家族の勝手でしょ!写真274枚で見る食卓の喜劇

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103058526

作品紹介・あらすじ

お菓子で朝食、味噌汁回し飲み、夫と妻の昼飯格差、赤ちゃんの一人食べ、家庭のネットカフェ化-食卓ナマ写真が映し出す今どきの家族像とは?前作『普通の家族がいちばん怖い』に続く、10年以上に及ぶ徹底的な食卓調査の集大成。

感想・レビュー・書評

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  • 喜劇、というよりホラーです。
    2003年~2008年までの調査を元にした食卓の現実から見えてくる家族の今。
    1週間の家族の朝昼晩の食事を撮影してもらい、
    細かな状況を書き込んでもらう調査は、
    協力してくれる家族なしには成り立たない。

    事前調査で主婦が書いた自己評価の高さ
    (実際はあるべき姿「家族には野菜たっぷりのバランスのとれた献立を用意している」とか)と、
    調査後のヒヤリングで、実態と違うことを指摘された後に出てくる
    言い訳(むしろ居直り)の言葉に激しい違和感を感じる。
    日本語としての「てにおは」も、
    そこだけを取り出した時の通りのいい文章は間違ってないが、
    その状況の言葉としてあまりにも不似合いで気持が悪い。
    自分や夫だけならまだしも、5歳8歳などの子供に
    自己決定権・選択権を与え、自主性を尊重するのはどうだろう。
    子供に判断できるだけの経験も選択肢も助言も与えられず、
    「出しても食べないから出さない」(食べさせるのは疲れるからやらない)
    「好きなものを選ばせて食べさせている」
    (でも選べるのは既製品の揚げ物や菓子パンや冷食)
    「子供が疲れて眠ってしまったので夕飯を作らなかった」(ネグレクト一歩手前)
    この本を読んでいると、子供の空腹の訴えは、予期しなかった天災のようだ。
    空腹になるまで用意をしない(そもそも冷蔵庫に野菜がない)ことに関しては、
    また別の自分都合の言い訳があって、
    目の前の危機(夜8時に突如として発生した子供の空腹)に対応するのに、
    料理してると間に合わないから、
    <strong>すぐ</strong>食べれる物でごまかされる子供。

    毎日のことなのに。

    一番きもちわるかったのは幼稚園の指導かなあ。
    「<strong>子供に達成感を与えるために</strong>弁当には子供が好きなモノを
    (残してしまう野菜なんか入れてはいけない)
    食べきれる量だけ、入れてください」
    本当にこんなこと言ってるんだろうか?
    「克服」という要素のない「達成感」は無駄に「全能感」を与えるだけなのでは。

    ただ少なからず自分自身も同じような献立や食べ方をしているわけで
    気持がわからなくないこともないが、
    でも今感じてる違和感はちゃんと残しておかないと、
    このゆがみが平然と常識に移行して行ってしまう怖さがある。
    学校教育って「私の肥大化」と「自己正当化する程度の日本語力」を与えるために、
    行われたわけじゃないはずでしょ。

    他にも立ち止まってしまう要素が山盛りあって、
    いろいろ考えてしまった本でした。
    http://takoashiattack.blog8.fc2.com/blog-entry-1954.html

  • 妻と話し合いながら読み終わった。
    著者は現実の食卓を調査して、あるがままの現実を見せたいのだと思うが、問題の切り取り方著者の価値観に準拠している以上、著者が考える理想像が透けて見える。

    その理想像が良い悪いではなく、少なくともある主の断絶を感じる。著者と私の間にも、私と妻の間にも。この本を評価する人の中にも断絶がありそう。

    ただの説教に陥らず、現実をみる一助となる本です。ここをふまえた上で、次の理想を語りたい。

  •  これは告発の書であり、断罪の書である。
     長年の調査をもとに書かれているが、その調査データをフェアに分析している様子はなく、むしろ印象的な事例をいくつかのパターンにまとめて紹介している。
     著者にとって印象的な事例とは、すなわち”あきれた食生活”である。「こんなのありえない」「昔はこんなのほとんどなかった」-ストレートにそう語りはしないものの、そうした気分が文面にあふれ出ている。その書きぶりは、調査対象の主婦を見下す姿勢が明確で、調査者としての公正さや良識は感じられない。週刊〇代とか、その手の週刊誌の記事みたいだ。小姑根性全開。
     あと、「餌場型の食卓」とか「ネットカフェ化する家庭」とか、いかにも広告会社的なフレーズも散見され、うまいこと言うなと思いつつ何だかいやな感じがする。
     ただ、下世話な興味は満たしてくれるし、これはこれで話のタネにはなるので、問題提起の書としては有用かもしれない。

