皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下

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著者 : 塩野七生
  • 新潮社 (2013年12月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103096382

皇帝フリードリッヒ二世の生涯 下の感想・レビュー・書評

  • 展開の速さと面白さに、食事中も手放せずに読むというお行儀悪いことしながら読み切ってしまった作品。

    13世紀の中世ヨーロッパ。当時の誰もが最高権力である事を疑わなかったローマ・カトリック教会との対立を辞さず、封建領主制の軛を脱して法治国家への道を推し進め、そのあまりの先進性から、「世界の脅威」と呼ばれた神聖ローマ帝国皇帝でシチリア王でもあったフリードリッヒ二世の劇的な生涯を描いた本作。

    両親の早逝から、十字軍の嵐が吹き荒れる時代に、キリスト教徒とイスラム教徒が奇跡的に共存するシチリア王国で孤児として育ち、何も持たなかった17歳で一大勝負に出て、ヨーロッパにおける世俗上の最上位である、神聖ローマ帝国の皇帝に即位。

    その後は持ち前の合理性と胆力、知的好奇心を駆使して、「教皇は太陽、皇帝は月」の宗教全面支配の「暗黒の中世」時代に抗うようにローマ法王と真っ向から対立し、法王最大の武器である「破門」を三度もくらいながらも、なんのその。
    「皇帝のものは皇帝のものに、神のものは神のものに」を生涯のモットーに、イスラムのスルタンと友情を結んでの第六次十字軍と聖地エルサレムの無血開城やイスラム教徒との共存、ヨーロッパ初の世俗主義国立大学の設立、封建制の縮小と世俗法の制定、政治機構の大胆な構造改革など、理想とする近代的な国家づくりを推し進めて行く。

    困難な時代に生まれついた五十余年の短い人生の中で、よくもここまで同時に次々と…感嘆せずにいられないぐらい、フリードリッヒ二世は大胆かつ逞しく、しかも冷徹に、政治的にも軍事的にも、自身が決めた事をこなしていきます。

    物語の最後は、彼の死後に、彼ほどの才覚も運も持たなかった息子や孫たちの敗北と死によって、彼が理想とした法治国家の終了で終わります。
    しかし、彼の行為が彼の死後約半世紀後に訪れる、ローマ・カトリック教会の権威の本格的な失墜と、中世の軛を脱したルネサンス始まりへのきっかけとなったことは疑いようもなく、まさにその、先進的に駆け抜けた一生を、塩野さんらしい、冷静だけど情熱的な文体で描き切ってきます。

    フリードリッヒ二世や、彼に尽くした忠臣たち、いずれも不幸な最後を迎える息子たちの人生の終焉を、端的だけど巧みな伏線で暗示している点や劇的な瞬間の描写も実に見事で、読み始めたらページをめくる手が止まらなくなってしまうすごい作品です。

  • あーあ、読んじゃったよ(T_T)

    面白かった!!

    この時代のものは興味がないと読みにくいと思うんだけど、塩野さんが書くとさすがに読みやすい。

    中世と云うと暗黒時代というイメージを持っている人が多いと思うのだけれど、この時代だからこその面白さをこの著作を通じて感じてもらえるとうれしい。

  • 塩野さんの著作は気になるなーと思いつつこれまで手を付けてなかったんですが、すごいなあ。

    高校の世界史で習った覚えのある単語がちらほらと出てきて、しかしその当時の薄ぼんやりした認識に理由や来歴を流し込まれてそうだったのか! と驚くことしきり。
    もちろん塩野さんの肩入れや思い入れのある見方による物語だとは思いますが、それでも例えばこの一部なりとも高校時代に聞いていれば、もっと世界史に興味が湧いたに違いないなあ。

