- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103046325
作品紹介・あらすじ
大正12年、妻・伊藤野枝と共に虐殺された伝説のテロかっこいいアナーキスト大杉栄。その魂が100年の時を超え、17歳パンク少年の脳内に甦る。ロスジェネも『蟹工船』もぶっ飛ばせ。閉塞する21世紀ニッポンをアナーキスト+パンク少年が疾走する。2010年代開幕を告げる「恋と革命」の痛快パンク文学-。
感想・レビュー・書評
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実名で登場する人あれば、モデルがそれとわかる仮名の人あり。
実名で出ている人は、著者と交流があって、まあこれくらいなら怒られないだろう、という感じの登場なのだろう。
仮名の人は、交流がない、あるいはちょっと怒られそうな書き方をしている、ということだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アナーキー繋がりでセックス・ピストルズと大杉栄をジョイントさせる発想は単純と云えば単純だけど、単なる戯言を超越した立派な純文学作品に仕上がってます。
なんだかどんよりとした空気の漂っている2010年現在の日本の状況に妙にハマっているし。
今年は大逆事件(幸徳事件)からちょうど100年なんですな。
巻末の参考文献リストのボリュームからしても、大杉栄と無政府主義者たちに対するかなり綿密な下調べの上に書かれているだろうとことは想像に難くありません。
主人公に乗り移った大杉が、主人公の兄や学校の教師を論破したりアジったりする件りは、その筆力に圧倒されます。
大杉と伊藤野枝が主人公とアイドルに憑依して××するあたりはなかなかのトランスぶりが表現されてましたが、全体的には案外大人しめにまとめられていて、もう一歩の破壊性が発揮されていればなあという印象。
ちょっと惜しい。
明らかに実在の人物をモデルにした人間が登場する一方で、何人かは実名そのままで出てきます。
石原慎太郎や小泉純一郎はともかく、宮崎哲哉と福田和也の出し方には笑ってしまった。
著者と因縁があるんでしょうか。 -
文学
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元祖「新人類」中森明夫による、「初の純文学作品」。
「初の小説」ではない点に注意。中森は1980年代に青春小説の傑作『東京トンガリキッズ』や、一部で高い評価を得た『オシャレ泥棒』をものしているのだ。
本作が版元が言うように「純文学」かどうかは、やや疑問。とくに前半のスラップスティックな展開は、純文学というより、『東京トンガリキッズ』の流れを汲むポップなエンタテインメントの趣である。
現代のパンク少年の心にアナキスト大杉栄の霊が降りてきて、少年の身体を借りて21世紀の日本を体験する物語。アナーキズムという共通項が、パンク少年と大杉の霊を架橋するわけだ。
この設定はすごく面白いと思うのだが、読んでみたら内容は期待したほどではなかった。
まず、主人公のパンク少年や彼が憧れる美少女アイドルなど、登場人物のキャラクターが紋切り型にすぎる。
少年がセックス・ピストルズのビデオを見て突然パンクに目覚める、なんて設定もひねりがなさすぎだし、雨宮処凛をモデルにした登場人物の名前が「天野カレン」だったりして、人物造型がいかにも安直(宮崎あおいがモデルの「宮崎やよい」なんてのも出てくる)。
前半にはポップにはじける笑いの要素も強い。いっそのこと全編スラップスティック・コメディにしてしまえばよかったと思うのだが、後半になると妙にシリアスだったりセンチメンタルだったりして、物語がいろんな方向にとっちらかっている。
中盤、主人公の兄(サブカル系売れっ子ライターという設定)と大杉の霊の対話などという形を借りて披露される中森流の大杉栄論は、たいへん面白い。だが、それは小説として面白いというより、小説に無理やり評論を接ぎ木したような面白さなのである。
そもそも、本作を小説にする必然性があったのだろうか? いっそストレートに大杉栄論ないしは評伝として書いたほうが、中森の力量が発揮できた気がする。 -
発売前から待ち構えて出た途端購入したのに、既に文庫にもなった数年後の今になって読んだ。
中で、映画「華の乱」を大正だよ全員集合と言っていてその通りだと思うのだが、この本は文献だよ全員集合という雰囲気。 -
面白かった。めちゃくちゃだったけど。
すごく先見の明を感じる部分がありました。 -
現代のパンク少年に、大杉栄が憑依する。 大杉栄しばりで読んできた、ファイナルを飾るには、軽い作品。。。
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タイトルやら帯やら謳い文句やらに惹かれてついうっかり。
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おもしろいおもしろい
大杉さんよい