  • 本来、菓子パンはおやつだと思う。それも、特別な日の、ケーキに匹敵するくらいの砂糖と油(買った物なら添加物)の甘いもの。
    お寿司もピザもお肉も。

    でも、この本を読むと、それらは普通にそこにあって、食べたいときに食べたい人が簡単に食べられるもの。火を使う必要さえない。

    そのこと自体を責めるとか最早そういう問題ではなく、この事実を受け入れて、もう一度自分の食卓を見直そうと思った。
    自分は子どもに今何を用意して、将来どういう食生活を送ってほしいのか。それをただ実行するだけでなくて、伝えたり話し合ったりしていこうと思った。

  • あんたらのそれは愛情じゃねえ!って胸倉つかんで揺さぶりたくなる
    同時に自分の母親のありがたさを実感。
    小さいころからおいしいご飯をありがとう

  • 一日三食×一週間の中から一部だけをとりあげるっていうのは
    揚げ足取りすぎ感がなくもないけど
    その写真にまつわるインタビューを読んだらちょっとびっくりする。
    脚色なしなら、かなりコワイ現実。

  • このような家庭が本当に今日本で多いとすれば,ぞっとします。

  • この本は、料理めんどくさい?と思ったときに自分をアゲるために読むのが正しいかも!
    さらにインタビューと実際が違うって、マーケティングをする立場の人にはトホホな気持ちになる真実。
    いろいろ衝撃的でした。

  • 【鈴木琴子先生のオススメ : 食べることは何のためと考えさせられる本】

    この本を買ってきて、リビングのテーブルに置いておいたところ、この本をパラパラととめくった高3の娘が一言「うちの食事と似てるよね。」「週末はもっとがんばって食事作っているつもりだけど・・・(冷や汗)」と私。「そっ、そう?だよね・・・(無言)。」という会話か交わされました。私は、この本を読んで以降、できる範囲で食事づくりには気をつけようと心を入れ換えました。この本を読むと、タイトルにある「喜劇」という文字が示す通り、食事という概念が変わったのではないかと思わせられます。
    “食”について学校でも教えることになっていますが、その基本である家庭の食事はどのようになっているのでしょう。学校では見られない、家庭の日常を知る手がかりになります。教員志望の人はぜひ読んでください。

    【配架場所】図書館1F開架 498.5/IWA

  • ある意味すごい本です!というか、こういう世界もあったのか!ありなのかっ?!と、大いに考えさせられる本です。
    我が家と同じ、小さな子を持つ家庭の、ゆるぎない、真実の食卓。
    どうりで、最近の若い主婦は野菜を買わないんだなぁと思っていたら、そうなのか!と、目からうろこ、とはこういうことを言うのね、と一人納得。
    自分だけ衝撃を受けるのは癪なので、本嫌いの夫に無理やり読ませたら
    「普通ありえないだろ、こういう家庭。たまたまじゃないの?…でも怖いし」
    と、コメントいただきました。
    「今日はご飯作りたくないなぁ」と思ったら、この本を開くべし、ですっ!

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著者プロフィール

1953年北海道生まれ。法政大学卒。大手広告会社勤務等を経て、現在大正大学客員教授、日本能率協会総合研究所客員研究員。1960年以降生まれの人びとを対象とした20年に及ぶ継続的な調査研究に基づき、現代の家庭や社会に起きるさまざまな現象を読み解くことをテーマにしている。著書に『変わる家族 変わる食卓』『「親の顔が見てみたい!」調査』『普通の家族がいちばん怖い』『家族の勝手でしょ!』『日本人には二種類いる』など。第2回辻静雄食文化賞受賞。

「2017年 『残念和食にもワケがある』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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