サクリファイス

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103052517

感想・レビュー・書評

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  • 自転車ロードレースの世界を舞台に描く、青春ミステリ。

    サクリファイス=犠牲

    この本を読んで初めてロードレースについて知りました。
    個人競技のように見えてましたが団体競技らしく、
    勝つことを義務付けられたエースと
    勝たせるために自ら犠牲となり踏み台になるアシストたち。

    エースのタイヤがパンクしたらアシストが自分のタイヤをあげて何としても勝ちに導こうとするんですね。

    そんなスポーツがあったとは驚きです。

    なにかしらの妬みや問題やらが出てくるのですが
    そんな事よりも登場人物たちのロードレースに対する愛が
    素敵だなぁと思わせられるばかりでした。。。

    正直、ミステリ要素は薄め。
    ミステリ読みたい!!モードの方にはあまりおすすめはできないです。

    少しロードレースの専門用語が出てきますが
    あまり問題なく読めました^-^
    ゴルフ以外のスポーツはあまり関心が無いので
    ブクログに出会えていなかったら絶対に読んでいない本ですね。

    近藤史恵さん、今回も良かった!

    シリーズが何冊かあるみたいなので他も読んでみます◎

  • 感想
    自転車レースがチーム戦で、エースを勝たせるためにアシストがたくさんいるなんて知らなかった。しかも、名前が残るのは一番の人だけ厳しい世界だ。

    しかも、思ったより心理的なスポーツかもしれないという印象。他のチームとの駆け引きもそうだが、チーム内でも誰を勝たせるか、エースのためにどこまで自分を犠牲にできるかなど。

    最後まで読んで悲しい物語だったことが分かる。どんな世界もプロは厳しい!

    あらすじ
    自転車競技をやっている白石は、高校の陸上界で期待された選手だったが、陸上をあっさり辞めて自転車競技へと転向した。今は実業団チームに所属している。

    チーみには絶対エースの石尾がいて、新人の伊庭もセルフィッシュなところは敬遠されるがエース候補として名を挙げていた。

    ツール・ド・ジャポンで白石は、思いがけない1勝をあげる。一時はリーダーになったものの、思い直して、エースの石尾を勝たせるためにアシストに徹することでチーム・オッジは見事優勝した。

    続くリェージュの大会では、スペインチーム日本人を欲しているという情報からアピールのために第二戦を走っていたが、エースの石尾がレース中の事故で亡くなる。

    石尾が亡くなった理由は昔、石尾との事故で下半身が不随になった袴田からドーピングさせられた白石を庇うための行為だったのだ。

    その後、白石はスペインのチームからアシストとして採用され、世界大会を走っていた。

  • 自転車のロードレース選手の話。どろっとした部分もあるけれど爽快な読み心地。

  • エースのために、アシストは捨て駒になる。
    負担の大きい先頭は、敵味方関係なく、交代で担当する。
    独特の仕組みを持ったロードレースの魅力がよく分かる作品。
    スポーツ小説としてだけでなく、過去と現在の事故という謎もあり、面白く最後まで読めた。
    ヒロイン(?)香乃の軽率さには、共感できない。
    重いバトンを背負った白石の今後を応援したい。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-abd6.html

  • 西島秀俊さんのドラマ→シャルロットの憂鬱 から来たので、全然雰囲気が違って驚いたけれど、読み応えがあった。ツールドフランスなどの自転車競技のことはよく知らなかったので、そこも興味深かった。

  • 自転車競技のチームの役割などを知ることができました。 アシストの献身とエースの重責がチームに必要なんだ。

  • 再読。
    この作品で白石誓(チカ)に出会った。
    ロードレースというスポーツを知った。

    体力ももちろんだけど、
    敵味方に関わらず自分以外の選手と
    常に駆け引きしているのが
    精神的にきつそうだ。

    そしてこのタイトルの二つの意味が心に迫る、
    やっぱりいい作品だった。
    チカの元カノは嫌いだけれど
    シリーズ再読したいな。

    2年後に新刊が出ると聞いていたけれど
    近藤さんはもう新潮社に書かないと
    ツイッターで宣言をしていた。
    それはやっぱり変わらないのだろうか。

    チカファンとしては出版社なんてどこでもいいから
    出してほしいなぁ。

  • ただ、あの人を勝たせるために走る。それが、僕のすべてだ。

    勝つことを義務づけられた〈エース〉と、それをサポートする〈アシスト〉が、冷酷に分担された世界、自転車ロードレース。初めて抜擢された海外遠征で、僕は思いも寄らない悲劇に遭遇する。それは、単なる事故のはずだった――。


    最後にさしかかるにつれて、どんどん急展開になっていき
    そうなるかー!と、引き込まれてしまった。

    ただ、なんとなく読み終わった後に
    そんなことってあるか?とモヤモヤが残ってしまうけど、
    総合的には面白かった。

  • オリンピックの自転車競技の放映を観て、風除けになる先頭をライバル同士で協力して交替するようなことは聞いていた。
    他にも暗黙のルールみたいなものがあることは知らなかったので、ちょっとだけ自転車競技を理解できた点では本書を読んで良かった。

    題名の意味するところは、途中まではアシストの立場を表しているのだと思っていたけれど、最終的に違う部分だった。
    この行為はどうかと思う。

    香乃は他の方のレビューでも書かれているように私も嫌い。
    こういう女性は同性から嫌われるよね。

    自分の中で、★3つか5つかで揺れ動いたので間を取って4つ。

  • 「エデン」、「サヴァイヴ」と続く3部作の1作目。

    サイクルロードレースの世界での人間模様を描いた作品。勝利のためにサポートの選手を犠牲にすることを強いる強靭な精神の持ち主でないとエースになれない。そのエースをつくりだす役割に達成感を見出すサポートの選手たち。チーム力学のなかで自分の信念と立ち居地(実力)のバランスが取れないと強硬手段をつかってでもチームからさってもらわざるを得ない。そのエースが託す若手への希望をかなえるために取ったエースの決断。エースの信念と次世代に託す気概が良く描かれている。ストーリ展開も面白かった。

著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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