ローマ人の物語 (14) キリストの勝利

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2005年12月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103096238

ローマ人の物語 (14) キリストの勝利の感想・レビュー・書評

  • アウグストゥスの政治を書く。偉大なるリーダー(カエサル)の後継となった人がいかに上手に統治したか。その答えは卓越したバランス感覚だといえる。例えば、独裁の終わり・共和制の復活を唱え、貴族階級の喝采を得る一方で、将来のために残しておきたい権限は残しておく。外部の統治に対してはカエサルが目指したものを踏襲し、有力部族を抑えて彼らの自治に任せるなど。締める&緩めるの絶妙なコンビネーションを使い、周囲の反感を買わないようにしながらも徐々に自分の目指すべき方向に導いていく手法はイヤらしい。(よい意味で)

  • (2016.11.20読了)(2016.10.17購入)

    【目次】
    読者に
    第一部 皇帝コンスタンティウス(在位、紀元三三七年‐三六一年)
    邪魔者は殺せ
    帝国三分
    一人退場
    二人目退場
    副帝ガルス
    ほか
    第二部 皇帝ユリアヌス(在位、紀元三六一年‐三六三年)
    古代のオリエント
    ササン朝ペルシア
    ユリアヌス、起つ
    内戦覚悟
    リストラ大作戦
    ほか
    第三部 司教アンブロシウス(在位、紀元三七四年‐三九七年)
    蛮族出身の皇帝
    フン族登場
    ハドリアノポリスでの大敗
    皇帝テシオドシウス
    蛮族、移住公認
    ほか
    年表
    図版出典一覧
    参考文献

    ☆関連図書(既読)
    「世界の歴史(5) ローマ帝国とキリスト教」弓削達著、河出文庫、1989.08.04
    「新約聖書福音書」塚本虎二訳、岩波文庫、1963.09.16
    「新約聖書 使徒のはたらき」塚本虎二訳、岩波文庫、1977.12.16
    「神の旅人 パウロの道を行く」森本哲郎著、新潮社、1988.05.20
    「背教者ユリアヌス(上)」辻邦生著、中公文庫、1974.12.10
    「背教者ユリアヌス(中)」辻邦生著、中公文庫、1975.01.10
    「背教者ユリアヌス(下)」辻邦生著、中公文庫、1975.02.10
    ☆塩野七生さんの本(既読)
    「神の代理人」塩野七生著、中公文庫、1975.11.10
    「黄金のローマ」塩野七生著、朝日文芸文庫、1995.01.01
    「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」塩野七生著、新潮社、1992.07.07
    「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」塩野七生著、新潮社、1993.08.07
    「ローマ人の物語Ⅲ 勝者の混迷」塩野七生著、新潮社、1994.08.07
    「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサルルビコン以前」塩野七生著、新潮社、1995.09.30
    「ローマ人の物語Ⅴ ユリウス・カエサルルビコン以後」塩野七生著、新潮社、1996.03.30
    「ローマ人の物語Ⅵ パクス・ロマーナ」塩野七生著、新潮社、1997.07.07
    「ローマ人の物語Ⅶ 悪名高き皇帝たち」塩野七生著、新潮社、1998.09.30
    「ローマ人の物語Ⅷ 危機と克服」塩野七生著、新潮社、1999.09.15
    「ローマ人の物語Ⅸ 賢帝の世紀」塩野七生著、新潮社、2000.09.30
    「ローマ人の物語(27) すべての道はローマに通ず」 塩野七生著、新潮文庫、2006.10.01
    「ローマ人の物語(28) すべての道はローマに通ず」 塩野七生著、新潮文庫、2006.10.01
    「ローマ人の物語Ⅺ 終わりの始まり」塩野七生著、新潮社、2002.12.10
    「ローマ人の物語Ⅻ 迷走する帝国」塩野七生著、新潮社、2003.12.15
    「ローマ人の物語(35) 最後の努力」塩野七生著、新潮文庫、2009.09.01
    「ローマ人の物語(36) 最後の努力」塩野七生著、新潮文庫、2009.09.01
    「ローマ人の物語(37) 最後の努力」塩野七生著、新潮文庫、2009.09.01
    「ローマ人への20の質問」塩野七生著、文春新書、2000.01.20
    「ローマの街角から」塩野七生著、新潮社、2000.10.30
    (「BOOK」データベースより)amazon
    ついにローマ帝国はキリスト教に呑み込まれる。四世紀末、ローマの針路を大きく変えたのは皇帝ではなく一人の司教であった。帝国衰亡を決定的にしたキリスト教の国教化、その真相に迫る。

