「死の棘」日記

著者 :
  • 新潮社
3.54
  • (5)
  • (5)
  • (18)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 66
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103101062

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • これは読めない.10年くらい積読して,いいかげんなんとかしたい(タイトルが目につくし,かといって捨てられないし..)と思って読みはじめて3%くらいで読了!

    はじめにはおもしろい.なんといっても著者のヨメ,本書で気が狂ってしまう本人が登場し,著者の死後にこの日記を出していいのか悪いのか,肉声で語っているから.ただ本編の日記は,(島尾氏に興味が湧かないというかひっかかりがない状態では)つらかった.

    本当の出会いもタイミングがありますな.

  • 自身が浮気したことにより、妻が精神を病んでしまった作家の日記。
    壮絶だ・・・
    なんだろう。
    浮気はそりゃ発狂モノにむかつくけど、
    ここまで精神を病むものなのだろうか?
    妻側に、そういう素養があったのかな。
    どうやら精神を病むまでは、妻はとても夫に献身的だったようなので、
    その「献身」が、すでに本来の「献身」ではなく、
    自分を押し殺した献身だったのかもしれない。
    だからこそ、ここまで精神を病んでしまったのか。

    日記は、毎日のように妻の様子から始まる。
    「むがる」「気分良し」など。

    「むがる」というのは調子が良くない時なんだけど、
    (癇癪を起こしている感じ?)
    むがっている時が多い。

    とうとう病院に入院してしまう。

    夫は、その病院に泊まり込みで妻の面倒をみる。

    いくら自分の浮気のせいだとはいえ、ここまでなかなか出来ないよね。
    自責も大きくあっただろうけど、やっぱり「愛」が大きかったんじゃないかな。

    なんせ日記は、妻のことばかりだもの。

    「献身」する側が、妻から夫へ変化している。

    浮気されるのはイヤだけど、ここまで愛されるのはいいなぁ、と思った。
    そして、生きていくことの地獄のような辛さも見えた。

  • 「正気」と「狂気」の境目の曖昧さ。

  • むしょうに島尾敏雄・ミホ夫妻のことが気になり再読。

  • 小説 『死の棘』の基。妻の発病〜夫婦入院〜奄美への転居迄。混迷を極めてたといっても、そこには日常や個々の創作の営みは断続的にも行われてはいた。というより、むしろ創作者として自己感覚を探求する者達(小説家と歌人)独特の情念の発散があって充実していたのかとも。「夫婦共々の羞恥」と表す島尾ミホの前書きには、その修羅を通過した誇りすら感じられる「純文学の極北」。

  • 2006.08.03読了

  • いやもう、壮絶。やられた。

全7件中 1 - 7件を表示

著者プロフィール

1917-1986。作家。長篇『死の棘』で読売文学賞、日本文学大賞、『日の移ろい』で谷崎潤一郎賞、『魚雷艇学生』で野間文芸賞、他に日本芸術院賞などを受賞。

「2017年 『死の棘 短篇連作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

島尾敏雄の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×