仮想儀礼〈上〉

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著者 : 篠田節子
  • 新潮社 (2008年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103133612

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仮想儀礼〈上〉の感想・レビュー・書評

  • 上巻読み終わったところで、一言。
    さすがです!

  • もっと狂気じみた話かと思いきや、いたって真面目な宗教ビジネスの話。非常に面白い。お役所上がりの主人公の現実的で慎重な性格が良い。それにしても上手くいけばいくほどいつ崩壊するのかとハラハラしてしまうのは、やはり「虚業」なんて上手くいくはずないという先入観のせいでしょうか。一体この先どうなるのか、高まる不安を抱えつつ下巻へ。

  • いつもお世話になっているユミさんのブログの感想を見て予約した本。
    結構厚い上に上下巻ともなると読めるのか心配でしたが、無理なら読まずに返そうと思って借りました。

    私は割といろいろなことに対して冷めてるところがあると思っているので、何かを信仰することはないんじゃないかと今は思っています。
    結局みんな自分が1番なんじゃないかとどこかで思ってるところがあるのですよ。
    ただ夫や息子に対してはそんなこと思わないので、唯一無償で何でもしてあげられる存在なのかも。

    こういう冷たい考えと言うのは、やっぱり自分がちゃんと愛されて育ってないからなのかもしれないなーと親になってから思うようになりました。
    だけどそんな私でも大切にしたいと思える家族がいることはとても幸せなことで、実家にいた時の不幸は全て今の幸せを手に入れる為だったんじゃないかと思うことも。
    というか、そういう風に思わないと切ないのですよ。

    誰でも平等に幸せと不幸が訪れると言う言葉を全て信じているわけではありませんが、もしも多少なりともありえるのであれば、私は高校を卒業して家を出るまでに、生きている間の不幸が全て訪れてしまったんじゃないかと、世間や関わった人と話してみて感じることがあります。
    でも不幸を不幸と思わずに過ごしていたから、まだ幸せだったのかも。

    と、本とは全然関係ないようなことを書いてますが、私のような生き方をしてきた人は宗教にはまりやすいのかなとこの本を読んでいて思いました。
    何かに救いを求めたくなるんでしょうね。
    でも結局それは自分で何とかしないといけないとその辺はかなりクールに考えるので、冒険もしないけど、悲観もせずに、何ものにも縋ることがないのかなー。

    上だけ読むと、もうこれで終わりでもいいんじゃないの?と思います。
    もちろん同じくらいの厚さで下があるわけですが。

    何かを信仰することは自分を信じることでもあるのかな。

  • 宗教団体を立ち上げるお話。
    とても面白い。
    初めて読む作家さんだったし、分厚すぎる本を手にとったとき読みきることができるのか不安だったけど
    ずーっとだれることなくあっという間に読了。寝不足がつづいてしまうほどにひきつけられる。
    下巻では何が巻き起こるのが非常に楽しみ!!!!!!

  • すごい!!
    この厚さを難なく読み終え惹きつけられ続け、
    下巻もそうだろうと思える筆力。

  • 「もし行政の中級管理職が宗教をたちあげたら?」

  • いったいどうなっちゃうんだろう~、っていう展開でまずまず楽しめました。ラストの盛り上がり方が鮮烈!

  • 作家になるはずで都庁を退職したのに出版はキャンセルになり妻には去られ窮地に陥って、破れかぶれで新興宗教を起した主人公。
    調子のいい元編集者矢口といい加減さに呆れるような出だしで「聖泉真法会」は始められるが。
    もと役人の真っ当さで案外人心を掌握して会はどんどん成長していく。
    いい加減な筈の矢口は、その純真さで若い信者の信奉を得る。
    上巻はトントン拍子に拡大してい「聖泉真法会」、下巻はスキャンダルに見舞われ信者に去られ、果ては…。
    残った信者たちはデタラメで始まった宗教を信じ、さらに異議を唱えると教祖までもリンチするような狂信集団となって行く。
    終章に向う迷走劇は、始まりのいい加減さにと対象的に、悲壮を通り越して荘厳ささえ感じられた。

  • 感想は下巻へ。

  • 下も読了。
    途中これで纏まるのかと心配したが、さすが篠田節子、上手い。
    宗教をビジネスとしてやっていこうとする主人公が宗教団体を軌道に乗せ、ビジネスとして成功させる前半、足元をすくわれ失墜していく後半、そしてラスト。
    これだけの長編を破綻なく仕上げた力量に感服。
    性的にえげつないシーンはあまりなく、宗教なんてものに下手に手を出したら痛い目に会う、女性心理はコントロールし難いといった作者の考えが伝わる。
    教祖の公務員的な誠実さに途中違和感を感じたりもしたが、こういう人物だからこそ読者が不快感を覚えることなく最後まで読み進めることができるのだと思う。
    現代の家庭や若者の病理も巧みに描き、エンタメとして文句のない仕上がり。