  • コンスタンティヌス帝は「支配の道具」として、つまり皇帝位の安定を実現するための道具として、キリスト教振興を進めた。道具であるからには、自らがキリスト教にコントロールされることを避けるため、洗礼は死の直前にまで引き延ばさなければならない。テオドシウスの浅慮とアンブロシウスのしたたかさがギリシア・ローマ文明に最後の止めを刺した。
    「最後の努力」が終わった今、時代の奔流をただ眺めるのみ。

  • コンスタンティヌス帝の次男で兄弟に早く死なれ父の帝位を最終的に一人で継ぐことになるコンスタンティウス。
    父よりキリスト教化を進める。
    そのコンスタンティウスに両親や兄を殺されていたユリアヌス帝は、後にアポスタタ、背教者と呼ばれるキリスト教化にストップをかける政策をする。キリスト教への支援をやめ、信教の自由を認めた。
    しかし彼の後をついだ皇帝たちは、死の直前に洗礼したコンスタンティヌスやコンスタンティウスとは違い、若いうちに洗礼をしてしまい、司教アンブロシウス筆頭に、司教に屈することとなる。
    つまり、キリスト教がローマ皇帝に勝利したのだ。そんな紀元四世紀末。

  • コンスタンティヌス大帝の後のローマの混乱、そしてキリスト教の支配が確立する時代について著者は極めてキリスト教に批判的な考え方をしています。そういう意味では私には「違うだろう」という気持ちはあるのであうが、大帝の次男コンスタンティウス、背教者ユリアヌス、そしてテオドシウス大帝がどのように支配を確立していったかを示しています。そしてテオドシウス大帝以上に権力を持ったアンブロシウス司教が大帝との間でカロッサの屈辱に匹敵する事件を起こしていたということは新鮮な気持ちで読みました。この時代に既にキリスト教がそのようにして堕落の様相を呈していたということに人間の罪の深さを痛感します。著者が何度か書いていましたが、辻邦生の「背教者ユリアヌス」は私にとっても29年前の入院の際に読んだ印象深い懐かしい本であり、感動を覚えました。このシリーズもいよいよ後1冊で完了です。しかし著者の冴は少し欠いてきたように思います。キリスト教への偏見の大きさということを別にしても、余り新鮮な分析がないように思われたからです。

  • 一神教の寛容性の無さ
    ローマ帝国の歴史がキリスト教に塗り替えられて行く…

  • アタナシウス派キリスト教とアリウス派キリスト教の抗争の話。
    一神教は果てしなく最後まで戦います。白か黒だもんね。
    ローマ帝国がなぜ国教を定めなければいけなかったのか、
    それがなぜアタナシウス派キリスト教だったのか、
    そのへんを時代背景とともに紐解くという流れになります。
    寛容であったローマがいかに非寛容に転じていくか、そんなところでしょうか。

    物語の中で述べられる皇帝ユリアヌスの政治姿勢(公平さ、寛容さ)に
    共感を覚えますが、同時に、時代の大きな流れに逆らうことの無常さも
    感じてしまいます。

    流れに乗るか、流れに逆らうか、流れから身を引くか、
    まさに人生観、ですね。

    2010/09/30

  • キリスト教を公認したコンスタンティヌス大帝の息子、コンタンティウスから始まる歴史。疑心暗鬼に囚われ宦官にその挙を委ねるのは、滅亡への王道と言えば皮肉か。その後に現れたユリアヌス帝の必死の戦いや政治は、その対照となるがゆえに悲しく、はかない。と同時にキリスト教の勃興期における、「いい加減さ」を推し量ることができる。ローマの終焉を文章から感じるのは辛いものです。

