出しなしの一行あけ三部構成で、各章の冒頭は日時が記載されるという極めて厳密な形式で構成されている、というよりも好んでボウタイを締めてみせたりする著者のスタイリストぶりを披瀝したものと見る方があたっているかもしれない。

    『随想』という、いかにも蓮實らしくない素っ気ないタイトルを冠して集められた文章は、一時期の蛞蝓が這った後に残る銀色に光る粘液の輝きにも似た文体は影を潜め、雑誌掲載を配慮したものであろう読みやすい文章で書かれている。しかし、その中身は、相変わらず皮肉で高踏的。本人の口を借りていうなら「小姑的な嫌味」に満ちたものである。

    まず冒頭の第一章「文学の国籍をめぐるはしたない議論のあれこれについて」(各章のタイトルはいつもの蓮實調である)。ここで蓮實がやり玉に挙げているのは、ノーベル文学賞である。連載当時(2008年)のノーベル文学賞受賞者はル・クレジオだったが、「タイムズ」紙が、作家の出身地であるモーリシャス島が作家の出生当時英国領であったことを根拠に「半分は英国人」と報じたことを採りあげ、「このグローバライズ化された地球にあって、人はなお、ノーベル賞受賞者の国籍がたまたま自分と同じであることに悦びを見出さずにはいられないほどはしたない存在なのだろうか」と皮肉っている。

    それは、英国に限らず、わが国においても同様で、村上春樹がノーベル賞をとるのではないかという期待がマスメディアにあって、その時期になるとよく話題となるが、もとより、アカデミー賞が映画としての良し悪しに関係ないのと同じで、ノーベル文学賞が文学の価値を保証するものでもなければ、それを受賞した国の国民の価値を計る物差しとはなり得ないことは、蓮實氏にあらためて指摘されるまでもなく自明のことである。

    面白いのは、そのとばっちりを食らっているのが内田樹であることだ。新聞社から村上春樹のノーベル文学賞受賞に対するコメントを依頼されている内田が、自身のブログにこう書いた。
    「蓮實重彦は村上文学を単なる高度消費社会のファッショナブルな商品文学にすぎず、これを読んでいい気分になっている読者は『詐欺』にかかっているというきびしい評価を下してきた。/私は蓮實の評価に同意しないが、これはこれでひとつの見識であると思う。/だが、その見識に自信があり、発言に責任を取る気があるなら、受賞に際しては『スウェーデン・アカデミーもまた詐欺に騙された。どいつもこいつもバカばかりである』ときっぱりコメントするのが筋目というものだろう。私は蓮實がそうしたら、その気概に深い敬意を示す」(「内田樹の研究室」)

    怖いもの知らずというのか、いつもの癖で筆が滑ったのか、ブログという気安さからか、よくもまあ蓮實重彦に向かってこんなことを、と評者などは思うのだが、これが逆鱗に触れたのだろう。『小説から遠く離れて』を読んでいれば分かるはずだが、蓮實の村上批判は、村上の「あまりにたやすく説話論的な還元に屈してしまう」点や、「たかが近代の発明にすぎない『国語』を自明の前提として書きつつある自分への懐疑の念」の希薄さという「近代小説」の書き手としての無自覚さに向けられたものであって、「高度消費社会のファッショナブルな商品文学」などという通俗的な理由ではない。

    当然のことに蓮實は、村上がノーベル賞をとることに反対などしていない。反対することで「その気概に深い敬意を示す」といわれても、「敬意」の表明に接することだけはご免こうむりたい、と軽くいなしてこう続ける。

    「この退屈な年中行事に三度もつきあわされてしまったという律儀なブログの書き手には、あまりにも意... 続きを読む

  • 神戸などを舞台とした作品です。

  • す、凄い。この本読むと自分の不明を恥じる。フランス語と映画の蘊蓄ははんんぱじゃない。

  • 頭の良い方の本なんだろうなと思う。

  • 2010
    蓮實重彦の新刊に触れられるのもあと数回と思うと淋しいね。

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随想の作品紹介

いまなおノーベル文学賞の前評判や、オリンピックの招致に振り回される人々がいる。オバマは血なまぐさい演説を繰り広げ、サルコジは古典文学不要論を公言して憚らない。日本のお家芸のように言われた島国根性は世界に蔓延し、はしたなさを露呈しあう。しかしこのような時代にも心を湧き立たせてくれる、つつしみ深い人物や映画、小説の世界は確実に存在する。新たな思索と快楽を軽やかに綴る好著。

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