タダイマトビラ

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著者 : 村田沙耶香
  • 新潮社 (2012年3月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103100720

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タダイマトビラの感想・レビュー・書評

  • 家事や育児を義務としてしかこなさない母親のせいで、家族というシステムに疑問を感じている恵奈。
    恵奈はそのさみしさと満たされない欲求を「カゾクヨナニー」で慰める。
    私の本当の家族はどこ?帰るべきドアはどれ?
    家族なんて、しょせん精神的相互オナニーにすぎないという大胆な発想には仰天しました。
    けれどまちがっていない。むしろまさにそれに近い気がする。
    私も自分が産まれた家族は実際好きじゃないです。
    はやくこの人たちから離れて自立したいとばかり思っていた。
    今、自分が築いている家族はどうだろう?ひとりよがりにはなっていないだろうか。
    家族という制度を見つめ直させてくれる話でした。
    けれど、結末にかけて恵奈の思考が突拍子もない方に向かっていってしまったのが残念だった。
    ほとんど頭がおかしくなっている宗教じみたラスト。
    地に足のついた家族小説であればもっと良かったかな。

  • 家族の呪縛、虚構性は暴かれているが、着地がそこか、という失望はある。まさに出口のない物語。

    アリのアリスと我々の生活のアナロジーが、わかった時点で、これはディストピアなのだと、命をめぐる虚しさなのだと、家族の解体は、一挙に生きる意味の解体をももたらすのだと気づくべきだった。

    否定しようのない、パンドラの箱を本作は開けたようだ。

    ただ、ディストピアは、今ここで起きていることなんて、たいしたことない、という、あまりに高い俯瞰的視野から、絶望を生き抜く、不思議な力を時にもたらすことを忘れてはならないだろう。

  • 村田沙耶香さんの「タダイマトビラ」(2012.3)を読了しました。「家族」「家」について深く考察した作品ではないかと思いました。私には不可解で意味不明ではありましたが・・・。村田沙耶香の作品、理解できるものとそうでないもの、面白い作品とそうでないもの、私には、半々ぐらいです。

  • 村田さんの不思議な世界があった。けど、これまで読んだ本の方が面白かった。

  • クレイジー沙耶香の誕生日(昨日)に読む。
    ただただ、気持ちの悪い話だった…(T_T)
    もう一冊図書館から借りてるので、夜から口直しに読もう…
    あと授乳と出産殺人は読まなければ。

  • 芥川賞をとった「コンビニ人間」が面白かったので、読んでみた。村田さん2冊目。
    コンビニ人間は、大なり小なり共感できた。
    でも、この本については、家族仲が良いとはいいきれない家庭で育った私にも共感はあまりできなかった。
    少し、気持ちの悪さを感じた。

    でも、私も確かにこの違和感を感じることはある。旦那が子供を特に望んでいないが、高校生のころから子供を産むことだけを目的に生きて、結婚1年前後で不妊治療で妊娠した晩婚気味の友人(女)が、「この子の為に長生きをしなければいけないと思う」とか「子供の為なら何でもできる」と聞きなれた陳腐な言葉を言うのを聞くと、自分自身の言葉ではなく、そういう世間の目を生きる事へ陶酔しているのではないかと感じてしまった私。そう、正反対の「お前の生きがいを見つけたいがための我がままで子供が生まれたのではないか」と思ってしまうのを止められない。

    そういう、口に出すと、人でなしのように見られる現在の息苦しい世間で、確実に思っている人がいる意見を代弁してくれる気持ち良さがある。自分だけでないと、安心させてくれる。

    周囲となじめないとい日頃から違和感を感じている人を主人公とする傾向にはあり、それが自分と異なる分野だと気持ちの悪さを感じてしまう人もいる場合もあるが、私と「コンビニ人間」の様に、自分も感じている分野での違和感だと受け入れやすい。
    少し、小川洋子と似ていると思った。でも小川洋子より、後味の悪さは控えめで、村田さんの方が受け入れやすかった。