  • ・・・・・・っということで、フリードリッヒ2世というと、あのフリードリッヒ2世のほうを思い浮かべる人のほうが多いんじゃないだろうか。


    あのフリードリッヒ2世とは18世紀に生きたプロイセン王で、「フリードリッヒ大王」の呼称で有名なほうである。


    こちらのフリードリッヒは13世紀を生きた神聖ローマ帝国の皇帝である。


    知らなかった。


    「ストゥポール・ムンディ(世界の驚異)」といえばこの人を指すのはヨーロッパ人の常識らしい。


    読み進む中で思い出さされたのだが、あの第6次十字軍を組織して、イェルサレムの無血占領に成功した皇帝だった。


    【十字軍物語】ではアッサリ書かれていたけれど、敵であるイスラムのスルタン相手に平和交渉に成功した男であるから、只者ではないことは知っていた。


    ・・・・・・


    例によって、塩野七生の本は読みやすい。


    結構厚い2巻の書物だけれど、引き込まれてあっという間に読み終わってしまう。


    歴史本でこんなに読み易く書けるのは彼女の才能であろう。


    取捨選択が大胆で、本筋からブレないからじゃないだろうか。


    彼女によって、歴史の面白さに目覚めさせられたのはぼくだけじゃないはず。


    しかし、彼女も老いた。


    老いた証拠に、同じ事を何度も繰り返す。


    もう分かったよと言いたいくらいだ。


    まあ、それも彼女の微笑ましい点ではあるのだが。


    彼女ももう79歳のお婆ちゃんになったんですね。


    ・・・・・・


    例によって、塩野七生が惚れ込んだ男を書いている。


    カエサル然り、マキャヴェリ然り、チェーザレ・ボルジア然り。


    彼女が好きなタイプの男性の特徴は一致している。


    それは、「先を読める男である」。


    先を読める男とは、「時代より早く生まれてしまった男」でもある。


    カエサルはローマを治めるのは皇帝しかないと読んでいたし、マキャヴェリは傭兵は排して国民軍を持つべきだ

    と読んでいたし、ボルジアは君主は冷徹でなければならないと読んでいた。


    フリードリッヒ2世は封建制度ではなく、中央集権でなければならないと読んでいた。


    誰が皇帝になっても、法制度を確立した法治国家でなければ長続きしないと知っていた。


    そのためには、【政教分離】でなければならない。


    彼の目指した社会は遥か200年後に始まるルネッサンスを見越していたのである。


    時代より早く生まれてしまった男である所以である。


    時代のほうが彼に追いつかなかったのである。


    まさしく「世界の驚異」である。


    彼の一生は政教分離実現への戦い、即ちローマ法王たちとの戦いであった。


    塩野七生女史はずっとこの男を書きたかったそうだ。


    満を持して書いただけあって、彼への愛が文章の随所に溢れている。


    80歳にならんとするお婆ちゃんパワー恐るべし。

  • ★2015年11月1日読了『皇帝フリードリッヒ2世の生涯(下)』塩野七生著 評価B+

    上巻でも十分読み応えのあった神聖ローマ帝国の皇帝フリードリッヒ2世の後半20年の話。
    ボリュームのある本ではあるが、フリードリッヒ2世自身の人としての面白さとその人生の緊迫感が、塩野氏の上手な物語によって描かれて飽きさせることがない。世界史を習ったときには、名前くらいしか覚えなかった人物だが、1000年弱前に既にこんなに現代的な皇帝がいたことには、本当に驚かされた。

    フリードリッヒ2世は、十代で皇帝の座について、封建社会への支配権を主張するローマ法王を否定し、宗教はローマ法王、政治は皇帝という棲み分けを主張。そのために生涯で3回もローマ法王から破門を宣告されても屈することもなかった。また、中央集権的な政治体制を構築し、封建領主たちをうまく手なずけ、中央官僚も大学を設立して養成して、ローマ法王とイタリア北方のロンバルディア同盟各都市に対抗しつづけた。今から見れば本当に近現代的な精神の持ち主であった。