  • ユリアヌス、なかなか魅力あるね。
    キリスト教のせいで暗黒の中世を迎える嚆矢となると。。

  • 権力による保護がなければ、キリスト教はここまで大きな宗教になっていなかったと思われる。弾圧されていた側が弾圧する側に回る皮肉。

  • 不寛容の恐ろしさ

  • ローマ帝国、キリスト国教化が進む。
    ギリシア・ローマ世界の終焉を迎える。
    廃仏毀釈ではないが、多くの美術品、記録を残した書物が散逸する。
    ルネサンス待ち遠し。

  •  ユリアヌスは、辻邦生の著書によって大学時代の僕のアイドルであった。実を言うと、このシリーズを読み始めたのも、元はといえばユリアヌスとカエサルのおかげであるといってもいい。辻邦生とシェイクスピアである。

     だから僕にとってのこの巻は、いよいよ真打ち登場!とでも言うべきところなのだけど、読み終わってみればユリアヌスよりも、むしろその後に活躍した司教アンブロシウスのほうが印象に残った。

     まさにキリストの勝利を決定づけたこの司教の物語を読んでいると、宗教よりもむしろ、官僚のシステムとその中での出世について考える。そして、全く異なることではあるのだけれど、たとえば親密な共感で暖かい暮らしを送ってきた未開の村落に、冷徹な資本主義がどっと押し寄せてくるような印象を持った。

     ユリアヌスはやっぱり辻邦生の著作で楽しむとしよう。もちろん、塩野氏の、ややシニカルな描き方を持ってしても、わが青春のアイドルの輝きは曇ることはなかった。結局は、悲劇のヒーローでしかないにしても。

  • ついにここまで読んだ、という感じではあるけれど、ここから暗い時代がやってくるんだな、と納得。
    神がいて皇帝を認めるという、それだけの構造がキリスト教会を最高権力にした。簡単に言えばそういうことだが、皇帝が一神教の信者になるということの結末は神の勝利だったわけだ。
    そしてこの長大な物語は「十字軍物語」へとつながる。西洋史の奥のところをしっかりと教えてもらいました。

  • 2010/07/16 古来のローマを守ろうとした最後の皇帝ユリアヌスへの、筆者の哀惜があふれている。帝王教育を受けず政治も軍事も経験がなくても、歴史と哲学を学び、帝国を背負う覚悟ができた人なのだろう。

  • ようやく文庫版(個人所有)が終了し、ハードカバーになった(図書館から)

     だから一神教は嫌いだ! プンプン  今回はもっぱら宗教と政治のせめぎあい!

     どんな帝国も侵略と内部崩壊の同時進行で滅びていくのだろうか? この帝国は中国とはまったく別の性格を持っている。
     幕引きに向かって、どんな歴史が刻まれていくのだろうか。

  • 辻邦生の「背教者ユリアヌス」が大好きで、でも時代背景や人間関係が今ひとつ把握できていなかった。
    この巻を読み、ユリアヌスの過酷な運命(コンスタンティウス酷すぎ)は、まさに小説向きだったのだとあらためて思った。
    古き良きローマは彼とともに滅びたのだと思う。

    そしてキリスト教の台頭。一神教の怖さを感じた。

    <主な人物>
    コンスタンティヌス2世、コンスタンティウス、コンスタンス、ダルマティウス、ハンニバリアヌス、ガルス、ユリアヌス、サルスティウス、ヨヴィアヌス、ヴァレンティニアヌス、ヴァレンス、グラティアヌス、テオドシウス、司教アンブロシウス

