- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103101062
感想・レビュー・書評
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これは読めない.10年くらい積読して,いいかげんなんとかしたい(タイトルが目につくし,かといって捨てられないし..)と思って読みはじめて3%くらいで読了!
はじめにはおもしろい.なんといっても著者のヨメ,本書で気が狂ってしまう本人が登場し,著者の死後にこの日記を出していいのか悪いのか,肉声で語っているから.ただ本編の日記は,(島尾氏に興味が湧かないというかひっかかりがない状態では)つらかった.
本当の出会いもタイミングがありますな.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自身が浮気したことにより、妻が精神を病んでしまった作家の日記。
壮絶だ・・・
なんだろう。
浮気はそりゃ発狂モノにむかつくけど、
ここまで精神を病むものなのだろうか?
妻側に、そういう素養があったのかな。
どうやら精神を病むまでは、妻はとても夫に献身的だったようなので、
その「献身」が、すでに本来の「献身」ではなく、
自分を押し殺した献身だったのかもしれない。
だからこそ、ここまで精神を病んでしまったのか。
日記は、毎日のように妻の様子から始まる。
「むがる」「気分良し」など。
「むがる」というのは調子が良くない時なんだけど、
(癇癪を起こしている感じ?)
むがっている時が多い。
とうとう病院に入院してしまう。
夫は、その病院に泊まり込みで妻の面倒をみる。
いくら自分の浮気のせいだとはいえ、ここまでなかなか出来ないよね。
自責も大きくあっただろうけど、やっぱり「愛」が大きかったんじゃないかな。
なんせ日記は、妻のことばかりだもの。
「献身」する側が、妻から夫へ変化している。
浮気されるのはイヤだけど、ここまで愛されるのはいいなぁ、と思った。
そして、生きていくことの地獄のような辛さも見えた。 -
「正気」と「狂気」の境目の曖昧さ。
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小説 『死の棘』の基。妻の発病〜夫婦入院〜奄美への転居迄。混迷を極めてたといっても、そこには日常や個々の創作の営みは断続的にも行われてはいた。というより、むしろ創作者として自己感覚を探求する者達(小説家と歌人)独特の情念の発散があって充実していたのかとも。「夫婦共々の羞恥」と表す島尾ミホの前書きには、その修羅を通過した誇りすら感じられる「純文学の極北」。
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2006.08.03読了
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いやもう、壮絶。やられた。