ローマ人の物語 (9) 賢帝の世紀

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2000年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103096184

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村上 春樹
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ローマ人の物語 (9) 賢帝の世紀の感想・レビュー・書評

  • 既製を無くし新しいシステムを作ろうとするとき。その方法を歴史から学ぶことが出来る。紀元前1世紀のローマ。カエサルは元老院体制の無力化を憂い、それを変えることを試みる。一人の力では難儀があるため、他の有力者ポンペイウス・クラッススを巻き込み三頭政治を構築する。カエサルがその実現に際し心を砕いたものが、私益(カエサルの利益)だけでなく、他益(ポンペイウス・クラッススの利益)、公益(もはや弱体化・無力化した元老院体制問題の解決が進まない)。私益ばかり強調してオジャンに終わることが散見される現代にも、大きな示唆を与えてくれる。

  • (2016.08.16読了)(2009.07.05購入)(2000.10.20・?刷)
    紀元98年から161年までの63年間の3名の皇帝の物語です。3名それぞれ20年前後の治世です。「賢帝の世紀」と題されていますので、それぞれに優れた皇帝たちということになります。
    トライアヌス、ハドリアヌス、アントニヌス・ピウス、いずれもどこかで名前を聞いた覚えがあるので、比較的有名なのだと思います。

    【目次】
    読者に
    第一部 皇帝トライアヌス(在位、紀元九八年‐一一七年)
    皇帝への道
    気概を胸に
    ひとまずの帰都
    古代ローマの〝君主論〟
    ほか
    第二部 皇帝ハドリアヌス(在位、紀元一一七年‐一三八年)
    少年時代
    青年時代
    皇帝への道
    年上の女
    ほか
    第三部 皇帝アントニヌス・ピウス(在位、紀元一三八年‐一六一年)
    幸福な時代
    人格者
    マルクス・アウレリウス
    「国家の父」
    年表
    参考文献

    ●皇帝の振舞い(42頁)
    強大な権力を与えられた皇帝はどう振舞うべきか
    「主人としてではなく父親として、専制君主ではなく市民の一人として」
    人間的には、「快活であると同時にまじめであり、素朴であるとともに威厳があり、気さくでありながらも堂々としていなければならない」
    ●ローマ皇帝の三大責務(54頁)
    一に安全保障、二に国内統治、三に社会資本の充実
    ●ローマ人の橋(84頁)
    橋を道路の延長と考えていたローマ人の橋は、道路との高低差なしにつくられるのが常で、登っては降りる型の橋があれば、それらはすべてローマ帝国滅亡後につくられた橋である。
    ●アラビア(89頁)
    ローマ人がアラビアと呼んでいた地方は、後代のアラビア半島のことではない。香料や没薬や真珠の産地として知られた豊かなアラビア半島の南部を、ローマ人は「アラビア・フェリックス」(幸福なアラビア)と呼んでいたが、形容詞なしでアラビアと呼べば、それは現代のヨルダンを指していた。
    ●善政(151頁)
    善政とは所詮、正直者がバカを見ないですむ社会にすることにつきる
    ●推薦者(155頁)
    ユリウス・カエサルは、キケロが推薦してくる若者ならば誰でも自分の部下にしてしまったが、それはキケロの識見を買ったからである。トライアヌスも、プリニウスの依頼をほとんど満足させてやるが、これもまたプリニウスの誠実さと公共心の高さを認めたがゆえであった。人材登用は勝負である。この勝負の参加者には、登用者と登用されるものの二人だけではなく推薦者も加えるというのが、つまりお参加者全員に責任を持たせるというのが、ローマ人が縁故採用を多用した理由ではなかったかと思う。
    ●トライアヌスの欠点(162頁)
    ローマ時代の史家たちが、トライアヌスの数少ない欠点の一つにあげているのは、酒飲みであったということである。
    水か湯で割る習慣のギリシア人やローマ人の中で、酒飲みと評されるのはストレートで飲むことだった。
    ●トライアヌスの死(178頁)
    紀元117年8月9日、皇帝トライアヌスは死んだ。64歳を迎える1か月と少し前、20年におよんだ治世の後の死であった。死の直前に、ハドリアヌスを後継者に指名していた。
    ●あごひげ(262頁)
    ハドリアヌスは、はじめてあごひげを貯えた皇帝として知られている。共和政時代でもごく初期から、ローマの男たちはきれいにひげを剃ることを習慣にしていた。
    ●仕事と余暇(294頁)
    ローマ人は、「仕事」と「余暇」を分けるライフスタイルを確立した民族でもあった。一般の市民ですら、日の出とともに仕事をはじめ日没に眠るのを常としながらも、午前中は仕事、午後は余暇と分けていたのである。
    ●ローマの兵士(304頁)
    ローマの兵士は、戦時になってはじめて武器を取るの... 続きを読む

