サヴァイヴ

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著者 : 近藤史恵
  • 新潮社 (2011年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103052531

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サヴァイヴの感想・レビュー・書評

  • 「サクリファイス」シリーズ3作目、6編収録の短編集。

    「老ビプネンの腹の中」
    老ビプネンとは、フィンランドのカレワラという神話に登場する巨人の神様。
    エデンの少し前、チカがフランスに移って4ヶ月ほどのころのお話。
    取材の対象を調べもせずに、煽っておもしろい発言を出させようとするような記者には「サクリファイスとエデンを読んでから出直してきたまへ」と言ってやりたい。

    「スピードの果て」
    サクリファイスの2年後で、終章のすぐ後ぐらい。
    我が強く勝気なエース気質で、脚質はスプリンター。誰よりも速く走り、勝利を手にすることを望む伊庭。そんな彼が思わぬトラウマを得、思ったように走れなくなる。
    伊庭の意外にナイーブな面が見られるが、反面、チーム内からの孤立・対立は気にしないのも彼らしい。
    最後にたどりついた結論も彼らしく、悔しさも笑顔も不敵を越えていっそ清々しい。
    伊庭目線のお話はまた読んでみたいな。

    「プロトンの中の孤独」
    赤城&石尾がオッジに入ったころのお話。
    石尾はわかるけれど、赤城もチームから浮いた存在だったとは驚き。

    「レミング」
    プロトンの――から2年後。
    オッジの単独エースになった石尾と、すっかり角が取れてきた赤城。
    石尾と周りとの緩衝材になり「石尾係」とまで呼ばれているが、肝心の石尾のほうにはまだ壁がある。
    そんな石尾が赤城に敬語を使わなくなる=垣根が取れた瞬間が描かれていて感慨深い。
    赤城のアシストとしての感情の発露がきっかけなのだが、そこから石尾の本当の意味でのエースの自覚ができたのかもしれない。
    アシストの夢を喰らって手にする重い勝利を背負い立つエースの。

    「ゴールよりももっと遠く」
    レミングの5年後。チカと伊庭がオッジに入った年。
    石尾は押しも押されぬエースとなり、オッジは彼のためのチームとなっている。
    描かれるのは、スポンサーあってのスポーツの闇の部分。仕方の無いことと思う気持ちと納得の出来ない気持ち、割り切れなさ……。
    石尾の静かで激しい、彼なりの抗議行動がかっこよすぎる。
    ラストシーンのふたりの会話がまたいい!

    「トウラーダ」
    エデンから数ヵ月後、ポルトガルに移ったチカ。
    一本目のチカ話と同じくドーピングがらみのお話で、死人は出ないものの、やるせなくてちょっと後味もよくない。
    ゴールよりも――のラストがとてもよかったので、そのまま終わってほしかったかも。

  • はー、面白かったなぁ。

    若手の頃の石尾さんと、石尾係になった赤城さんの絆に
    しびれた。たまらなくかっこいぃ。
    アシストって女房役でもあるんだね。
    赤城さんに魅かれる。

    伊庭の「スピードの果て」も良かった。

    ところどころ猛烈に懐かしくって(特に石尾&赤城)
    感動と切なさで、泣きそうになりながら
    読破。また「サクリファイス」から読み返したくなる。
    もう星5をつけたくなる!

    最後の「トウラーダ」(油断)は、スポーツの世界の厳しさを
    改めて突きつけられた。
    おぉ…爽快感が少し減り現実に戻った。星4に。


    それにしても、がむしゃらに戦う男たちは、かっこいいな~と
    このシリーズ読んで良かった・・・と心から思う。

    素敵だなーと思う本棚さんには、十中八九このシリーズがあって
    本棚に置いていた皆様に感謝したいです。

    「キアズマ」楽しみだけど、予約数が多くて
    気が遠くなりそうです。早く読みたい。


    このシリーズでロードレースの知識がついたような気がして
    (気がするだけ、読めばすっかりその気になる・悪い癖)
    そして「弱虫ペダル」も楽しく見れるのです♪

  • 自転車ロードレースの話で、今回は短編集。1つはStory Seller1で読んだ事のある話だった。
    今までのような激しいレースシーンに興奮する事はないが、ロードレーサーの苦悩や葛藤が描かれていて、読み出すと夢中で読んでしまった。非常に面白かった。
    「サクリファイス」でも重要人物の石尾さんの話が読めた事が嬉しい。(3作あり、それぞれStory Seller1~3に収録されている模様)やはり、石尾さんは真のロードレーサーだった…。

  • 読了。サクリファイスシリーズの外伝的な短編。日本ではまだメジャーではない自転車のロードレースが舞台。ロードとは団体競技か?個人競技か?そしてチームのエースとは?

