愛なんて嘘

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103056546

作品紹介・あらすじ

誰といても孤独なのは、結局、この世界が人々の裏切りで満ち満ちているから。結婚や恋愛に意味なんて、ない。けれどもまだ誰かといることを切望してしまう。正解のない人生ならば、私は私のやり方で、幸せをつかみとる。かつての恋人を探し続ける女。死んだ親友の妻に同居を強要された男。離婚し、それぞれ再婚しても二人で添い遂げる約束をし続ける夫婦。自己愛という究極の純愛を貫く六つの短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。帯に惹かれて。
    私には私しか、いないー。
    恋なんて白昼夢。結婚なんてまやかし。
    けれどもまだ誰かといることを切望してしまう。

    正解のない人生ならば、私は私のやり方で、幸せをつかみとる。

    夜を想う人
    恋人の元妻が帰ってきた。15年も前に離婚している相手だ。
    男女の別れ。一緒にいるだけで幸せってことではないって最近わかってきた気がするけどでもまだ一人でっていうのがうまく納得できない気がする。もう少し大人になってみればわかるのかなぁ…。

    二人のプール
    一度別れた男と今でも繋がっている女。お互いに別の家庭を持っており子どももいるが元に戻ろうとする。別れた理由も納得できないし、戻ろうとすることもよくわからない。

    河底の人
    急に姿を消した恋人に再会する。なぜ姿を消したのか問うと自分に会ったからだという。

    わたしのリッチ
    猫と昔の男と今の男。

    傷痕
    不倫をされている男と部下の話。
    一年後新しい人生を歩まないか、という誘いをされた。

    星と泥棒
    亡くなった親友の奥さんと娘が泥棒に入られたことにより家に住むことになる。


    人間なんてみんなクズだよ。


  • 恋人がいても、旦那や妻がいる人びとが主人公の短編で
    愛は無視できないということを改めて感じます。


    この短編を面白く感じるポイントは
    主人公やその交際相手は定職に、一般企業で働き、そこそこの収入もありそうな人々であるということ。

    そんな割と恵まれた環境にいながらも、愛が芽生えれば現場にお構いなしで心にしたがう。

    「愛の力」なんて、使うのも恥ずかしいような言葉ですが、それを感じます。



    彼ら彼女らが真っ当で、かつ現代社会では中流階級の人々だからこそ、
    この恋愛物語は読み手に共感以上夢物語未満の「憧れ」の想いを芽生えさせるのでしょう。



    これは世の中の年齢や婚約者の有無で恋愛を忘れかけていたひとびとロマンを想起させなおす、ある意味アブノーマルな本かもしれませんね。

  • 名作

  • 短編集ですが、どれも登場人物がどこかへ行ってしまうお話です
    人が抱えている狂気がとても怖いストーリーばかりでした
    もう読みたくありません

  • 愛のカタチは人それぞれ 計り知れないもの

  • 最初の「夜を想う人」を読んで、うわあ、と思った。うわあ、私この小説めちゃくちゃ好きだ…。
    好き嫌いがわかれると思う、というか、この主人公たちの気持ちはわかるひととまったくわからない人にばっっっさり分かれると思う。私はわかる気がした。
    こんなの書ける人がいるんだ、しかも男性なのに。と思ったけど、こんな想いを抱くのに実は男性も女性も関係がないんだって、究極の「自己愛」の小説だいうコピーを読んで思った。帯に書いてる「狂気まみれの純愛」って、自分に対するもののことだったのか。
    そう思って読むと、これは恋愛小説ではなく、自分の生き方探しの話。(恋愛をとおして自分探しをする、というのともなんか違う)
    こんな視点から恋愛を書くなんてすごいなあ。

  • 夫婦、恋人のいろんな愛の形がテーマの短編集。若い人向けじゃないかなぁ。割と簡単に今の生活を捨てて恋人の元に走る女性が何人か登場しますが、ある程度生きてきた私なんかは「そんなに簡単に今の生活捨てられないよ」は思ってしまったから。ある意味、夢があっていいんだけど。ラストが中途半端で終わるものも多くモヤモヤが残ったのは残念。

  • 型にはまらなすぎる・・愛の物語・・・6短編。

    ■「夜を想う人」
    うーん、与田(男性)は結局自由を求めていて、そういった作者(男性)の潜在意識が物語になった感じー?。
    ■「二人のプール」
    登場人物に一番共感できなかった物語。
    話の素材は面白くて、物語としてこの先どうなるの?と、どんどんページが進んだものの・・・最後のオチで肩透かし。
    ■「河底の人」
    あるわだかまりで女性のもとを去っていった男性と、その男性のことを忘れられない女性の再会。
    これは現実にもありそう。
    一途な愛とも言えるし、自分の気持ちしか考えていない愛とも言えるし、受入れられずにいる終わった愛とも言えるし・・・・・。
    ■「わたしのリッチ」
    あかんあかん、そんな男とは別れなあかん・・・
    と、当人でなければ言うでしょう。
    ■「傷痕」
    自分の妄想を愛してしまったのでしょうか・・・
    未知の世界が妄想を増長させるのでしょうなー
    ■「星と泥棒」
    この話が一番好きかな。
    愛する心を抑えるのは難しい・・。相手のことを思いやっているつもりでも、他の人を傷つけているかもしれない。
    みんな苦しんだ愛だけど、それが「愛」だけに否定できない。

  • 2016/05/23読了
    「誰といても孤独なのは、この世界が人々の裏切りで満ち満ちているから」

    まさにタイトル通り、理性的ではない6話。心の奥底にいる相手のところへ向かう潔さ。どれも箍が外れるというのとは違う。久しぶりに読んだ白石さんやっぱり好きだ。しかし残念なことに エロくなかった....
    白石一文なのに←

  • こういう恋愛小説たまらなく好き。
    でてくる男も女も、みんなまともじゃないです。どうかしてる。普通じゃない。頭おかしい。
    でも、それでも、とどこかで彼らを肯定したくなるのはどうしてだろう。
    何が幸せかなんて、愛がどういう形を成すかなんて、誰かが決められるものではない。
    人はみんな孤独で、世間一般で信仰されている愛もただの甘やかな思い込みに過ぎないのだと思わざるを得ません。
    孤独の深淵をのぞきみてしまったら、その思い込みさえ幻のように揺らいでいく。
    だったらもういっそ身勝手に生きさせてほしい。
    この世界はすべて嘘で、嘘にまみれていて、嘘の中で生きていかなくてはならないのだから。
    愛なんて嘘。

    夜を想う人
    二人のプール
    河底の人
    わたしのリッチ
    傷痕
    星と泥棒

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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