  • ローマ帝国の全盛期といわれる5賢帝の時代はあまり文献が残っていないらしい。トライアヌスやハドリアヌスは急務に対して忙しく立ち働いたのでその記録は残っていてこの本の材料として取り入れられているが、アントニヌス・ピウスにいたってはほとんど手がかりがないらしく二十数ページしかあてられていない。この3皇帝の在位年数はいずれも20年前後であったのに少々アンバランスな配分にならざるを得なかった。

    トライアヌスは敵対するダキアを打ち負かしその地域の先住民を完全に追い出した。今で言うルーマニアのあたりだ。この時代からこの国の名前通りローマ人の支配地域になった。トライアヌスはまた帝国全土のインフラにも力を注いだ。

    ハドリアヌスはトライアヌスの後を継ぎ帝国全土の再構築を行った。ユダヤ問題に決着をつけ、その結果ユダヤはそれ以来放浪の民となった。

    アントニヌス・ピウスは人格者ということになっている。何一つ実績は残っていないが無能というわけではもちろんなかったらしい。帝国にとっての「急務」がもはやなかったのだろう。そう考えるとアントニヌス・ピウスの時代がローマ帝国の歴史の頂点だったのかもしれない。

  • かなり面白かった。賢帝というだけに、君主論もしくはビジネス書・人生訓としても読めるかも。現在でも学ぶべきことが多いので人の上に立つ人にぜひ読んでほしい。
    キリスト教が広まるまえの日本のように宗教色が強くない多神教のローマは、本当に住みやすい国だったのではないかと思う。現在の世界の情況を鑑みるに、こんな国があったという事実は奇跡のようにさえ思える。

  • 評判のよいトライアヌス帝。ただ評判が良すぎて伝記を書かれる幸運には恵まれなかった故、ダキア戦記は円柱の場面を追う、という描かれ方になっている。塩野さんも苦労されて書かれたのだろう。
    帝国中動き回ったハドリアヌス。発行するコインで皇帝が成し遂げたことをローマ帝国に流布していたのはおもしろい。
    慈悲ぶかきアントニウス・ピウス。先帝の業績はほとんどすべて継承しつつも不都合なことだけは微調整した。

  • 五賢帝の2人目からトライヤヌス、ハドリヤヌス、アントニヌス・ピウスの3名を取り上げます。偉大な皇帝たちで、ゴシップも少なかったというだけに、記録が少ないという皮肉な時代だそうです。(老醜をさらし、晩節を汚したハドリヤヌスを除いて。やはり引き際の重要さを痛感します)にも関わらず詳細な調査で、3名の人生がこんなにも見事に蘇るのは流石です。面白いのはトライヤヌスのブリニウスへの返信書簡で急成長するキリスト教への対策について指示をしている件です。この時代からすでに極めて正しくキリスト教について認識されていたことが分かります。そして、ドナウ川にかけたトライヤヌス橋の建設、ダキヤ(ルーマニア)の征服、ハドリヤヌスでは公衆浴場の男女混浴禁止令などローマ法の整備、アントニヌスの善政など。