  • クレイジー沙耶香さんのクレイジーさが終盤きたな!ということを感じました。それまでは機能不全な家族と、冷静な主人公に惹き込まれて読んでいました。出産したら誰でも母親になれる、というのはよくわからなくて。じゃあなんで虐待は無くならないのだろうと思うのです。そして出産しない男性はいつ父親になるの?と。これがまともじゃない考えだとはわかっていますが。渚さんが一番しっくりきました。ラストは主人公は存在を変えてしまったのかなと思います。狂っているような、まともなような。世界と主人公、どちらがまとも?村田沙耶香さんの作品は興味深いです。面白かったとは違う気がしますが、考えらせられました。

  • わけが分からないよ....とラストには頭を抱えてしまいました。思春期のむず痒い気持ちと機能不全家族の話かと思ったけどもっとクレイジーな方向へ進んでしまいました。。

  • 最近村田さんの作品を続けて何作か読みましたが、
    序盤は『家族』を題材として、親子の関係性、愛情とはなにか考えさせられた作品でした。家族という社会的に構築された関係性と繋がりに疑問を持つ少女とその家族、友達の話になってます。

    どうしても終盤は理解に苦しみました。家族の人間ドラマがSF映画になったみたいで、最後どう持って行きたかったか頭が追いつきませんでした。

  • 子供の頃から家族愛に飢えた主人公。
    何だか面白そうだと手に取りました。

    衝撃のラストへって何かで見たから途中まではどうなるんだろう?って思ったし読みやすかったけれどラストはもう異次元…全く違う世界になってしまい私には理解できない!
    結局どうなったのだろう…と逆に気になってしまうのが凄いです(-_-;)

  • よくわからない

  • こういう世界はよくわからない…

  • 怖い。

    愛情を持って育てられなかった子供が母になり、役割は果たしつつもやはりまた子供に愛情を注げず歯車としてだけ存在し。

    そんな母を諦めてカゾクヨナニーで自身を慰める恵奈。理不尽さをうまく解消できず暴れる弟。別宅に逃げ込む父。

    負の連鎖。
    恵奈より弟の方がよほど分かりやすくて良い。

  • 引用
    浩平はうっとりと私に寄りかかる。目を閉じた浩平は、彼の理想の家族に全身を愛撫されている。私は彼の脳の中に引きずり込まれる。浩平の理想世界に従って私は彼を撫で続ける。浩平の理想世界の奴隷になって、私は彼の脳の中でゆっくり窒息していく。気がつくと、私はニナオになっていた。浩平は唾液が流れ出しそうなほど恍惚として目を閉じている。その弛緩した顔は、私だった。カゾクヨナニーしている私、そのものだった。
    この人、私でカゾクヨナニーしている
    ニナオ、私のカゾクヨナニーにさんざん付き合わされた、可哀想なニナオ。私はニナオを使って。、心の中の「本当のドア」の向こう側にある理想の家族を、何度も愛撫した。セイヨナニーをする人たちと同じように蹲り、勃起したぺニスを擦るように脳の中の理想を摩擦し続けた。何度も何度も繰り返してきた。まるで罰を受けるように今、自分がそうされていた。浩平は彼の脳の中に引きずり込んだ私をきもちよさそうにしごきながら、幸福そうに笑っている。

  • 自分自身にも理想の家族がわからない。
    だからこそ追い求めてしまう理想の家族。
    血の繋がりが絶対という常識的な安心感。
    特に恵奈の家は少し変わった母親がいるだけで、圧倒的に家族を信じられない環境ではない。
    だけどそれも客観的にそう思うだけで、家族と合わない人だってもちろんいる。
    そうなった時に常識の押し付けはひたすらに生き辛さしか与えない。
    啓太は今ある家族を受け止めて世の中の所謂常識とのすり合わせの中で苦しむ。
    そんな啓太は恵奈の「本物の家族探し」を現実逃避だと捉えるけれど、
    読めば読むほど誰が現実から逃げてて、そもそも現実って何かわからない。
    父だって母だって啓太だって、恵奈と同じように自分の考えがある。
    そう思うと結局みんな一人ずつの個でしかない。
    だからと諦めるのではなく、誰かと個として繋がれると信じたい。