    結果から見れば、神聖ローマ皇帝として、ドイツからイタリアまで30年にわたりほぼ安定した治政を施した皇帝フリードリッヒ2世ではあったが、後半には、ミラノとの講話決裂から、プレッシア攻略に失敗したり、絶対信用できたはずの複数の部下から裏切りにあったり、パルマ攻略中、鷹狩りに出かけて思わぬ反撃にあって、自分の城ヴィクトリア城と多額の財産を取られたりした。しかし、毎回総じて、その後の挽回策が見事に当たり、支配力の復活を遂げてきた。

    フリードリッヒ2世の政治的構想力は、その瞬間と未来に向けても素晴らしい。ローマ法王に対抗するため、英、仏の王、イスラムの支配者とはしっかりとした講和を結び安定させる。さらには、将来に向けて、各地の封建諸侯の嫡子たちを自分の宮廷に若い頃から仕えさせて、自分の息子達、中央官僚たちと精神的な一体感を持って、治政を学びとらせ、さらには婚姻関係で固い関係を取り結ぶ。そして、それらの嫡子や部下達をドイツからイタリアまでの各地に配置して盤石の支配を確立した。

    それらの体制も1250年12月にフリードリッヒ2世が病死すると、あまりに彼が素晴らしかった皇帝であったために、彼の遺した支配体制は上々の出来ではあったはずなのに、フリードリッヒ2世のホーエンシュタウン家の神聖ローマ帝国は比較的早く20年程度で崩壊していく。勿論、その裏には歴代のローマ法王の執念ともいうべき謀略が効いている。

    ちょうど、フリードリッヒ2世が病死する頃、ローマ法王の要請に応えて第7次十字軍としてエジプトまで遠征していたフランスのルイ9世は、イスラム勢に完敗して捕虜となる。その後、多額の借金をして、ルイ9世は帰国する。しかし、その後、フランスでの政治は安定せず、1266年にローマ法王は、ルイ9世の弟シャルルをシチリアへ攻め込ませ、奪取に成功する。

    しかし、面白いことに神聖ローマ帝国の弱体化は、次にフランスの強化へと繋がる。ローマ法王が肩入れして、神聖ローマ帝国は衰えた結果、フランス国王が強力となり、1303年フランス国王フィリップベル王によって、ローマ法王ボニファティウス8世が捕らわれ、その2年後の1305年から72年間7代にわたって、ローマ法王が南仏の小都市アヴィニョンに幽閉される。いわゆるアヴィニョン捕囚が引き起こされることになるから、歴史というのは何とも面白い。

  • ローマ法王への最大の反逆者、フリードリッヒ二世、彼は勝者だったのか敗者だったのか。

    ローマ法王からの度重なる破門に対しても神聖ローマ帝国皇帝という強力な権力を盾に死ぬまで屈しなかった。

    しかし、彼の死後、この代から権力基盤は崩れ始めフリードリッヒのホーエンシュタウヘン一門は瓦解する。


    筆者はフリードリッヒ二世の強さに「挽回力」と「悪意」を挙げる。

    皇帝に抵抗する北イタリアのロンバルディア同盟に対しては屈辱を受けるたびに圧倒的な力で巻き返してきた。

    その姿から絶対的力を諸侯たちは見たのだろう。リーダーは敗北を受けても部下に不安を与えてはいけない。
    すぐさま敗北の原因を突き詰めて反転攻勢する。そして勝利し諸侯たちは、この皇帝についていくことに安心する。


    また、皇帝は寛大ではあっても甘さがあってはいけない。

    裏で進行していた皇帝暗殺計画の首謀者達が息子のように育てたとしても、その報いは受けさせなくてはならない。

    ここで皇帝は一門を根絶やしにするのではなく、あくまで法にのっとり首謀者たちだけを死刑に処した。
    「神のものは神に、皇帝のものは皇帝に」を信じて疑わなかった。それに反する者は、たとえローマ法王でも立ち向かった。
    自分の信条には向かうものには悪意を持って返した。