  • ローマ世界の完成形がここに!
    二千年前に多人種・多民族・多文化共生の仕組みが作られたことは驚嘆に値する。
    その理由の一つはギリシア人も共有する多神教だと思うが、都市国家から領域国家、そして広大な帝国への移行を可能ならしめたのは、宗教を超えて世事全般に渡るクレメンティア(寛容)の精神だろうか。ユダヤ人の選民思想とは対極にあるこの精神がローマ人に備わったのは偶然か、あるいは地政学的必然か?残りの衰退期の巻に進む前に考えてみようと思う。

  • 賢人皇帝の前まで。

    カエサル、アウグストゥス以降は、話のスケールは大きいんだろうが、話としては小粒。

  • トライアヌス、ハドリアヌス、アントニウス・ピウスの各皇帝の男っぷりと、仕事にかける情熱、といったところでしょうか。

    いずれも属州出身の田舎者ではあるが、田舎者であるからこそ、実直にローマ精神を体現しよう、と努力した皇帝たちである。
    前2人は、ぽっと田舎から都会にでてきたので、とにかくなんでもがんばっちゃった、という感じだけど、周りからずっと評判が良かったのがトライアヌス。年取って偏屈になってしまったのがハドリアヌス。
    アントニウス・ピウスは、じいちゃんの代から都会にすんでいるので一応田舎はあるけど都会育ち、みたいなひと。

    5賢帝、というが、なにが彼らを賢帝たらしめたのか、というと、強烈な使命感と持続する熱情なのではないか。
    今、何が必要とされているのか、何をしなければならないのか、何ができるのか、そういうものについてとにかく3人とも判断力がよく実行力がある。
    すばらしいリーダたちである。まじめなことはすばらしいことではないか。

    だがハドリアヌスあたりになると、まじめすぎて苦しい。多少不真面目なハドリアヌス、という感じの性格だと、皆とうまくやれそうだ。

    2006/11/30

  • 紀元二世紀初頭、ダキアとメソポタミアを併呑して帝国の版図を最大にした初の属州出身皇帝トライアヌス、帝国をくまなく視察巡行し、統治システムの再構築に励んだハドリアヌス、穏やかな人柄ながら見事な政治を行なったアントニヌス・ピウス。世にいう五賢帝のなかでも傑出した三者の人物像を浮き彫りにした、極め付きの指導者論。

  • 比較的平和な時代が続き、落ち着いて読めた。
    公共事業や施策の記述が多くて面白かったが、読者の好き嫌いは分かれるかもしれない。

    大きな出来事のひとつは、ユダヤが火を噴いたこと。
    それについて、ユダヤ人の考え方、他民族とのその違いについて詳細に書かれており、納得感があった。歴代皇帝の扱いの変遷についてもまとめられており、理解の助けとなった。

    個人的には、一神教はよいことがほとんどないと思う。弱者に生きる希望を与えるだけならよいのだけれど。排他的、選民思想、教則を理由に権利だけ主張して義務を拒否する、ということであれば、それなりの扱いをされても仕方がないと感じた。
    現代でも状況は変わらないし、どこまでいっても合意することはできないだろうと思う。

  • 第9巻を読み終えるまでに4年かかっています。全15巻なのであと3年くらいかかりそうです。

  • 五賢帝のうち、トライアヌス、ハドリアヌス、アントニウス・ピウスの治世を書いた巻。アントニウス・ピウスのピウスとは「慈悲深い」という意味だということを初めて知りました。

    ローマという帝国は不断の努力をもって、広大な版図を維持し続けたことがよくわかります。トライアヌス、ハドリアヌスの「再構築」をへて、アントニウス・ピウスの「維持」の時代への流れをさらうと、人それぞれの役割の違い等を感じて面白いです。

    ちなみに、五賢帝というのはベスト5と言う意味ではなく、この時代が一番幸せな時代だったと19世紀の歴史家ギボンが「ローマ帝国衰亡史」で書いたことからついたようです。(Wikipediaより)

  • 文庫本を購入し休日に一気に読破しました!!。
    この本はローマ時代の「五賢帝」のうちトライアヌス、
    ハドリアヌス、アントニウス・ピウスの3人を取り上げています。

