ローマ人の物語 (14) キリストの勝利

著者 :
  • 新潮社
3.84
  • (44)
  • (54)
  • (69)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 529
感想 : 37
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103096238

作品紹介・あらすじ

ついにローマ帝国はキリスト教に呑み込まれる。四世紀末、ローマの針路を大きく変えたのは皇帝ではなく一人の司教であった。帝国衰亡を決定的にしたキリスト教の国教化、その真相に迫る。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2021/11/4
    コンスタンティヌスの息子であったコンスタンティウスは慎重で手堅い姿勢で、蛮族の侵入を許しながらも3兄弟の中で唯一生き残り、ローマを再び統一する。
    コンスタンティウスの親族であったユリアヌスは、ギリシャ哲学者として青年期を過ごし、副帝として送られたガリアの再服で実績を伸ばす。コンスタンティウスがペルシャ戦役を争っているときに起ちあがり帝国唯一の皇帝となる。皇帝となったあとは完了のリストラと税金の引き下げを行い、ギリシャ・ローマ伝来の宗教の再興に尽くした。しかし、ペルシャ戦役で戦死してしまう。
    その後ヴァレンティニアヌス朝となるが、蛮族の侵入と帝国内への定住は既成事実化する。その状況で東帝を任され、最後の東西統一を実現したのがテオドシウス帝である。彼は病気の折にキリスト教に改修し、聖人制度や福祉の制度化を行い協会の組織化を成し遂げたミラノ司教アンブロシウスの影響でキリスト教をローマ帝国で唯一の国教とした。

  • 辻邦生『教者ユリアヌス』を読んでみたくなった。

  • 図書館長 井上 敏先生 推薦コメント
    『ヨーロッパの歴史を理解するにはまずローマの歴史。独特な書き方だが、ローマの建国から西ローマ帝国滅亡までの通史を知るにはちょうどいい。研究者からの批判もあるが、理解しやすい。』

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPAC↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/429725

  • 歴史ドキュメンタリー。

  • 皇帝の権力を安定させるために利用しようとしたキリスト教、
    しかし逆に利用されることに。てな感じですか。
    3章構成なのだけど、それぞれの章名が「皇帝コンスタンティウス」
    「皇帝ユリアヌス」そして
    「司教アンブロシウス」になってることでもわかりますな。
    いよいよローマ人の物語もあと一巻。このペースということは、
    西ローマ帝国滅亡までかな。楽しみだ。

  • 久しぶりにローマ皇帝らしい人物が登場したが、哀れな最後となる。教会がローマ皇帝の取捨/選択が可能な力を持つにいたり文明の停滞の始まりが訪れる。 皇帝ユリアヌスが長い政権を維持していたらもしかしたら人類の歴史は大きく変わっていたかもしれない。まったく偶然のことではあるが、このあたりのキリスト教(会?)の秘密を題材としたダビンチ・コードを直前に読んでいたので、ローマ帝国がどのようにキリスト教に侵食されていくのか興味深かった。

  • ローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。この巻では、キリスト教がローマに正式に承認される。キリスト教徒には申し訳ないが、この一神教を信じることでローマは滅亡へと一気に転げ落ちてゆく。

  • 皇帝コンスタンティウスからユリアヌス帝、テオドシウス帝の治世を描く。この期間は多神教であったローマがキリスト教という一神教に支配されていく過程でもある。ユリアヌス帝だけが、その問題に気づきローマをかつてのローマにしようと奮戦するが、結局その努力も水泡に帰してしまう。テオドシウス帝の時代になると、もはや皇帝は司教(羊飼い)の従順な羊でしかなくなる。著者がどこかで書いたようにキリスト教によるローマ帝国乗っ取り大作戦は成功したのである。

  • アウグストゥスの政治を書く。偉大なるリーダー(カエサル)の後継となった人がいかに上手に統治したか。その答えは卓越したバランス感覚だといえる。例えば、独裁の終わり・共和制の復活を唱え、貴族階級の喝采を得る一方で、将来のために残しておきたい権限は残しておく。外部の統治に対してはカエサルが目指したものを踏襲し、有力部族を抑えて彼らの自治に任せるなど。締める&緩めるの絶妙なコンビネーションを使い、周囲の反感を買わないようにしながらも徐々に自分の目指すべき方向に導いていく手法はイヤらしい。(よい意味で)

全37件中 1 - 10件を表示

塩野七生の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×