    フリードリッヒ二世死後のホーエンシュタウヘン一門の崩壊は、彼の息子たちが挽回力と悪意を持っていなかったからだった。


    そして皇帝を権力の座から引きずり下ろしたローマ法王は勝者だったのか。

    フリードリッヒ二世を追い落とすのにフランスの軍勢を引き入れたが、フランスが強くなりすぎローマ法王が70年間にわたり幽閉されるという事態を引き起こした。

    この点ではローマ法王も敗者なのだ。


    800年も前の男の一生を、まるで見てきたように臨場感あふれる文章で書きあげられている。

    ローマ法王に反抗し、新しい時代を築こうとして男の一生は読みものとしても面白い。そして、それ以上に学びとるものが多い。

    歴史を学ぶ。歴史から学ぶ。未来を読むのに一番大切なことなのではないか。

  • (今日はフリードリッヒ二世の誕生日です)
    下巻がなかなか読み出せなかったのは、不安があったから。
    はたして晩年の彼を味方してくれるのか、ということでした。
    彼に関するいくつかの書では、彼の幼少期〜青年期は好意的な描き方であっても、晩年の冷酷な彼には突き放したような表現になるので少々辛かったのです。
    しかし、さすが構想45年!(←もういいって)最後の最後まで彼の味方をしてくださいました。
    彼の死後、子供や孫達がどのような運命をたどったのかも詳しく出ています。

    彼のファンクラブ誌と思って、これからも折に触れ本を開きたいと思います。

  • 「皇帝フリードリッヒ二世の生涯」読了。
    塩野七生の最新作。中世13世紀の神聖ローマ帝国皇帝の生涯をローマ教皇との闘争を軸に、ルネッサンス前に成し遂げた改革について活写している。フリードリッヒ二世は父、祖父とも神聖ローマ帝国の皇帝であったが、幼少期はとても跡を継げる状況ではなかった。しかし、逆に少年の頃から南イタリア、シチリアとイスラムとの交易が盛んで自由な環境で育ったということ、そして、興味の赴くままに学ぶことを許されていた環境が、キリスト教に染まらずにその後の特異な活動の元になっていると思う。血筋もあるが、教育は大事なことだと考えさせられる。キリスト教が絶大だった時代に「神のものは神に、皇帝のものは皇帝に」というイエスの言葉から、精神世界や死後の世界はローマ教皇の担当分野、世俗世界の統治は神聖ローマ帝国の皇帝の担当分野としていたのがおもしろい。今でいう政教分離である。また、人間は死んだらどうなるかについてキリスト教の教義に満足せず、当時文明的には進んでいたイスラムの学者に聞いているのがなんとも笑える。教会からの破門を含むローマ教皇の度重なる攻勢にもめげず、法治国家を目指し、官僚を育成し、軍事力を背景にして十字軍でイスラムとの外交交渉によりエルサレムを解放した。まさに中世を駆け抜けたという表現がふさわしい。しかし、彼の死後20年で築いてきた世界は崩れ去ってしまう。「生ききった男にはどうでも良かったのかも知れないと」著者は言うが「つわものどもが夢のあと」という感じもあって何ともいえない寂しさを感じる。偉大な人物のあとをうまく後継するのはやはり難事業である。

  • 塩野さんが書かなかったら、フリードリッヒ二世の生涯を辿ることはなかったでしょう。感謝です。先駆者たる彼が手足を掬われ続けた相手は「中世」ですね。ヴァチカンの手口や根拠もくどい程よくわかりました。「コンスタンティヌス帝の寄進書」を偽造し、千年近くも白を切り通せたのは驚きです。政教分離と法治思想は時代精神を伴う必要があるのでしょう。パラダイムが変わるには歳月が要るものだと知りました。

  • 下巻はフリードリッヒ二世の死後の一族の最後まで描く。

    とにかく、塩野さんがいかにフリードリッヒ二世が好きかよくわかりました。
    とにかく評伝的冷静さの中に露骨に惚気や憧憬が挿入されています。
    そんな著者による伝記的小説ゆえに読者も惚れてまうやろ状態になります。