    これらの皇帝時代がもっともローマ帝国が繁栄していた
    そうです。是非、興味のある方はお読みください。

    またこの塩野さんの本からするとアメリカはハリウッド映画でローマ帝国を批判するが国の制度はそっくりですね。

    □中央政府と州(ローマとその他の属州の関係)
    □大統領と議会(皇帝と元老院)
    □だれでもアメリカ人になり権利が保障される

    などなど。アメリカの国旗はローマ帝国にならって
    鷹ですしね。

    組織とは、仕事とはどうあるべきかを考えさせられます
    ので是非、読んでください。

  • ・5賢帝の時代、ローマの版図は最大になった…、という事は、これ以後は下り坂…。

  • パクスロマーナ、爛熟するローマ社会。

  • 2010/03/27 いまが絶頂、らしい。ということは今後は斜陽?

  • ここでやめた、という人がけっこういるけれど、読み終えてそれも納得。ローマ帝国が完成した姿がここにある。過去に作り上げてきたものを補強し、修正し、自分なりの方法で次に伝えることを仕事とした皇帝たちがいい順番で現れたのがわかる。
    単純な世襲制ではなく、次の適任者を自分の養子に迎えるというシステムがきちんと私利ではない形で動くなんてことが起きてた。その組織に驚く。
    今の政治でここまで見事なことができる国がどこにあるだろう。もちろん時代は違うから簡単に並べるわけにはいかないけれど。

  • 紀元98年13代皇帝トライアヌスから、161年15代皇帝アントニニヌスの死まで。
    「女とは、同姓の美貌や富には羨望や嫉妬を感じても、教養や頭のよさには、羨望もしなければ嫉妬も感じないものなのだ」
    「隣り合って住む民族同士は、仲が悪いのが常である。仲が良かったとすればそのほうが異常」
    「人間は飢える心配がなければ穏健化する、過激化は絶望の産物である」
    「財政が破綻状態にあって利益を得るのは少数でしかなく、その他多数は被害者になる、そうなると社会は不安定化する」
    「分離が固定しない限りの格差ならば、あったほうが社会の安定に寄与する場合も少なくない」
    「ニュースとは珍しくて目だったからニュースになるので、通常になされることはニュースにならない」
    「女が男の心を引きつけておくための最善の策は、そばに居つづけることではない。かえってそばから離れることである。しかも、追うことも不可能なところに永久に去ってしますことだ」
    「ユダヤ・・過激が勢いを持ち始めると穏健は影をひそめる」
    「ユダヤ教徒は、自分たちと同じ生き方をしない他者すべてに対して、表面には現れない時でも常に、激しい憎悪をいだいている」
    「選民思想のユダヤ教徒には布教活動はない」
    「ユダヤ人に対する配慮の数々、イエスキリストを処刑、救世主を名乗るユダヤの若者の死を強く望んだのが、エルサレムを牛耳りユダヤ社会に強大な影響力を持っていた、祭司階級であった」
    「ローマに対して先鋭化する一方であったユダヤの過激派から決別したのが、当時のキリスト教徒であった」
    「人格円満な人が、大改革の推進者になる例はない」

  • ローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。
    五賢帝時代といえば、ローマの最高潮時代として、世界史の授業で習った人も多いと思います。そのときの皇帝が生き生きと描かれて、塩野世界が展開されいます。

  • 本棚にて待機中

  • 賢帝の治世下にあってそれゆえに衰退の契機が見られると言う警世の書。

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ローマ人の物語 (9) 賢帝の世紀の作品紹介

紀元二世紀初頭、ダキアとメソポタミアを併呑して帝国の版図を最大にした初の属州出身皇帝トライアヌス、帝国をくまなく視察巡行し、統治システムの再構築に励んだハドリアヌス、穏やかな人柄ながら見事な政治を行なったアントニヌス・ピウス。世にいう五賢帝のなかでも傑出した三者の人物像を浮き彫りにした、極め付きの指導者論。

ローマ人の物語 (9) 賢帝の世紀のKindle版

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