ブラック・ジャック・キッド

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 183
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103059714

感想・レビュー・書評

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  • 小学3年生、織田和也。将来なりたいものはブラック・ジャック。

    彼はなんとなくブラック・ジャックに憧れているわけではない。服装、髪型、持ち物、全部ブラック・ジャックと同じにしたかった。
    自分をブラック・ジャックと思い込んでいた。

    黒いコートをマント代わりにしている彼は同級生から見ても奇怪。
    バカにされることだって何度もあった。

    でも他の男子とは違う彼に女子たちは惹かれていく。
    パンツを見せてきたり、お医者さんごっこと称して性行為まがいの勝負をする女子たち。

    彼も女子を守るために上級生を返り討ちにする。

    学校でうまくいき出したのに、彼の家庭環境は悪くなっていき、父親は借金で苦しみ、母親は家を出る。

    金銭的な面から引っ越しすることになった彼は、新しい学校で浮いてしまう。ブラック・ジャックかぶれの少年に対する同級生のまなざしは冷たかった。彼は小学5年生になっていた。

    友だちもいない生活のなかで彼は女の子の姿をした神様に出会い、状況が少しずつ変わりだす。
    ちょっかいを出してきていたワルガキたちはおとなしくなり、児童館で友人を見つけ、ブラック・ジャック以外の素晴らしい漫画、素敵な小説を教えてもらう。

    運動会のリレーや学芸会での演劇で彼は居場所を見つけ、恋をする。

    彼は好きな女の子の弟を助ける。
    名前を聞かれた彼は「ブラック・ジャックだ!」ではなく、「織田和也」と名乗る。

    ブラック・ジャックと同じくらい大切なものが彼にはいくつも見つかっていた。友だちがそれが教えてくれた。
    彼は小学6年生になっていて、もうすぐ中学生だった。

    --------------------------------------------

    男の子が成長していく過程を感じられて、気持ちよく読めた。
    物語の雰囲気的には、『みなさん、さようなら』に似ていたかも。

    織田和也が過去を振り返る形で語られていき、最後に現在の年齢や状況を言うのが少しさみしかった。村上龍の『69』のオマージュなのかな。

    大人になった織田和也はブラック・ジャックにはなれなかった。
    でも手塚治虫には少し近づいていた。

  •  なんだか不幸なんだけれど、それが当たり前になっていて、夢中で、独りよがり。忘れてしまった子供の世界って感じ。

  • さくさく読めて面白かった。
    ちょっとエッチな要素もあったけど、そこを含めて笑えたー
    面白いだけじゃなくて生い立ちなんかは暗くって、人生楽しいだけじゃなくて辛いこともあるんだなと当たり前のことを考えた。

    ただ、幽霊要素はちょっと受け付けなかった。
    ただ頭の中のお友達なのかと思ったら、いじめっ子たちを懲らしめてくれて、こっちが「あれ?」となった。そこはいじめっ子たちにも姿は見えなくて(妄想だから)自分の力で解決するって流れにしてほしかったかなぁ。
    現実っぽい話の中にそういう異次元のものが絡む話はあまり得意じゃない。

  • 面白いと思います。

  • 久保寺さんの主人公は面白い。というかどこかおかしい。でもそこがいい。

  • 少年の純粋さがとてもかわいらしい。
    なくしてしまった子供のころの気持ちを少し思い出させるような作品。
    ブラックジャックが大好きな少年。  マンガを何度も何度も繰り返し読んでいろんなマネをする。
    純粋にあこがれのめり込み、熱中できる少年時代。

  • 「ブラック・ジャック」大好きで服装まで真似する小学生の和也。両親の離別、転校、いじめ…。過酷な生活をブラックジャックを心の支えに乗り越えてゆく。青春小説。

    面白かったです。ファンタジー部分はいらないような気がしますが・・。
    ほとんどアダルトチルドレンといっていい、サバイバルな生活をタフに乗り越えてゆく主人公に好感を感じました。
    オタクの友達ができたり、ぐんぐん成長してゆく姿はほろりとさせられます。ブラックジャックを支えにして生きるさまはいじらしいです。

  • 081109

  •  ミステリーじゃないけど、普通に面白かったので。

  • ★…4.5くらい。なんか…感動した。胸がジンとした。(語弊があるけど)子ども達がキャッキャしてて、「明るくて面白くて温かい」だけのお話じゃなかった。

著者プロフィール

1969年東京都生まれ。立教大卒業。2007年「みなさん、さようなら」でパピルス新人賞、「ブラック・ジャック・キッド」で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞、「すべての若き野郎ども」でドラマ原作大賞特別賞の新人賞三冠を達成。他著に『空とセイとぼくと』『オープン・サセミ』『ハロワ!』『中学んとき』『青少年のための小説入門』などがある。

「2022年 『明日はきっと お仕事小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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