  • ローマ・カトリック教会の力が強かった中世においてローマ法王と戦った皇帝フリードリッヒ二世。
    その後半生とその後が書かれています。
    広大な領土を管理しつつ、反旗を翻す都市と対峙しつつ法治国家の成立を目指してローマ法王と対立する姿は一人でこれだけのことが出来るのだろうかと驚くほどでした。
    現在は偽書と見破られているコンスタンティヌスの寄進状を楯に権力を振りかざす俗な法王に『皇帝のものは皇帝のものに、神のものは神のものに』と言うキリストの言葉はどう解釈されていたのだろうかと考えこんでしまいました。
    中世と呼ばれたあの時代に統治や学術、異教徒との交流等々の様々なことを近代的な感覚で考えて実行に移していた人が居たことを詳しく知ることができます。
    思い入れのある男性を書く著者なのでこの本も時としてその感情が強く入っていることもありますがそれを含めても良い本でした。

  • 優れた革新性ゆえに同時代人から「世界の驚異」と評された、13世紀のドイツ・イタリアに君臨した神聖ローマ皇帝の伝記。下巻はローマ法王との闘いが激化する治世後半から没後の後日談と、皇帝を支えた周辺人物が列伝形式で紹介されている。悲劇的な皇帝一党への作者の愛情が伝わってくる一方で気になる反対勢力の言い分。紙幅は割かれていないものの興味深く感じたのが、半世紀ほど後にやはりローマ法王と対立したフランス王フィリップ4世との対比。このテーマは浅学ゆえか初めて読んだけれど、メインで取り上げた本はないのかなぁ。

  • 上・下巻の感想をまとめて。

    司馬遼太郎の小説もそうだけど取材の多さが推測される良い歴史小説だと思う。「現代では~のようになっている」という文体も司馬遼太郎とよく似ている。個人的にはこういう報告書然とした書き方は好きなので良かった。

    全く予備知識はなくても中世ヨーロッパの特徴や法王と皇帝の関係。古代ローマ帝国との違いなどが分かりやすく書かれている。地図も多く載っていて町の位置関係も分かりやすかった。

    フリードリッヒは皇帝だからローマ法王の理不尽さに対抗出来たんだろうけど、異端裁判(魔女裁判)に代表されるように故なく罪に問われた犠牲者の数はいかばかりか。

  • フリードリッヒ2世ってだいぶ時代の先をいったなあと思う。
    中世の枠から離れている。ルネサンスも通り越している。
    法で治めるとか。はっきり言って、すごいとかいうしかない。

    中世ヨーロッパ舐めてました。
    ごめんなさい。

  • 再度の教皇との対立からこの世を去るまで。

    一門の歴史としてなら、もっと色々と書ける内容があったのではないかなぁ。

  • 1代で出来ることは全てやった人生だった。
    彼の死とともに、それは崩れ始める。時代が追いついて居なかった。
    しかし、彼のやったことは新しい時代の萌芽にはなった。
    まさしく「一粒の麦地に落ちれば…」な人生だと思う。
    当時のバチカンより破門された彼のほうが、キリストの言葉に沿っているよぅに思えるのが皮肉です。

  • 死んでしまったら何もない。

    全力で走り続ける人生、素敵。
    著者のフリードリッヒ愛がとまらない。

    期待を裏切らない、楽しい読書2週間でした。

    次は、カエサル。

  • 読み終わった時、感動した映画を観終わって席を立てなかった時のようでした。

    「世界の驚異」と呼ばれる男。
    こういう人が歴史上にはあらわれるのですね。

  • 今まで名前しか知らなかったが、こんなに凄い天才的な皇帝が存在したのかと驚いた。誤解を恐れずに言えば、スケールのでかい織田信長ですね。統治者としても、文化人としても素晴らしいけど、それでいて女好きという点ではカエサルにも共通する。彼がいたから、ルネサンスが生まれたというのは、間違いではないだろう。

