ジーン・ワルツ

著者 :
  • 新潮社
3.54
  • (165)
  • (468)
  • (614)
  • (66)
  • (11)
本棚登録 : 2683
感想 : 425
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103065715

作品紹介・あらすじ

桜宮市・東城大学医学部を卒業、東京・帝華大学に入局した32歳の美貌の産婦人科医、曾根崎理恵-人呼んで冷徹な魔女(クール・ウィッチ)。顕微鏡下人工授精のエキスパートである彼女のもとに、事情を抱えた五人の妊婦がおとずれる。一方、先輩の清川医師は理恵が代理母出産に手を染めたとの噂を聞きつけ、真相を追うが…。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 今回は産婦人科医が主人公で 現代医療を通して、強烈な厚生労働省批判をしています。
    読んでいて 気持ちがいい。
    ミステリー部分はフィクションですが、書かれている問題や行政が行ってきたことはすべて事実です。
    こういう本を世に送り出すことは すごく世の中に貢献していると感じます。
    是非、いろいろな方に読んでもらって、今の医療崩壊がどうして起こったか考えて欲しいと思いました。

  • 今作もだいぶ偏ってますな〜
    考え方としては納得できるところもありできないところもありって感じですが…

    それにしても海堂尊さんの生み出すキャラクターはクセのあるキャラクターが多いんですがとくに女性キャラは本当にアクが強い

  • マドンナ・ヴェルデ?を先に読んでいて、知らずにジーン・ワルツを読んだので、途中まで訳がわからなかった…。
    それはさておき、いつものことながら、他作品とのリンクが凄い!

  • ついにチームバチスタシリーズとそのスピンオフ桜宮サーガ全21巻を読了。

    ジーン・ワルツはこの前に読んだマドンナ・ヴェルデの前の時期から同時期の話を、マドンナ〜が母親である山咲みどりの視点にてあるのに対して娘である理恵の視点で書かれている。
    以下ネタバレ。

    はじめにびっくりしたのはマリアクリニックの院長が、『極北クレイマー』で医療ミスの業務上過失致死罪で罪なく逮捕された三枝医師の母親だった事。

    この本には5人の妊婦が登場する。一人は勿論山咲みどり。他の4人もそれぞれにドロドロと複雑な経緯を辿ってドラマチックな結末を見る。

    主題となる不妊治療と代理母出産問題はもとより、大学病院改革の改悪による様々な医療制度の破綻の問題など、問題提起された点は多岐に亘る。

    理恵が自分の卵子と清川の精子を人工授精し、誰のお腹に移植したかは最後の最後で明らかになり、カオルくんの姉?妹?がどうなったかも納得。あっと言わせる結末で読後感はとても良かった。

    桜宮サーガシリーズは筆者の専門分野であるAIを主要テーマとしながらも、厚労省と司法の対立、官僚の横暴、緊急救命、代理母、地域医療、終末期医療他、筆者が現役の医療従事者であることによって初めてもたらされるリアリティーにあふれた医療小説に仕上がっていて、また各作品が有機的に繋がっている事が、より作品の魅力を高めていると思った。

    • yuu1960さん
      実際に点数稼ぎのオマワリが患者の死亡があった産婦人科医を逮捕した事件があったんですよね。無罪判決になりましたが、正当な医療行為で犯罪者にさせ...
      実際に点数稼ぎのオマワリが患者の死亡があった産婦人科医を逮捕した事件があったんですよね。無罪判決になりましたが、正当な医療行為で犯罪者にさせられるのではと、分娩を辞める病院や産婦人科を断念する研修医が相次ぎました。
      バカな警察やマスコミが地方医療を壊した例です。そういうリアリティも海堂作品にはありますが、暗澹とします。
      2019/11/09
  • 読了日2010/07
    映画化になった海堂尊の作品、「チーム・バチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」に続き三作目映画化予定。
     
    医療関連の話はやっぱり私には難しい。。。
    けど、母となってこの本を読むと、泣けてしまう。
    お産は病気ではない、死ぬことなんてない、五体満足で生まれてくることは当たり前と思ってしまっているけど、笑顔で病院を送り出してもらうということは、奇跡なのだど改めて思い知らされました。
     そして、5億分の1と500分の1の確率でユイが生まれてきたのかと思うと、我が子が一層いとおしく感じます。
     体外受精と代理母の問題は、すごく微妙で、主人公理恵がしたことは、医者の立場を利用した犯罪ともとれる行動だったけど、今の政治も、子育て支援や子ども手当とかで、子ども増やすのに為になってるのかなってないのわからない政策を行ってることを考えると理恵の気持ちもわからなくもないかな・・・

  • 読み始めは、なんとなく退屈な感じがしたけど

    読み進めると、とても面白かった

    チームバチスタの栄光を書かれた方の本だとか、

    さすが外科医なだけに話は深くて面白い

    厚生省の批判もバンバン、なんだか 医療の裏を少しかじれたかも

    どんな時でも、冷静に物事の先を見据える目と、

    常に最悪の事態を想定し行動する事は、主人公を見習いたいと思った

    中盤引き込まれただけに、最後に無理やりタイトルをくっつけた感が少し残念だったかも

  • 265pの厚みの本ですから、すぐに読んでしまいます。
    同じく厚労省への提言をたくさん散りばめながら
    田口・白鳥シリーズとは違い、作者のやや極端な理想が語られてるのでは?
    医療制度の破たんへの悲痛な叫びがこめられていると感じました。

    しかし。
    人間は子孫を残すように性/行/為に快楽をプログラムされたんだと思うけど
    産むの産まないのを意志でコントロール出来る以上
    子孫繁栄と性的快楽は一蓮托生ではなくなった。
    遺伝子を残すのに必要なのは、男と女ではなく、卵子と精子でしかないのか?

    もし、極めて優秀な精子が数百種類で各数兆個ほどあれば。
    オスはいらないのかもしれないね。

  • 不妊治療・代理母問題等を取り上げ 現状の産婦人科医療の危機をあぶりだしている小説

    主人公の非常に巧みで冴えわたる思考・行動・発言が 女性としては気持ちよい

    海堂氏ならではの作品

  •  

  • 妊娠から出産。。
    生命の神秘というか、奇跡について、
    教えてくれた本です。

    最初は染色体とかDNAとか出てきてて、
    全然ちんぷんかんぷんだよーって感じだったけど、
    頑張って読み進めてみて良かった。

    人間というものが五体満足で生まれてくるその奇跡が、
    前よりもずっと分かった気がします。

    すごくたくさんの難関をクリアして、
    そして五体満足の人間が生まれる。
    それはすごくすごく大変で奇跡的なことなんだ、
    っていうことを確かにみんな分かってない。

    読んでるうちに何でだかなんともいえないけど感極まってしまう、
    そんな場面がいっぱいあった気がします。

    母親ってすごいんだな。

    政府と病院のやりとりも、政治はあまり分かんないけど、
    現場を見ない上のやり方が現場を苦しめて、
    さらに国民の首も絞めてるのが見ててかなりイライラしました。

    やるだけやって現場荒らして放置って。
    それで問題が起こったら責任は現場で。
    何それ。
    ちゃんと体制整えてやれよ!!

    でもそーいうことって社会では本当に多いんだろうな。
    病院の中で起きてることだけじゃなくて、
    政府とか国民とかとの関係もふむふむと読めました。

    そしてまりあ先生かっこいいです。。
    女性は本当に強い。

全425件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

海堂尊の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×