  • 「サクリファイス」、「エデン」の過去、未来の話を扱った6つの短編集ですが、非常に面白く、短編であったため読みやすくサクサク読むことができました。
    特にあまり目立たなかった赤城とエース石尾の関係を扱ったサブストーリー3作が個人的には好きでした。
    このシリーズの主人公である白石の「エデン」後のストーリーも含まれてましたが、今後、ちょっと展開が難しいと思いますが白石の続編を期待したいのと、赤城と石尾の関係のようなスピンオフ的な作品もまた作って欲しいと思います!
    フィクションであるにも関わらず臨場感があって、このシリーズは本当に読みごたえがありますね。

  • 白石誓がミッコ・コルホネンと初めてチームメイトになる話が最初に出てきたので、シリーズの順番を間違えてしまったのかと思い、各発行年度を再度確認してしまった。
    話の中での年代が行ったり来たりしているだけのようで、間違ってはいなかったようだ。
    内容を忘れてしまった1作目のサクリファイスも、同時にもう一度図書館から借りてきて簡単に内容を確認した。

    全くの個人的印象…シリーズ3作目でやや飽きてきてしまったが、面白くないわけではない。
    4作目はまた設定が違うようなので、読もうかどうしようかちょっと悩む。

  • サクリファイスからエデン、その過去と未来を主に赤城やチカの視点で描く。ロードレースの団体競技としての魅力と面白さもさることながら、基本的にストーリセラー等に収録された既刊の短篇集ですが、若かりし頃のエースを狙う石尾とそれを支える赤城の思いや、チカがヨーロッパに渡ったあと日本でもがく伊庭の姿、ミッコと共にポルトガルに渡ったあとのチカの姿が、物語の隙間を埋めて行くかのよう。しかし、ここまでくると、チカのロードレース選手としての到達点へ至る本筋の物語を長編で読みたい!どうかお願いしますm(_ _)m

  • 2013.09.14 読破
    ☆3.5
    サクリファイスシリーズのキャラクタースピンアウト版。サイドストーリーテイスト。
    赤城さんが等身大すぎて、味があっていい。

  • このシリーズ大好き。

  • レースというものは残酷でもあり、優しいものでゴールが必ず設定される。ゴールに到着すること自体が難しく、途中でリタイアする様はまさにどの世界でも存在する。
    その中で、上位を取ることを運命づけられたものとひたすらその人のために脇役に徹する人間とのカースト制の中で、中途半端な才能は、無用に人を惑わす。神と人と悪魔の間の中で揺れ動き、とりあえず人の形を保ちながら、レースのゴールは駆け抜けてもどこに行こうとしているのか見えない人たちの苦悩は、まさに僕達が抱えている不安と同じだ。魂を悪魔に売ってでも神になろうとする人や、世界から降りることを選んだ人たち、人であることの限界を極めようとする人たちのまさに「人間模様」が、この本では、自転車ロードレースという箱に詰められている。

  • サクリファイスシリーズ3作目。少し時間を巻き戻して赤城の視点からチームを見る。ときどき前作の場面が私の中でフラッシュバックする。
    近藤史恵という作家は「いい奴」を描くのがうまい。世渡りがあまりうまくなく不器用だがいい奴、を描くのが。

  • 『サクリファイス』『エデン』に続く最新刊。短編集です。前の二巻に描かれている時期の出来事や、その前後の出来事が描かれています。海外での挑戦を続けるチカに共感し、感情移入して読みました。石尾と赤城の連作はもちろんですが、伊庭にスポットを当てた作品もあります。どれも面白く、読みごたえがありました。自転車競技が日本人に理解されない、と嘆くチカの姿には、作者の思惑も秘められているように感じました。