  • 「カゾクヨナニー」という言葉のセンスが大好き。
    両親から愛されて育った私には、恵奈やその母親の感覚は理解しがたいのですが、でも間違いなく私もカゾクヨナニーしてるときがあるんですよ。家族相手に。「家族なんだから~」「血が繋がってるんだから~」と言って、娘であることを演じているというか。わざっと末っ子感出して馬鹿っぽく振る舞ったりとか。
    両親からは愛されてるけれど、ちょっとワケあり家族ではあるので、家族って何だろうと改めて考えました。
    この家族を、恵奈を、恵奈の母親を、おかしいとか気持ち悪いなどと言うのは簡単です。でも、それだけで終わらせたくない。
    「家族」というシステムに縛られたくない人が、もう少し生きやすい世の中になればいい。

  • 2016/6/6

    こわい。
    親に愛されなかった恵奈。家族欲を満たすためにカーテンを擬人化して優しくしてもらうという「カゾクヨナニー(家族オナニー)」を始める。
    家族愛って自分の家族欲を他人を使って満たしているだけなのでは...?
    そう思わされてすごく怖くなった。
    村田沙耶香の本は「普通」「あたりまえのこと」がわからなくなる。

  • 子供を愛せない母と、愛人と過ごし帰宅しない父。
    両親に愛されるせずに育った恵奈と弟
    自分の欲を自分で処理すること=オナニー
    ということを知った恵奈は、カーテンに包まり
    両親から与えられない愛情を受ける様に
    「カゾクヨナニー」とその行為を名づけ寂しさを紛らす。

    高校生になった恵奈は、大学生の彼氏と
    本物家庭を作る日を夢見ていたが
    彼氏が自分を通して恵奈と同じように
    「カゾクヨナニー」をしていることに気づいてしまう。

    最後に恵奈は、発狂してしまい「なんだこれ!!」
    という物語の終わりを迎えてしまい
    よく分からないし、気持ち悪い話だったという印象。

    大学生の彼氏が家庭を作る事を恵奈に匂わす
    度に恵奈が嫌悪感を表す。
    「家庭」に失敗したらもう、元通りにならないのか。

    P12「私にもわかんないもん。 私たちだって、たまたまお母さんから出てきただけじゃん。だからって無理にお母さんのことを好きになる必要ないでしょ。 
    お母さんも。私たちがたまたま自分のお腹から出てきたからって、無理することないよ。
    そんなのって、気持ち悪いもん」 

  • 「私にもわかんないもん。私たちだって、たまたまお母さんから出てきただけじゃん。だからって無理にお母さんのことを好きになる必要はないでしょ。お母さんも、私たちがたまたま自分のお腹から出てきたからって、無理することないよ。そんなのって、気持ち悪いもん」

    『この世には、狭い暗がりから世界に向けたドアが無数にあって、私はたまたま、母の足の間についてるドアを開けただけだ。この世に出てくるために蹴破った、血と肉でできた扉。』

    『「本当の家族」とは、血なんて理由ではなく、私だからという理由で選ばれるということだ。
    「本当の恋」をして結婚すれば"自分たちの子供だから"ではなく"私だから"という理由で自分を探し出してくれた人と共に家を作ることができる。』

    『私は、睡眠薬や食欲と同じように「家族欲」というものが自分にあるのを感じていた。そして、それを自分で処理することにチャレンジした。そして、私はとても上手にそれを始末することに成功した。私にとって「家族欲」は、排便や排尿と大して変わらない単なる生理現象だったのだ。』

    『性の知識が浅かった私は、食欲も睡眠欲もなんでも、欲望を自分で処理することをオナニーというのだと思っていた。だから家族欲を自己処理している自分の行為も、オナニーと呼んだ。』

    『私は挑むように睨みつけながら、「家族」の下に書かれた文字を読み始めた。
    「血縁、婚姻などによって結ばれた小集団」
    そこに書かれていた文章は、漠然としていて私にはよくわからなかった。その隣にならぶ「家族制度」という言葉が気になり、「制度」を辞書で調べた。
    「社会的に定められているしくみ。」しくみ、を辞書で調べ、文字の中を旅していると、「システム」と言う言葉にぶつかった。
    「システム。システム」
    私はその金属のようなひんやりとした言葉を、小さな声で繰り返した。そうか、家族はシステムなんだ。その機械的な響きが気に入って、私は何度も呟いた。』

