天使の歩廊: ある建築家をめぐる物語

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 285
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103120810

感想・レビュー・書評

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  • 明治から大正にかけ、不思議な能力を持った建築家として活躍したという主人公(もちろんフィクション)の誕生から、いくつかの建築に至るまでのエピソードを、ファンタジータッチで書きます。子爵家未亡人の要望に答えての別邸、また社長夫人の子供の頃からの夢であった長野県の別荘づくりの話、彼の亡くなった夫人との出会いから死別までの物語りなど、どれも心が癒される場面ばかりでした。章立て毎に時間が前後し、明治14年の生まれの時から始まり、日露戦争、関東大震災、終戦などの時代を行き来するような描写になりますが、これも時空を超えるファンタジー効果を齎し、分かりづらいということにはなっておらず、完成度が高い作品です。

  • さらりと読み終えてしまった。謎をちりばめた雰囲気は好き。

  • ファンタジーちっくでキレイです。
    建築物って文学と正対照にあるような気がしてましたが、小説にするとやけに美しくしっくりといくものです。
    明治から大正、昭和へと続く不思議な話でした。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    時は明治・大正の御世。孤独な建築家・笠井泉二は、依頼者が望んだ以上の建物を造る不思議な力を持っていた。老子爵夫人には亡き夫と過ごせる部屋を、へんくつな探偵作家には永遠に住める家を。そこに一歩足を踏み入れた者はみな、建物がまとう異様な空気に戸惑いながら酔いしれていく…。日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。

  • 出てくる建物が私の想像力では想像しきれない。
    素晴らしいって事はわかるんだけど…。

    天から与えられた才能を持つが故に、平凡な幸せを持つ事が出来ない。
    それでも作り続けるしかない…。
    泉二目線の話、もしくはエピローグが欲しかったな。

  • 建築家とその家が起こす不思議な出来事。他のさくひんもぜひ読みたい!

  • やられた。強く続編を希望する。「こちら」と「あちら」をつなぐ建築。ノンフィクションかと思わせるような精密さ。手放しで褒めていい作品。

  • 此の世と彼の地を繋ぐ建築を設計し続ける男に纏わる物語。明治・大正・昭和と激動の世に、多くの血が流れ、多くの魂が天上に召される中、建築はその架け橋と也、魂の救済をする媒介に足りえる。天から授けられた才能(ギフト)は、身につくものではなく、備えているもの。
    設計を通じ、依頼者を救い、浄化していく物語は淡々と進みながらゆっくりと心に染み入る。

  • 流石は日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作というのが率直な感想です。

    読んでいくうちに自分も異世界に踏み込んでいくような感覚にとらわれます。

    ただ唯一、「惜しい」と感じたのはエンディング。

    サラリとまとめ過ぎた感が勿体ない…。

    「建物を作る」から「街を作る」へのステップが気になったままエンド。

    出来ることなら続編を読んでみたいです。

  • かなり
    想像力を要求される作品ですね
    それも
    また 楽しい

    時代の設定を
    日露戦争の時の明治にしている
    ところも 
    また 楽しい

    描ききられていないところを
    自在に
    楽しめるかどうかが
    この作品を
    よし!
    と できるか
    う~ん…
    と なるか
    の ポイントだと
    思います

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著者プロフィール

一九六二年、東京生まれ。國學院大學文学部卒。二〇〇八年、選考委員から絶賛を浴びた『天使の歩廊』で第二十回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。綿密な取材と精緻な文章で紡がれる哀切感溢れる世界は、読者の心を優しく掴んで離さない。本作は、ファンタジックな企みとサスペンスフルな展開を融合した、著者の新境地を示す野心作。他の著書に『ロスト・トレイン』がある。

「2014年 『伝書鳩クロノスの飛翔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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