  • 2009/2/8
    テオドシウスによりキリスト教がローマ帝国の国教に。読んでてだんだん寂しくなってくる。

  • 紀元337年、皇帝コンスタンティウスから、紀元395年皇帝テオドシウスの死まで。
    「権力者に対する陰謀の成否の鍵は、排除した権力者の代わりに誰をその地位に就けるかにかかっている」
    「アリウス派とアタナシウス派(カトリック)の対立、異教徒よりもキリスト教徒内の異端への憎悪、一神教の本質そのものが排他性にある」
    「本音は脱税にある聖職者コースへの転出、キリスト教会に属する聖職者は免税にと決まった。地方自治体の有力者層が、雪崩を打ってキリスト教化した真因は、これにあった」
    「ユリアヌス副帝就任、人間は社会的な動物である、他者に必要とされていると言う自覚は、非常な喜びを感じさせる。責任感と高揚感のカクテル」
    「権力とは、他者をも自分の考えに沿って動かすことのできる力であって、、多くの人が共生する社会では不可欠な要素である」
    「権力者には誰に対しても、初めのうちは歓呼を浴びせかけるのが民衆である。新任当初の好評くらい、あてにならないこともない。ひとまずは歓呼で迎えながら様子を見る」
    「背教者ユリアヌス・・・宗教は現世の利益とは無関係の、個々人の魂を救済するためにのみ存在するもの、宗教が現世をも支配することに反対の声を上げたユリアヌスは、古代ではおそらく唯一人、一神教のもたらす弊害に気づいた人」
    「ミラノ司教アンプロシウス・・・キリストへの振興は、無知な魂を救うのではなく、文明が崩壊した跡に、その過去の誤りを正す勇気を持つ人々の上に輝くことになる。・・・強引な論法とはしばしば、スタートしたばかりでマイナス面が明らかでないからこそ、可能で有効な戦術でもある」
    「紀元388年、キリスト教ローマ帝国の国教に、テオドシウス帝、ローマ人の宗教として、あなた方はユピテルを良しとするか、それともキリストを良しとするか」
    「一神教とは、自分が信じているのは正しい教えであるから、他の人もそれを信ずるべき、とする考えに立つ。多神教は、自分は信じていないが、信じている人がいる以上、自分もその人が信ずる教えの存在理由を認める、とする考え方。殉教は一神教徒にしか生じえない現象、多神教徒にはなじまない、イスラム教徒の自爆テロ」
    「異端に対する理論武装マニュアルの確立、マニュアルが誰にとっても便利であるのは古今東西変わらない真実である」
    「聖アンプロシウス・・・人間は何かにすがりたいから宗教を求める、唯一神にお願いするのははばかられるような身辺の雑事、キリスト教徒がモデルにするにふさわしい人、守護聖人、一神教は守りながら民衆の素朴な願望も満足させるという離れ業を見事なまでに成功させた」

  • ローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。
    この巻では、キリスト教がローマに正式に承認される。キリスト教徒には申し訳ないが、この一神教を信じることでローマは滅亡へと一気に転げ落ちてゆく。

  •  各章の名前は、コンスタティンウス、ユリアヌス、アンブロシウスの名前が冠せられている。ただ本文中の分量としては、ユリアヌスの記述が多く、コンスタティンウス、アンブロシウスの記述は少ない。
     なぜだろう?と考えて気がついた。この本はローマ帝国の歴史ではなく、「ローマ人」の物語なのだと。
     ユリアヌスはローマ人だが、コンスタンティウスもアンブロシウスもローマ人ではない、と著者は考えたのだろう。
     となると、13巻の「最後の努力」の意味合いも、ディオクレティアヌスに向けられているのだろう。コンスタテンティヌスはキリスト教優遇を明確にした時点でローマ人とは違うのだから。

  • 購入予定/書店にて待機中

  • キリスト教から離れすぎているのではなかろうか,キリストの勝利を実感できない不思議な巻である。

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ローマ人の物語 (14) キリストの勝利の作品紹介

ついにローマ帝国はキリスト教に呑み込まれる。四世紀末、ローマの針路を大きく変えたのは皇帝ではなく一人の司教であった。帝国衰亡を決定的にしたキリスト教の国教化、その真相に迫る。

ローマ人の物語 (14) キリストの勝利のKindle版

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