絵で見る十字軍物語

著者 :
  • 新潮社
3.63
  • (42)
  • (95)
  • (69)
  • (24)
  • (4)
本棚登録 : 753
感想 : 80
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  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103096320

作品紹介・あらすじ

21世紀にもつながるキリスト教vs.イスラム教、対立の原点。聖地奪還のための大遠征はどう始まり、どう戦われ、どう破綻したのか。美しく精緻な版画に付した簡潔な短文で描かれる十字軍史、最高の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 元々はこちらが出版されてから十字軍物語が出たようですが、物語を見てから読むことになりました。でも、筋を把握してからドレの絵で見るのも楽しかったです。ドレの描いた十字軍の挿絵はたくさんあるらしいのでもっと見たかったです。

  • キリスト教徒による聖地エルサレム奪還に向けた対イスラム戦争である「十字軍」の歴史を、見開きページの左側全面を挿絵画家ギュスターヴ・ドレの手になる絵、右側ページ上段は絵に描かれたエピソードが展開した土地を示した地図、右ページ下段は塩野七生さんによる簡素な解説という三要素を積み重ねて構成された、ビジュアルブック。

    この後に三巻構成で進む本文の「十字軍物語」の序章という位置づけです。
    十字軍への前提知識のない日本人にとって、簡略な流れを頭に入れておくのに最適だと思います。

    そして、若き日の塩野さんが惚れ込んだというギュスターヴ・ドレの手になる約100枚の挿絵は本当に美しい。
    19世紀フランス出身の超有名イラストレーターだそうで、シャルル・ペローの童話集やダンテの神曲、ドン・キホーテ、聖書の挿絵などを描いているとのことなので、もっと彼の作品を探して鑑賞したいです。眼福です。

    これから読む「十字軍物語」がとても楽しみになる一冊でした。

  • 十字軍の全体像を掴むことができた。しかし一方で、塩野さんの解説にもある通り、ドレがどの場面のどの部分を挿絵として残すか、に「歴史をどのように見るか」という視点が改めて感じられておもしろいとおもった。この本は導入扱いなので細部=本編の小説が気になる…!

  • この本で唯一の写真であるフリードリッヒの彫像が最も心に残った。
    血を流さずに十字軍の目的を果たしたために、同胞から蔑まれた第六次十字軍指揮官。彫像はキリスト教徒の手によって無惨に傷付けられている。
    現代的な価値観では最良の成果を出した人物が、こんな評価を受けたとは。

  • ローマ法皇がエルサレム奪還したらみんな
    天国に行けると扇動し食糧を奪い殺戮を繰り返し
    てゆく第一回十字軍。
    その後約200年に渡たる一神教を信仰する
    キリスト教VSイスラム教が争いが
    野蛮な西ヨーロッパの人達の狂気と
    内紛ばかりのイスラム世界が
    ドレの絵を通して知れました。

  • あまり馴染みのない十字軍だが、ギュスターヴ・ドレの挿絵により概略を楽しめる。
    地図を多めに掲載されているので、地理感が分かってよい。

  • 宗教の名のもとに起こされる戦争、十字軍。
    自然科学が発達する以前、我々の常識は宗教であって聖職者が許せば殺しも許されたのです。
    この本は本文と地図を脇役に、キリスト教とイスラム教の双方に平等なタッチの絵が主役です。
    とても理解に助かりました。
    今ではキリスト教によるそれは見られませんが、現代人にも大きく関わる歴史でしょう。
    なぜなら、イスラム過激派による“ジハード”は終わっていないのですから。

  • これぞ、大人の漫画。
    地図が同じようなものが続くので、そのスペースを利用して、系図、年表など他の資料を挿入してもらえればもっと理解と移入度が増した。
    それを差し引いてもドレの圧倒的な版画と、、簡潔で明快な解説(というよりも版画に付随する物語のあらすじ)の融合はお見事。

