私の百人一首

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著者 : 白洲正子
  • 新潮社 (2005年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103107163

私の百人一首の感想・レビュー・書評

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  •  奈良県出身だから?百人一首への興味は尽きない。句を覚えるため、お正月の家族との戦いに勝つための解説本から、その編纂のナゾに迫った本など、各種の本を数年おきに読んでいた。謎本に関しては、後鳥羽上皇と式子内親王の鎮魂のためという藤村由加『人麻呂の暗号』が面白いと思ったが、太田明氏の『百人一首の魔方陣』という本には驚かされた。
     そんなことで、実はじっくりと歌を味わうかのように、正面から取り組んだことはなかったかもしれない。

     著者白洲正子の自由で独自の解釈で歌を読み解いていくのは読んでいて実に気持ち良い。一首から順に読んでいくのも、実に正統派の正しい接し方なんだなと改めて思わされる。まず「むすめふさほせ」の一字決まりの句から…というのは競技かるたに勝つための実に邪道な読み方なんだなと反省反省。
     一首から読んでいくと、万葉集の世界から古今、新古今と時代が奈良、平安、室町とうつりゆくにつれ歌の内容が洗練されていく様もよく理解できる。

     そして日本文化、芸術、骨董に精通した白洲正子の目線で語られる歌の解説のなんと優美なことか。”春過ぎて夏きにけらし・・・”の句は、推量の言葉が使われ物事をあからさまに言い切らない当時の王朝朝人の教養が出ているといい、それを蒔絵に喩え、“砂子をうっすらとはくことによって、全体の調子をやわらげるとともに、奥行を深めようとした”とは、表現自体が詞的に美しい。

     数多の本に藤原定家がなぜこの一首を採用したのか?という謎が呈されており、その謎を解かんとした本が上記の“暗号”説だったり、一家相伝の秘密が隠されているというトンデモ本系のジャンルを生むのであるが、白洲正子はさらりと定家の和歌に対する愛情と執着、その膨大な知識・見識からもたらされたものと解説する。主張として強い裏付けなどはないのだが、ガタガタ言うなと、一首一首を楽しめばよいというスタンスが自由でよい。
     そして時折、
    “「思ひわび」と「恨みわび」は似ているので、かるたをとる時、よくお手つきをしたことを思い出す。”
    と、学問知識としてではなく、子供の頃の日常として百人一首があり、親しんだ上で語っているところが非常に温かい。

     改めて、能、茶道の根本精神となった「幽玄」の世界、和歌の理論が今もなお脈々と芸能芸術の世界に受け継がれていること、その大元が、ここに記されていることに驚くと共に、世界文化遺産に値する偉業ではないかなと思わされる。
     また、かるたに親しみつつ一首一首を味わおう。

  • 唯一読んだ白洲正子さんの本。解釈に共感したり、いやいやそれは!となったり。

    和歌だって、こういうふうに個人個人で解釈に幅があってもよいと思う。それが一番、和歌が身近になる瞬間であり、太古の人の心と自分の心とが共鳴するときだ。それこそが和歌の魅力だと思う。

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