建築家安藤忠雄

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 113
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103090519

感想・レビュー・書評

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  • 建築家、安藤忠雄の自伝
    とても良かった
    進路選択の時期に一つの選択肢として建築の道も考えていたけど、その気持ちを再燃させてくれる本だった

    独学でここまでの偉業を成し遂げられることはもちろん、どんな挑戦にも根底に一貫した信念があるところがすごい
    ここまでぶれない軸を持つには余程の熱量が必要だろう

    建築学科って工学部の中でも少し異質なところだと思う
    何かを生み出したいという気持ちが人一倍強い人たちが集まっているイメージ
    その人たちに囲まれて送る大学生活もきっと相当に楽しかっただろうな

    でも、自分の興味のある分野を掘り進めていくとふと建築と関わりをもつ瞬間に出会えることがある
    大抵のものはどこかで繋がっていて、一つの道を選んだからといって必ずしも他の道を諦めることと同義ではないのかもしれない

    ✏パリ、ウィーン街の中心部で、一世紀以上昔の建物が、当たり前に使われ続けていて、その中で現代アーティストの前衛的な活動が繰り広げられているーそんな過去と現在、未来が渾然一体と重なり合う情景に、非常に新鮮な感動を覚えた
    (私がヨーロッパの街並みや京都という街に惹かれる理由はここにある気がする)

    ✏都市の豊かさとは、そこに流れた人間の歴史の豊かさであり、その時間を刻む空間の豊かさだ。人間が集まって生きるその場所が、商品として消費されるものであってはならない。

    ✏大切なのは建物を育てていこうという人々の意識であり、その思いに応えて、時の経過と共に魅力を増すような、成長する建築という発想だ。

    ✏人間が生きていくためには、知恵と知識がいる。既にある問題と答えを結びつける、知識を身につける学校の授業と、世界を自分の目で見て、問題そのものを探していける知恵を育む放課後の自由な時間ーこの両方があってこその教育だろう。

    ✏伝統とは、目に見える形ではない。形を担う精神である。その精神を掬い取り、現代に生かすことこそが、本当の意味での伝統の継承なのだと、私は考え、自身の建築をつくっている。

  • 安藤さんの本はこれまでに何度か読んだことがあって、
    元ボクサーだの独学で建築の勉強をしただの
    ユニークな人だなと前々から興味があった。

    今回、初の自伝がでるというので、
    本の分厚さにビビりながらも買ってみた。

    安藤さんの建築に対する〝思い〟のようなものが
    ひしひしと伝わってくる。
    どんな仕事であれ、この〝思い〟をもって仕事に取り組むことは
    大事だな、と刺激を受けた。

    建築関係に進む人は必読なのでは!?
    建築関係じゃないからわかんないけど。。

    久々に読んだ骨太な本でした。
    文句なしで星5つ!

  • かっこいい…。あまりの格好良さに
    一気読みしてしまいました(*・・*)
    ちょっと変わった正方形の装丁も惚れどころ(笑)

    「怒っている」様子を
    ドキュメンタリー番組とかで よく映像に残されいる安藤さんですが
    この本では「怒っている自分」について
    ちゃんと意味があることを教えてくれます。

    「怒り」をエネルギーに変えて、ものを「つくる」こと。
    怒ることは誰だってできるけれど
    それを肯定的な生産に利用できるかは
    「怒り主」の才なんだと思います。
    私も良い「怒り」を自分の中に沸々とさせていたいです。

    怒られたくないし、怒るのって時々面倒くさい
    でもニコニコしているだけでは、やっぱり果しえない事がある。

  • 元気と勇気に溢れた一冊。

    安藤さんの生き様が深く
    しっかりと刻み込まれた
    建築家、安藤忠雄の自伝。

    安藤さんご自身が相当な読書家の為、
    やはり文体が整っていて美しく、
    とても読み易い内容となっています。

    この本を購入したのは、
    ちょうどぼくが初めての個展を
    開催した時で、当時も深く
    感銘を受けた記憶があります。


    今こうして読み返してみて、
    自分がどれほどの影響を
    ここから受けていたか、
    ということに改めて
    気付かされました。

    心の師として、これからも
    安藤さんを慕い、目指し、
    越えていける人間に成りたいと
    改めて強く思いました。

    そしてその入れ物である
    本の装丁が実に堅実で
    美しく読みやすい一冊。


    生きるということ、
    暮らすということ、を
    建築という場で考えつづけ、
    社会を見つめつづけてきた
    建築家の素晴しい自伝。



    読むのにかかった時間:4時間

    こんな方にオススメ:建築家・デザイナー志望の方は必読

  • ◆どんなことが書かれているか(ジャンルなど)

    ジャンルは自伝(2008年頃までの内容)です。
    ※建築に明るくなくても読めますが、知らない人名や用語が出てくる可能性はあります。

    プロボクサーから建築家を志し、逆境のなか道を切り開いていった過程が書かれています。
    それもそのはずで、大学で専門的な教育を受けず、学閥など後ろ盾のないマイナスからのスタートでした。