  • ギュスターヴ・ドレの版画に、簡潔な解説を組み合わせた、十字軍絵巻。一通り重要なイベントはカバーしています。見開きに1エピソードで、それが何処で起きたのかを示す地図もあって便利。この著作は、これから出版される十字軍物語4部作の巻頭、オペラで言えば序曲にあたるものらしい。壮大な物語がはじまりそうな、期待感が湧いてきます。とは言え、この本単独で見れば、少し説明が足りずにもどかしい箇所もあります。ページをめくってイメージを作りながら、これから詳しく語られる物語を楽しみに待ちましょう。

    もともとこの挿絵は、19世紀前半のフランソワ・ミショーの「十字軍の歴史」に、19世紀後半になってつけられたものとのこと。私がギュスターヴ・ドレに出会ったのは、旧約・新約の聖書物語でした。ドレの挿絵というだけでも買う価値があると思うくらい、この絵は美しい。臨場感のある壮大な構図、緻密に尽くされた技巧。この本の良いところは、挿絵が主役で、説明が必要以上にでしゃばらないところかも知れません。

  • 塩野さんがこれから書く「十字軍物語」の予習版という感じ。しかしギュスターヴ・ドレの絵というのはいい選択ではないかと。ドレの「神曲」も素敵だし「聖書」も素敵。本当に挿絵という範囲の出来ではないと思う。

  • 3.62/727
    『現代にもつながるキリスト教vs.イスラム教、その対立の原点。聖地イェルサレム奪還のための遠征はどう始まり、どう戦われ、どう破綻したのか――。複雑に絡み合う歴史背景をわかりやすく解きほぐし、美しい挿絵とともに壮大な物語へと誘い出す。「ローマ人の物語」に続く待望の新シリーズ「十字軍物語」の第一弾が登場!』(「新潮社」サイトより)

    『絵で見る十字軍物語』
    著者:塩野 七生(しおの ななみ)
    出版社 ‏: ‎新潮社
    単行本 ‏: ‎204ページ

  • 美しい版画をもとに500年10次にわたった十字軍の概要を理解できる。

  • 十字軍物語の序曲。絵と文章で想像を膨らませて、1巻以降へ突入だ〜。

  • 絵が、版画がすごく美しい。見入る。

  • 11月9日読了

    19世紀前半の歴史作家フランソワ・ミショーの書いた「十字軍の歴史」
    それに19世紀後半の挿絵画家ギュスターヴ・ドレがつけた約100枚の絵
    その絵が見開きの左ページに、そして右上には関係する地図、右下に塩野女子の解説
    イタリアオペラをまねてこの本は序曲
    終わると幕がするする上がり第一幕(十字軍物語1)が始まる

    「ローマ人の物語」「海の都の物語」ではしょっちゅう地図を探したので、このように毎回地図がついているのは大変見やすいです。
    解説が短くわかりやすく面白い。ドレの絵も繊細で綺麗。イスラム教徒にも敬意を表して美しく描かれていると思います。

    欲をいえば年表がほしかったけど、それをつけるとここで満足してしまう読者もいるかもしれないから、あえてつけなかったのでしょう。あくまで4冊でひとつ。
    この時点では2011年に最終巻が出る予定になっていますが、延期されたのでしょうか?とにかく第二巻までは一気に進もうと思います。

  • これは著作のプロローグ。素晴らしく精巧な100枚に及ぶ版画について簡単に解説を加えるだけのシンプルな構成なのであるが、約200年におよぶ十字軍の遠征を時空を越えて一足飛びで把握することができる。ここで興味をそそられたならば、本編を読まざるを得ない一気通貫の流れに乗ったも同然だろう。

  • ジュスターヴ・ドレ画集。十字軍の年表なく不親切。

  • ギュスターヴ・ドレの挿絵による十字軍の全史。世界の二大宗教の激突が約200ページにわたり描写され、最後は1571年のレパントの海戦で幕を閉じる。本書の位置付けは序曲とのこと、詳細は、第一幕へ。

  • タイトルそのまんま

  • 読書録「絵で見る十字軍物語」4

    著者 塩野七生
    絵 ギュスターヴ・ドレ
    出版 新潮社

    p120より引用
    “ 国家の弱体化は、外的要因よりもずっと
    高い割合で、内的な要因によるものである。
    言い換えれば、国内の混迷が国全体の力を弱
    めるのだ。”