  • ロードバイクシリーズの短編集。ストーリーセラーで読んだことがあるので、新鮮味にかけたけどやっぱり面白い。

  • サクリファイスとエデンのサイドストーリー。

    個人的には白石誓の話が少なかったのは残念だったけど、
    石尾豪の話を読むと愛らしいキャラクターだったことが意外だった。

  • このシリーズ、大好きです。

    自転車ロードレースの知識は何もない私ですが、このスポーツに興味がわくぐらい、面白い。

    やはり一作目の「サクリファイス」の衝撃には及ばないけれど、サイドストーリーとしてこの短編もとても良かった。

    またサクリファイスを読み返したくなりました。

  • 「サクリファイス」「エデン」に続く自転車ロードレースシリーズ第3弾。

    第3弾だけれど、続編ということではなく、2つの作品の未来と過去を描く短編6片。視点も、前2作の主人公であるチカだけではなく、色々な角度から、1つ1つの短編の世界を、そして、過去2作では語られなかった別視点での深い部分を読むことができた。

    自転車ロードレースの世界で…、あの2つの物語の中で…、生き残った者たちが語るあの時の心情、あの事件を越えて前へ進む時間。過去には語られなかった人物像が生き生きと描かれていて、時をさかのぼって、全ての出来事をもう一度見てみたい…という気持ちになりました。


    この短編集だけ読んでも面白いかもしれないけれど、もしも興味を持ってくれた人がいたら、「サクリファイス」を読んでから読んで欲しい。そしてこの短編集を読んだ後に、もう一度「サクリファイス」を読んで欲しい。

  • 石尾さんがいいかなあ
    白石さんは、あんまり出てこない

  • 文句なしに面白かった。
    主人公の「身体の痛みも、不快感も、すべて生きている証だ。」という台詞に共感する。
    たぶん自転車に限らず持久系の競技を愛好する人は少なからず感じるところがあると思う。

    図書館にて。

  •  読んで良かった。なるほどぉ。石尾ってぇ。へぇ。って思う。連作短編で、
     ばっさり切り捨て帰結感が、とても心地いい。「ゴールよりももっと遠く」は、
     じり貧の音楽業界と粗造の偶像とかが、少し頭の片隅を過る。薄暗いところとか、
     自己犠牲とか、嫉妬とか、嫌がらせとか。スポンサー、パトロン、できレース。
     楽しければ良いかな、とは思うけど、ロードレースに限らずスポーツの世界は、
     潔癖であって欲しいと思う。何故だか解らないけど。判らないのだけど。
     (二伸)不謹慎かもしれないけど、薬物、根回し、超演出。なんでもありの
     オリンピックも観てみたい。とか言い出しってけど、やっぱりダメ。書いてて、
     「あたしのジョー」が浮かんできたので。

  • 『サクリファイス』シリーズのサイドストーリーを集めた短編集。それぞれ時期や主人公が異なるため、前2作を補完する様なエピソードの寄せ集めになっていて、初出時に読んだものも多かった事もあり、今ひとつ盛り上がりには欠けた。しかしその分、より選手のメンタル面から描かれていて、ロードレースファンには楽しめる内容になっている。シリーズの続編が早く読みたい。

  • 「サクリファイス」「エデン」にまつわる短編集。
    改めて、自転車ロードレースという競技の面白さを感じました。
    かなり内面的なことに影響を受ける競技なんだな~と思います。
    登場人物一人一人の個性が大きく出る話しのいくつかです。
    前作2作を読み直したくなります。

  • 「サクリファイス」「エデン」に続くシリーズ3作目。
    知らなかった自転車ロードレースの世界を垣間見ることができ、大好きなシリーズだ。
    今回は短編集で、赤城や石尾やチカの尽きないエピソードが読めて面白かった。
    清々しいというか、すっきりした気持ちになるというか、読みやすくて、心が広がってゆくような読後感。

  • サクリファイスに出ていた人たち視点のお話で、ファンとしては嬉しい一冊。
    短編な分、面白味も少し減ですが。

  • 3作目。相変わらず面白い。
    でも、だいぶ深いところまで書いているので、ロードレースに興味のない人はどう感じるかは分からない。

  • 思うに、サクリファイスからのスピンオフ。ミステリー若しくはサスペンス的な要素はほぼ皆無。まあ、悪くは無いと思うが、サクリファイスの出来が良過ぎたのかな、と思う。

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他人の勝利のために犠牲になる喜びも、常に追われる勝者の絶望も、きっと誰にも理解できない。ペダルをまわし続ける、俺たち以外には-。日本・フランス・ポルトガルを走り抜け、瞬間の駆け引きが交錯する。ゴールの先に、スピードの果てに、彼らは何を失い何を得るのか。

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