    今でこそ「世界のANDO」と言われていますが、著者自身が「影にいながらも希望の光を求めて歩き続けた」「連戦連敗」と語っているように、思いどおりにいかず相当に苦労したことが伺えます。
    そんな状況下でも自分の信念を貫きとおす意志の強さがいかに大切か、彼の思想や行動から嫌というほど分かる一冊です。

    ◆出会ってどんな変化や影響があったか

    彼の人生から感じたのは挑戦と闘争であり、私も起業してから大切にしているマインドです。

    挑戦的な建築は前例のない要素が多く、設計段階でクライアントや役所と意見が衝突します。
    それでも決して相手に迎合せず、思想や意義を根気強く伝えて同意を取りつけます。
    彼の設計は、狭小住宅なのに全体の3分の1を占める中庭により雨の日は傘を差した移動が前提だったり、浅い川といえど護岸を削って水面ぎりぎりに建築したり、屋外に鎮座する大仏をコンクリートで囲って遠くから見えなくしたり、設計した建築物に接する車道を危険という理由で歩行者空間化したり、クライアントの御用聞きと役所の言いなりに徹していては絶対に実現できないものばかりです。

    「仕事は与えられるものでなくつくるもの」「厳しい現実に直面してもあきらめず闘うこと」、その覚悟と行動の先にこれまでにない何かが掴めると信じて生きていこうと思えました。

    ちなみに、この著書が出たあとに安藤さんは癌が2度見つかり、5つの臓器を摘出するという大変な闘病を経験しましたが、その後も挑戦を止めることなく活躍し続けています。

  • この人は天才ではなくて
    自分でそのスキルをもぎ取った人。

    そこにいい加減は一切ないから
    出来上がった作品に驚くし
    そこからまた人がやってくるという。

    恐ろしいまでの努力の人ね。
    たとえ現実にならないものですら
    そのイメージ図を描いてしまうのだから。

    ちなみに邸宅はあまり案件としては
    やらないのですが、ある有名な方の
    邸宅を作っていたりします。
    (連続テレビ小説にもなったよ!!)

    子どものそれも興味深かったな。
    制限されるだけって
    本当人は育たんのよ。
    委縮させるのはマジ論外。

    私のような過去を送ってほしくないからね。
    考える力を奪っちゃだめだ。

  • 建築家として自分の意志を突き通そうとする信念に感動した。また読みたい。

  • ものづくりは根気のいる仕事であるが、モノに生命を与えるという尊い仕事であり、モノに触れて生きているという充実感がある。

    プロボクサーから建築の道へ
    18才の時タイへボクシング留学

    抽象的な言葉として知っていることと、それを実体験として知っていることでは、同じ知識でも、その深さは全く異なる。

    三条 Time's
    それまでの建物は全て高瀬川に背を向けて建てられていた

  • 2017/9/2読了。
    今までの コンクリートのモダンな建物を必要以上に毛嫌いしていた私。
    有機的なものが好きで、コンクリートを無機質なものと思い込んでいたけど、光と陰が織り成す彼の建築物の写真を見て、とても素敵だと思えた。

  • 分厚い本ですが、読みやすい。
    私が、安藤忠雄さんのファンだからかもしれませんが…。

    今読むと、最近知り得た知識とラップする部分があって、面白い。

    住吉の長屋は、シェイカー家具の必要の生み出す生活の美学を考えた。
    コシノヒロコさんの自邸の設計…NHKのカーネーションはまりました…。

    京都の<TIME’S>は、高瀬川の水面に近くまで、外部の床をおろして、日常的に人が川へ近づける場所を作ったと。大学4年の研究室で、京都・奈良に行った時に、夜飲んだ帰りにここで、みんなで水遊びしたな~先生も川に突き落とした人いたな~と、懐かしい場所です。安藤さんの意図を汲んだ使い方でしょう?
    学生の頃か、社会人になりたての頃、安藤さんの講演会に行って、<TIME’S>を作り、頼まれもしないのに隣の敷地に<TIME’SⅡ>の計画案を作って発表などしたら、敷地の持ち主が、作らせてくれた。という話をされていて…「その強引さが素敵❤」と、思ったものです。

    表参道ヒルズは、安藤建築と意識せずに訪れましたが、なだらかなスロープで、店舗が接していて、凄いな~と思った記憶があります。驚きと感動を与え続けてくれる方ですね。

    直島のアートプロジェクトも、ちょっと調べたことがあって…安藤さんが関わっていますね。
    公共空間を、箱物建築ではなく、人が集まる使われる空間にするべく努力されているのも、素敵です。

    この本、ちょっと欲しいかも。

著者プロフィール

建築家。1941年生まれ。独学で建築を学ぶ。1969年安藤忠雄建築研究所設立。1997年東京大学教授。2003年同名誉教授。2005年同特別栄誉教授。2010年文化勲章を受章。日本建築学会賞、アルヴァ・アアルト賞、日本芸術院賞、プリツカー賞、高松宮殿下記念世界文化賞、アメリカ建築家協会(AIA)ゴールドメダル、国際建築家連合(UIA)ゴールドメダル、イサム・ノグチ賞など受賞多数。

「2022年 『安藤忠雄の建築5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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