  • 今年の目標は、本棚の飾りになっている「ローマの人の物語」だが、道のりは遠い。まずは、最新刊のフリードリヒから。塩野七生を完読したのは、はじめてでした。

  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯。

    それはまさしく激動だった。

    中世の歴史において、欠かせない人物だということだと思った(個人的にはそう思う)。
    50数年という人生は、短かったのか長かったのか。

    常に法王と正面から闘い抜く。
    圧倒されるままに、上・下巻ともに読み切る。

    この本を通じて、いろいろなことを知った。
    当たり前だが、学校では教わらないこと。
    しかし、この本を読んで、中世の歴史の一部ではあるが、理解が深まったと思う。

    人物の評伝を書いても、やはり塩野七生さんの文章が光っていると感じた。

  • イタリアの歴史はやはりこの人だね
    全然面白くないのにすっごい面白い
    半世紀昔の高校以来の中世ヨーロッパを楽しんだ
    地図が頭に入っていないので、何度もページ逆戻りしながら、それでもわくわく読んだ
    前書きにあるように、中世とはどういう時代であったか、ルネサンスの必然がのみこめた気がする
    《 生涯は 太陽のごと かけぬける 》

  • 下巻は、主人公であるフリードリッヒ2世か神聖ローマ皇帝、シチリア王等として世俗権力の頂点にありつつも、ローマ法皇や北イタリアのロンバルディア同盟との闘争に奮闘し、時に成功しつつ時に失敗するという波乱の物語。そして、本人の死の後は、ホーエンシュタウフェン家を継ぐ者たちも次々と滅びていくといういささか厳しい現実が描かれる。
    それはともかく、当時のシチリアや南イタリアが国際色豊かで、文化的にも経済的にも富んでいたということは驚きだ。今の南イタリアとは大違いだが、どこでどう間違えてしまったのだろう。

  • 塩野七生さんの最新刊。

    構想に40年以上とかいうことだったのでかなり期待。
    あのカエサルやマキャベリ以上の思い入れがあり、さぞ素晴らしい考察をされているかと思いきや肩すかし。

    確かにあの中世で思い切った改革を行い、ルネサンスの先駆けとなったフリードリッヒⅡではあるけど、その凄さが伝わってこなかった。

    伝わってこなかったのは、そもそも皇帝と法王という二元的対立軸に陳腐化したためか、それとも中世のカトリックが権威どころか権力を持っていたことが日本人として肌で感じにくいことか、そもそも著者の文章表現によるものかは分からない。全体を通して単調で、ローマ人の物語のような著者の気迫による人物描写がなかったように感じる。

    しかし、フリードリッヒⅡという人物を取り上げてここまで詳述した邦人作家はいなく、その点では世に出した功績は非常に大きい。

    洞察力、先見性、実行力にずば抜け、政治機構を大改革し、それがために法王と対立したがその対立すら主導していく。

    しかし、フリードリッヒⅡは取り組み方が非常にまじめすぎる。
    ガチガチのコチコチ。

    カエサルがもしその時代にいれば、あれば遊び心満載、対立することなくそつなくかわしていたように思える。

    カエサルが政治に躍り出る際に真っ先にしたことは、まったく信仰心など無く遊び暮らしていたくせに、自ら神官に立候補。若くしてローマで最高の神祇官になっちゃった。宗教的権威を良く知っていてかつ利用方法を知っていて、対立するというか自分がそれと同体化するという離れ業。結局カエサル以降アウグストゥスも最高神祇官を兼ね、以降の皇帝は全てカエサルを模す。キリスト教を国教化したテオドシウスから兼ねなくなったけど。

    フリードリッヒⅡは法王との対立に終生悩まされたのは、カエサルの時代とは比較できないくらい当時のカトリックの影響力が大きかったのはよく分かる。フリードリッヒⅡという叡智の塊のような人物が法王との対立を考え抜いて外交と武力で交渉していたが、それでも暗い中世という時代には通用しなかった。勧善懲悪的物語構成でいえば「敵に勝てなかった」という結末に終わったのがすっきりしない読後感になったのかな。

