十字軍物語2

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103096344

作品紹介・あらすじ

第一次十字軍の奮闘により、聖地イェルサレムに打ち立てられた十字軍国家。だが、イスラム側に次々と現れる有能なリーダーたちによる猛反撃を前に、防衛の側に回ったキリスト教勢力は、苦境に立たされることになった。ヨーロッパから神聖ローマ帝国皇帝とフランス王が参戦した第二次十字軍は古都ダマスカスを攻めるも、なす術なく敗走。孤立した十字軍国家を束ねる若き癩王は、テンプル騎士団と聖ヨハネ騎士団の力を借りながら総力を結集し、ジハードを唱えるイスラムの英雄サラディンとの全面対決を迎えることになった-。

感想・レビュー・書評

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  • 十字軍の物語、二作目です。前回、第一次十字軍の諸侯らがイェルサレムの他に合わせて四つのキリスト教国家を打ち立てたところで終わりますが、今回はイスラムの反撃によりイェルサレムが奪還されてしまうところで終わります。イェルサレム奪還そのものが思ってたよりも穏やかだったのが救いでした。前作のイェルサレム解放?とは名ばかりの虐殺が酷かったので。。知識人同士で話し合いか出来たのがよかったのか。

    物事には流れがあると言われますが今回は劣勢一方のキリスト教徒です。やはりアウェーである以上、戦力不足は否めないのでそれを考えるとビザンツ帝国と協力体制になれない状況で敵方の懐深くに入り込みすぎているのが難しかったのか。

    そして改めて二作目を読むといかに第一次十字軍の諸侯の突き進む意思とエネルギッシュさが凄まじかったかが分かります。何もないところから何かを得よう、成し遂げようとするパワーは、生まれた時から当たり前にあるものを維持するよりも遥かに強いようです。

    今、並行してファンタジー小説を読んでいますが、そちらと違ってこちらは過去に実際にあったことなのかと思うと圧倒されます。次の3巻で終わりますが、この先どうなるのか結果だけは歴史の授業で知っているけれど、どのような歴史ドラマがあったのか早く読みたいです。

  • いよいよイスラムにサラディンが出てきてイェルサレムを奪還する。 この当主こそ理解力もあり、戦略も兼ね備えていた。 イスラム世界は、このサラディンを主導者として仰ぐ。

  • ただの通史ではなく、そこに生きた人々の心情まで描写する塩野七生さんの作品には歴史への愛情をいつも感じます。

    ローマ人の物語
    海の都の物語
    と並ぶヨーロッパ史3部作ですね。

  • 今回の主役達は聖堂騎士団と聖ヨハネ病院騎士団とヌラディンとサラディンとイスラエル王国の国王達。

    聖堂騎士団と言えば、以前「ダヴィンチ・コード」を読んだせいで妙に神秘的なイメージを持ちすぎていたが、かなり修正されることになった。
    聖ヨハネ病院騎士団については塩野七生氏の「ロードス島攻防記」以前の歴史として興味深かった。
    ヌラディンは初めて聞いた人物。本人としては不本意であろうが、サラディンが登場する地ならし的に歴史を構築した人物。
    サラディンは「ジハード」を初めて唱えてイスラム側をまとめ、聖地奪還をはたした人物だが、現代イスラムでは英雄なのだが、今なお迫害されがちなクルド族出身であることに驚いた。
    今回はひたすら守りに立つイスラエル王国の国王の中では、若干13歳で戴冠したライ王(ライ病のライって変換で出ない)ボードワン4世が重い病気の中、奇跡的な統治を行っているのが光る。

    聖ヨハネ病院騎士団の「クラク・ド・シュバリエ」(騎士達の城)の回廊のアーチに刻まれた言葉。
    「おまえが裕福な出であろうと、それはそれでよい。おまえが知力に恵まれていても、それはそれでけっこうだ。また、おまえが美貌に生まれたのならば、それもよし。
     だが、このうちの一つであろうとそれが原因となって、おまえが傲慢で尊大になるとしたら、問題は別になる。なぜなら、傲慢とその表れである尊大は、おまえ一人に限らずおまえが関係をもつ人のすべてを、損ない汚し卑俗化してしまうからである。」

  • 十字軍とイスラムの英雄サラディンとの戦い。テンプル騎士団、病院騎士団との団結、神聖ローマ帝国、イスラムとキリスト教の対立、シーア派とスンニー派、ハッティンの戦い、聖戦ジハード、当時の歴史の動きがありありと目に浮かぶさまである。

  • 第1次終了後から第3次開始までの間

  • 交互に英雄が出てくるところは面白い。まるで、謀られているように。

  • 奪還するより維持する方が難しいか。

  • 歴史ドキュメンタリー

  • 十字軍国家の成立からサラディンによる奪還までを書いた物語。読み始めると一気に読み切ってしまう迫力。
    サラディンは有名だけど、敵には恵まれなかったのだなぁと思った。希代の戦略家ではあるのかもしれないが、その実力のほどは、敵が弱かっただけには、正確にはつかめない。意外と地味な感じがした。
    ヨーロッパの歴史研究者が意外に偏狭なところも驚いた。宗教的な縛りで、経済的な観点の考察が不足しているなんてね。日本人である塩野さんの本領発揮と思った。自分もこういう形で日本人であることの利点を生かし、キリスト教的読み終わったがらみから自由でいたいと思った。

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