    「そんなことよりね。私さ、今、隣の席の男の子が好きなの。すごく優しいんだ。この前、定規忘れたらね、貸してくれたの。プラスチックのやつじゃなくて、ちゃんと30センチの長の長いやつ、貸してくれたんだよ。いいと思わない?」

    「ショクヨナニーっていうんだよ。私が名前つけたの」
    「ショクヨ…なに?」
    「ショクヨナニー。食欲のオナニーだからショクヨナニー」

    「あのね、寒いときはストーブつけなくても、赤い折り紙を見ていると暖かくなるんだよ」
    「ああ、それは何か、聞いたことがある。先生が前に言ってたよね」
    「そう、身体は寒いままでも、脳が温かいって思うんだって。だからショクヨナニーも、匂いをかぎながら噛むふりをすると、脳が食べてるのと勘違いするんだと思う」
    「脳を騙すってことね」
    「そう、それ! 脳を騙しさえすれば、たいていの欲望はおさまるんだよ。すごいでしょ」

    『カゾクヨナニーも、「脳を騙す」というのがポイントなのだ。事実はどうあれ、普通の家族に包まれて、子供が育つのに必要な愛情が与えられている、というふうに脳を騙すことができれば、実際の親の愛情は必要ない。食べ物はいくら脳を騙しても実際に栄養とらないければ死んでしまうが、形のない愛情という精神の食事に関しては、脳さえ騙せば問題ない。』

    『浩平と付き合うようになっても、カゾクヨナニーの回数は減らなかった。私とセックスしても、セイヨナニーを頻繁にしているらしい浩平と同じだ。』

    『携帯電話に「今日は排卵日です」と表示されているのを見ると吐きそうになる。「卵」という文字から、いつか辞典で見たサナダムシの白い卵を想像してしまう。何か見えないものが、自分の体内に産み付けた卵。その卵が子宮を痛ませているような気がしてならないのだった。』

    『家族になるというのは、皆で少しずつ、共有の嘘をつくっていう... 続きを読む

  • 一体なんだったの??

  • 村田沙耶香2冊目。うーむ。やはりこの人の小説は独特な風合い。性を書くことが多いというか、そういう方向がメインなのかしら?主人公のカーテンとの行為とかドン引き…理解しがたい。最後、主人公が発狂して崩壊してしまうのもオソロシイ。2013/209

  • 最後の方でいきなり調子が変わる(口調の不自然さに笑ってしまった)そのままよく分からない終わりを迎える。
    読んですぐは何だこれはと思った。でも、著者は一貫性をもった世界を書いている、書けていると思う。表紙の可愛らしさからは想像出来なかったけど、かなりチャレンジしている作品だと思う。

  • カゾクというシステムについて。
    愛情を子どもに注ぐことができず、注ぐことを諦め仕事として子どもに接する母親。そしてその母親についていくことが出来ず外に逃げた父親、そしてはやく本物の家を作ることを目標に、本物の恋を探す恵奈、そして愛情を注がれないことに屈折しいちばん人間らしい弟。
    恵奈の家族への欲求を満たすために行う、カゾクヨナニー。まずそこの発想が素晴らしい。カゾクヨナニー。
    ほんと性についてなに考えてるのかな、村田沙耶香さんは。彼女の作品全部読んでますが、いつも度肝抜かれる。いままで読んだことのない作風ばかり。いやー、素晴らしい。
    ラストこうなるか。言葉にできないよ。こうきたか。こうしたか。うわー。カゾクといシステムの外へ。タダイマと。
    ある意味で救われるのかな、や、救われてないな。もうわかんない。でもわからないけどこれは間違いなく良作。そしてかなりの問題作だ。

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タダイマトビラの作品紹介

自分の子どもを愛せない母親のもとで育った少女は、湧き出る家族欲を満たすため、「カゾクヨナニー」という秘密の行為に没頭する。高校に入り年上の学生と同棲を始めるが、「理想の家族」を求める心の渇きは止まない。その彼女の世界が、ある日一変した-。少女の視点から根源的な問いを投げかける著者が挑んだ、「家族」の世界。驚愕の結末が話題を呼ぶ衝撃の長篇。

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