     古代ローマや中世ヨーロッパに関する多く
    の著作を持つ著者による、長年に渡る宗教対
    立を描いた一冊。
     聖地巡礼に関わるいざこざから始まり歴史
    に残る大きな戦まで、地図と美しい絵を使い
    描かれています。

     上記の引用は、ビザンチン帝国皇帝が親族
    に殺されたエピソードについて書かれた項で
    の一節。
    味方同士で諍いあっていると、敵に横っ面を
    叩かれることになってしまうので、いかに
    味方同士で争わないかが大切なようですね。
     日々の気持ちの平安を求めるであろう宗教
    によって、諍いが起こってしまうのはなんと
    も複雑なものです。
    平和を唱えながらも、やたらと暴力的な言動
    を繰り返す人が現代にもいるようですが、こ
    ういう歴史をいつまでも繰り返さないために
    も、よく考えて行動したいものですね。

    ーーーーー

  • 塩野七生氏はこの本を先に読んで(見て?)から本文の3巻を読むように勧めている。

    オペラの序曲のように。

    だが、ヨーロッパ史、特に十字軍について基本的な常識(?)がない者にとって、この本だけではあまりピンとこないだろう。

    やはりぼくのように、先ず第1巻の「第一次十字軍」を読んだ後のほうが正解じゃないだろうか。

    既に読んで得た細かい知識を持って、これから起こる未知の流れから十字軍の全体像を掴むには最適であろう。

    地図と挿絵と短い説明文で見開きページが構成されているが、地図はあまりにも大雑把で繰り返しが多く、ある程度はしょって説明文をもう少し長くしたほうが良かったのじゃないだろうか。

  • 約200年に渡る十字軍遠征の世界観が、ギュスターヴ・ドレの絵と塩野七海の解説で分かる。キリスト教側での視点での絵になってしまうが、ギュスターヴ・ドレの作品の多さは圧巻。でもダンテの神曲のほうが迫力あったかな。

  • ギュスターヴ・ドレの絵に地図と解説(絵の示す状況に関する解説)がつけられた本。
    十字軍の歴史、良く分からない…から手に取ったのだが、イメージをふくらますのには丁度良かった。

  • 神がそれを望んでおられる。Deus lo vult.

  • タイトルに偽りはないが、さすがに薄すぎる。以降のシリーズのはしりとして全体観を示すために、ギュスターヴ・ドレの連作に簡単な解説を書いて並べた本。ではあるが、十字軍遠征に対する約200年の総評があるわけではなく、絵の1枚1枚に、ごくごく短い、状況の説明がついてるだけ。本というか画集?最終的な評価はシリーズを読み終えてからするべきだろうが、現時点では単品で買って見る必要はないだろう一冊。

  • まるで体験したかの様な細やかな描写に目が釘付けになりました。

    ビザンチン帝国王家であれば
    皇子が親族に絞殺されるsceneではなく、
    癪皇ボードワン4世の最期の様子か、持病持ちでも戦場で闘う姿を
    見てみたかったです。

    刊行は本編前ですが、本編読了後に見る事を薦めます。

  • 十字軍の概要を1時間もかからず把握出来る。しかし19世紀後半の画家ギュスターヴドレの画力には衝撃を受ける。まるで当時その場で描いたかのようなリアリティには目を見張る。十字軍により興味が湧いた。

  • 十字軍物語の序章ということで読んでみたが、これは今ひとつ。
    いつもの塩野節が見られず、絵の解説と関連する地図を収めてあるだけだった。
    第一次から八次までの十字軍の歴史を俯瞰するためには良かったのだが、この内容ならば本編に挿絵として入れておいて、関連する歴史上の背景やお得意の人物描写を深めた方が絵への興味も深まるものだと思うのだが。
    気を取り直して、本編に進むことにする。

  • なるほど十字軍。続きが楽しみです。

  • 全部で8回にも及んだ十字軍。これは、3巻ある塩野七生の『十字軍物語』の序幕。表紙にもあるように、この巻は全編をG・ドレの挿絵を用いて構成されている。ドレは『ドン・キホーテ』や、『失楽園』などで知られるが、ここでもなかなかの迫力と、あたかも見てきたかのような描写力だ。予告編としては、随分と贅沢なもの。

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