スティグマータ

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 185
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103052555

感想・レビュー・書評

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  • ぐんぐん読めてしまう。チカも大人になったなあと感慨深い。人間は物語を求めてしまうものだけれど、自己承認欲求が強い人間ともなると、それが狂気じみてくるのだなあと思った。

  • 大好きなシリーズ最新作!

    ロードレース中の描写は相変わらず素晴らしい♪
    チームトライアル中の時なんてドキドキドキドキ。一文字読み進めるのすらもどかしいくらい先が気になりました。
    これまでのシリーズもあってこのレース中に落車とか?!
    誰か事故に巻き込まれる?!とかって焦燥感もあってあっという間に読み切りました^^

    今作のチカはニコラのアシスト。
    これまでのミッコや伊庭も出場しててよかったです♪
    個人的にはミッコとまた走ってほしいなぁ。。
    下りが得意とか、すごいなぁ。ラインが見えるって研ぎ澄まされた感覚、なんだろうな。
    下りの先のゴールをニコラに譲ったチカ。 こういう要所要所でチカの葛藤、エースとアシストとの違いを考えさせられる書き方がニクイっ!!

    次回作もニコラと走る伏線もあったし、だんだん年を重ねてくるチカのこれからも楽しみです。

  •  シリーズ5巻目、ツール・ド・フランスをチーム・フランシュオランゼのニコラのアシストとして参戦する白石誓が主人公。

     数あるロードレースの物語のなかで、アシストを主人公の役割に置いた点が他の物語と異なる。
     アシストである分、冷徹に周りの状況を観察し、その心理描写が細かい。
     普段は冷静に状況を判断する誓だが、ここぞという場面ではニコラのアシストに脚を使う。
     そして自身がステージ優勝できそうな場面でも、エースであるニコラの総合優勝のために勝ちを譲るシーンの心理描写は特筆すべき。

     日本代表のレージャーを着てツールを走る昔からの知り合いの伊庭を、誓は羨ましくも、またアシストとしての自分の立場を想い複雑な心境で彼の参戦を祝福した。

     伊庭が走るチームには、かつて最強のチャンピオンだったが、ドーピングでレースを追われたメネンコが所属していた。
     伊庭を通してメネンコに会った誓は、誓のチームメイトから恨みを買っているとメネンコから打ち明けられる。
     
     レース初日、誓の所属するチームのエース、ニコラはスタート近くに、既にこの世を去ったかつてのチームメイトの姿を見たと言う。

     不穏な空気が流れるなか、ツール・ド・フランスは約200人のレーサーを飲み込み三週間のレースが続く。

  •  サイクルロードレースの選手白石誓は、ヨーロッパで活躍する数少ない日本人選手だ。毎年所属チームを心配しながらの不安定な立場だが、大好きな自転車はやめられない。
     日本選手権優勝者の伊庭という男が、ヨーロッパに来て活躍しだした。伊庭とは仲が良いのだが、誓は自分の立ち位置を脅かされるような焦りを感じ始めた。

     ある日伊庭から頼みごとがあると言われた。伊庭のチームメイトでかつての英雄メネンコが復活したが、ある選手からいやがらせを受けていると言う。その選手は誓のチームメイトらしいので、メネンコに危害が及ばないように監視してほしいと言われたのだ。

     

  • 自転車のレースの話。外国でのレースに出る厳しさ、人間関係、スポンサーのことなど、普段わからないことが少し理解できた。

  • 2016.10/11 待ちに待ったチカの長編っ♪初めから不穏な流れでドキリとさせられながらも、ニコラやミッコとの変わらない信頼関係にスポーツらしい爽やかさ温かさで満たされ、そして後半は心拍数上がる上がるっ!これでまたチカの続編は出されるとみたっ(^o^)/ スティグマータ:聖痕

  • 2017/12/23
    あーあ、チカかわいそうに。
    貧乏くじ引いたね。でもすごく充実した人生だと思う。
    メネンコが襲われてリタイヤしたいのはわかってたけど、それをさせなかった上にまだ走るメネンコを描いた神(作者)の心意気みたいなのを感じた。
    あとチカに「明日走れませんかね?」と言わせたところにも。
    って書いてて思った。
    すごくおもしろかったけど、私が時々陥るチカ達がヨーロッパで生きていてこの物語を現実に紡いでいるような感覚には陥らなかったんだね。
    常に近藤さんやるな~流石やな~みたいな意識があった。
    なんでかな。

  • おもしろかった!記憶がおぼろげなので、シリーズ最初から読み直したくなった。
    エースを総合優勝へ導くためにステージ優勝を手放すアシストの場面に複雑な気持ちになった。アシストの矜持に燃えるものを感じつつも勝ちを手にしてほしいとも思ってしまった。そんな複雑。
    不可抗力での離脱とはいえチカは来季の契約大丈夫なんだろうか。まだまだこのシリーズ続いてほしい。

  • 近藤さんの自転車長編5作目「スティグマータ」です。
    5作目ですが、実際は「サクリファイス」から「エデン」。そして本作の「スティグマータ」に繋がる3作目(だと勝手に思ってます。)
    チカは、まだまだヨーロッパで頑張っています。アシストとして、ツールを走っています。(感動)
     
    題名の「スティグマータ」は、ウィキだと「聖痕(せいこん)」って事らしい。結末まで読むと、何となくそう言うこと?って感じ。
     
    私的に「サヴァイブ」と「キアズマ」は、イマイチ感があったのですが、今回は「来た来た。コレだよ!!」って言う面白さ。

    あそこで、アシストに徹するのも、チカらしい。
    まだまだ、第1線で走って欲しいです。

  • 企みとか疑惑とか事件とか色々あるけど、なんかそれより主人公のチカ大好き!てなってしまった。
    やはりシリーズものなので、登場人物たちへの愛着もあって、皆報われてほしい。でも勝負の世界で皆一位なんてことは絶対にない。終盤のレースは涙ぐみました。
    スティグマータ《聖痕》を負ったメネンコの選んだやり方は最低だけど、ボロボロになりながらもペダルを漕ぐ姿をみると彼の苦しみも思いやられる。

    チカはレースだけでなくプライベートでも「アシスト」的振る舞いをしてしまうが、そんな彼が最後に自分の気持ちに素直になったのでニヤリとした。

    stigmaは汚名とか恥辱、stigmataは複数形らしい。ということはメネンコだけでなく…。
    このシリーズはタイトルも良い!

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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