  • 塩野七生は魅力的な人物を描いた時に大いに力を発揮する。
    十字軍物語でも獅子心王リチャードが出てきた時には筆が踊っていた気がするし、本書もまさに塩野氏の本領発揮といったところだろうか、一気に読み終えた

    中世に封建主義の社会にありながら法治主義国家の設立を目指したフリードリヒ二世の生涯は、ローマ法王との確執に明け暮れたと言っても過言ではないだろう。
    シチリア王国を継いでからドイツを平定するまでにも、十字軍遠征を迫る法王を巧みに交わしながら皇帝としての地位を確かにするが、ローマを南北から挟み刺激するのだけは避けようと幼い嫡子との分割統治を確立する。
    ようやく帝国の統治を軌道に乗せた後、法王の要請に応えて第六次十字軍を結成するも、出発に際しての面倒事のお陰で二度に渡る破門を受けてしまう。
    通常ならば破門の効力で権力を失ってしまうのだが、実質的な統治と周りに集まった人たちの信望のためか、大きな影響も受けずに十字軍遠征に出て行く。

    しかし彼が率いた第六次の十字軍は、これまでとは一風変わった十字軍だった。
    対するイスラムとは一度も戦を交えずに、外交のみでイェルサレムの奪還を果たし、しかもイスラムのスルタンとは以後も続く親交を結び、その効果で中東の平和はフリードリヒ二世の死の直前まで続く。
    これまでの教徒の血を流してこその奪還が十字軍の意義と考えていたキリスト教上層部からは、大きな反発を招くことになり、それがまた法王との確執を深めることにつながる。

    領地に戻ったフリードリヒ二世を待っていたのは、北イタリアのロンバルディア同盟との争いだった。
    神聖ローマ帝国に対向する同盟の諸国は法王派と皇帝派が争うところが多く、法王の策謀もあり味方に着いたり敵に寝返ったりが続くさなかに三度目の破門を受ける。
    同盟との争いの中では長年の味方の中から起きた暗殺計画が発覚したり、同士の中からの裏切り者が出たり、頼りにしていた息子が敵の捕虜になったりと、盤石を誇っていた皇帝側にも綻びが出始める。
    そんな折に趣味の鷹狩に出ていた時に病に倒れてしまう。
    遺言として自身が亡き後の統治体制をしっかりと申し渡し亡くなるのだが、新体制でうまくいくかに見えたのも束の間、法王派の攻勢の前にフリードリヒのホーエンシュタウフェン朝は壊滅に追い込まれる。

    彼が追い求めた法治国家は、キリスト教の支配が強くなった中世をローマ時代の専制君主下の法治主義に回帰させようとしたものだったのだが、いったんここで揺り戻しを食らってしまう。
    しかし、しばらく後のアビニョン捕囚をきっかけに法王の勢力は抑えこまれて、復古主義のルネッサンスへと時代は移っていく。
    その意味で、塩野氏はフリードリヒ二世をルネッサンスのきっかけを作った男と捉えているようだ。

    それにしてもフリードリヒ二世は、よほど人望の熱い男だったのだろうと思う。
    終盤にいくつかの裏切りは起きたものの、本来ならばローマ法王側につくのが当り前であった大司教のベラルドやチュートン騎士団団長のヘルマンら側近は、最後までフリードリヒ二世の側を離れることはなかった。
    その他にも彼に登用された後は、永く支える側に留まった者が随分と多かったことが伺える。
    暗黒の中世と呼ばれるキリスト教支配の理不尽さに対して、法の下の平等での支配を目指すという理念に惹きつけられた人たちだったのだろうか。
    カエサルを彷彿させるごとく、またしても塩野氏絶賛の歴史上の偉人であったことは間違いないだろう。
    それにしてもパレルモを首都とするシチリア、一度は行ってみたくなる。

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