城塞 上巻

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著者 : 司馬遼太郎
  • 新潮社 (1971年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103097143

城塞 上巻の感想・レビュー・書評

  • (2016.11.03読了)(2016.10.26借入)(1985.01.30・31刷)
    関ケ原の合戦の後の徳川家康が豊臣秀頼を擁する大坂方を無力にし、徳川政権を安泰なものにしていくまでを描いている小説ということで、NHK大河ドラマ「真田丸」に合わせて読み始めました。
    家康が成長した秀頼と対面し、りっぱに成長していることに危機感を抱き、方広寺の梵鐘の銘に難癖をつけて大坂方を追い込み、合戦にもってゆくまでが上巻で描かれています。
    大河ドラマでは、既に終わった部分です。真田幸村はまだ登場していません。

    秀頼に千姫を嫁がせますが、秀頼の母は、茶々で、千姫の母はお江ですからいとこ同士の結婚ですね。家康は、いずれ豊臣を滅ぼすつもりだったでしょうから婚姻は無駄なような気もしますが、可能なら、秀頼が一大名として生き延びさせることも念頭にあったのでしょうか。
    とはいえ、政略結婚は、半分スパイを送り込む目的があったということなので、千姫又は、千姫のおつきのものが、順次実家に秀頼方の情報を知らせる役割があったのでしょう。
    舞台回しは、お夏と小幡勘兵衛が任されています。時代小説は、大衆娯楽小説でもあるので、所どころに濡れ場が入れてあります。
    どこまでが史実に基づいて書いてあるのかは不明ですが、今まであまり知らなかったことなども出てきます。例えば、片桐且元の豊臣家家老就任は、家康が命じたものなので、且元は常に家康の意向を気にかけているとか。家康は、大坂城の絵図面を作成してもらうために大工の棟梁を大坂城に送り込んでいるとか、です。
    家康と豊臣方が戦わざるを得なくなった時に豊臣方には、総大将になるべき人物がいなかったというのは、少し不思議な気がしますが、秀吉がなくなるときにつくった体制が早々に瓦解したためでもあるでしょうが、秀吉が天かを統一したのちに国内体制を固めることをせず、朝鮮出兵にうつつを抜かしていたことにも一因がありそうです。
    秀吉が、国内体制を固めることに発想転換することができていれば、もっと違った展開があったのでしょうが、残念ながらそのような人物ではなかったのでしょう。

    淀殿
    豊臣秀頼
    大蔵卿局 淀君の乳母
    大野修理 大蔵卿局の長男、豊臣家家老
    お夏 大野修理の姪
    小幡勘兵衛
    片桐且元 賤ケ岳七本槍の一人、豊臣家家老
    加藤清正
    織田信雄 常真入道、織田信長の次男
    織田有楽 長益、織田信長の末弟
    徳川家康
    本多正純
    阿茶局
    板倉勝重 京都所司代長官

    【目次】
    少年/春駒/帳の中/国松/片桐/
    有楽/清正/光物/会見/悪謀/
    墨染/本町橋/大風/住吉/山里廓/
    加賀/湖北/金沢城下/文使い/越前へ/
    坊官屋敷/因果居士/大仏殿/石田茶亭/大悪謀/
    一万石/鍾銘/弾劾/問責使/大坂の使者/
    妖怪/土山の宿/常真入道/風雨/旗頭/
    断罪書/淀堤/天下騒然/人情

    ●秀頼上洛(16頁)
    新将軍(原文は、将新軍)の宣下の儀式を伏見でおこなわれるについて、大坂から上洛せよ、という半ば命令じみた要求を、家康側から言ってきた
    「主人(秀頼)が、家来(秀忠)の祝いに出かけてゆくというためしが、本朝はおろか唐天竺にもあろうか」
    ●神と仏(33頁)
    神道は日本古来の土俗であるため、死者は当然、土葬される。一方、火葬の方は仏教渡来とともにつたわった。このため火葬をすれば仏になり、土葬すれば神になる
    ●本多正信(176頁)
    「本多正信というのはふしぎな男で、体じゅうのどこを押しても悪知恵が出てくる」
    ●崇伝(178頁)
    徳川幕府の統制主義の確立のために天皇を制約する公家法度や大名を統制する武家法度を書きあげたのもこの崇伝である。
    ●方広寺の普請完成(183頁)
    徳川氏がねらった豊臣家の財... 続きを読む

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