  • さすが篠田さん、脱帽です。実際にありそう。

  • やられた。9.11を逆手に取って、世の中に進んでいくという道を小説の中で実現してしまう。
    篠田節子なら、小説を書くだけでなく、この手の団体を立ち上げられるかもしれない。

    役所勤めという経歴といい、
    「社会のシステムや精度についての正確な知識を持って折らず、そのために問題が解決できず、相談相手もいない状況に置かれている」「論点がはっきりせず、果てのない愚痴としてしか語られることのない彼女たちの悩みに、家族は本気で耳を傾けてくれない。家庭の中心にいて家族の生活を守っているはずの彼女たちが、その家庭の内で孤独に陥っている。」
    という現状分析といい、的確だ。

  • 作家を夢見てエリート役人の地位を捨てた。
    家族は去った。
    出版社にだまされて夢が消えた。

    そんな始まり。
    年齢的に転職が難しいから起業しよう。
    時代のニーズは何か?
     -宗教だ!

    教祖として起業。
    「精神安定サービスの対価としてのお布施」が収入源。

    心理描写よりは、その設定や発想が面白いです。
    しかし、そこの面白さに頼るには話が冗長。

  • 上下巻ともずっしりとボリュームあり。これは時間がかかると思い、半年ほど手がつけれなかった作品。数日休みがあったので、とりかかる。
    宗教、チベット、ネパール、国際問題など、篠田作品の醍醐味が詰まっている。上から下のつなぎも流石。切れ目なく下に突入させてもらった。二日で読み終える。休憩は何度か入れたが、気がつくと三時間休まず読んでいたりと、作品から離れられなくなる魅力がある。

  • ■あらすじ
    失業した二人の男が、生活のためにインチキ新興宗教を立ち上げる。運にも恵まれ、信者を数千人規模獲得して組織が大きくなるが、いろいろな問題にも直面して悪戦苦闘するという話。上巻は事業が軌道に乗ってうまくいっているところまで。

    ■感想
    笑えるコメディではないが、真剣に悩み恐怖・不安に駆られて宗教にすがる人達と、それを利用して儲けようとするがボロが出そうになり取り繕う主人公の姿は、ある種 喜劇だ。新興宗教の裏側はどこもこんな感じなのかもしれない。

    おそらく、組織を大きくして儲けるためだけだったら、オ●ムや統●教会のように、まやかしの超能力で自分を超人として信者に見せたり、死後の世界の話を持ち出して脅して行動を強制させたりするのが、一番手っ取り早い方法なはずである。
    しかし、主人公の教祖は、いろんな問題に直面しても「オカルト」と「脅迫」は否定し続ける。
    なので、信者達は騙されててかわいそうなんだけど、嘘がばれそうになりながら綱渡りしている教祖たちを応援しながら小説を読み進めていくことができる。
    下巻はおそらく、積み上げてきたものが崩れて、組織が崩壊していく話だと思うが、どんなバッドエンドを迎えるのか楽しみに読みたい。

    ■この小説を読んで、宗教団体のリアルな事情が分かって興味深かった点

    1.宗教をビジネスとして捉える考え方
    主人公(教祖)は、「悩みの相談と精神の安定をサービスとして信者に提供し、その対価としてお布施を受け取る」ことをビジネスモデルとして捉え、当面の生活確保だけでなく、将来の事業拡大や社会貢献を考えて、彼らなりに真摯に取り組んでいく。特に、集会施設の家賃や、信者グッズをいかに低コストで仕入れて売るか、付近の住民にどうやって信用してもらうか、等に悩んだりする姿は、中小企業の社長となんら変わらないように感じた。

    2.宗教にハマる人たちの分類
    宗教ユーザには、2パターンあるらしい。
     (1)主婦・社会人 … 仕事や家庭でストレスにさらされ、精神の安定を得るために対価を払ってもいいと考えている大人
     (2)学生・ニート … 安定した日常生活を送っているが、対人関係のうまくできない「生きづらい系」の若者
    (1)から見たら(2)の若者はワガママを言って甘えているように見えるし、(2)からしたら(1)は口やかましい大人だ。実社会と同じく、両者が分かり合うことは簡単ではない。
    なるべくお互いが顔を合わさないようにする、というのが現実解であり、実際の宗教もそのような対策を取っているのではないかと思う。

  • いつだったかの"このミス"にランクインしてて気になってた本。宗教と聞いて食わず嫌いしていた。
    しかしもっと早く読めばよかった。宗教は宗教なんだけど、なんというか事業的な感じ。もっと言えば人間ドラマ? 昔だったら途中で辞めてたかもしれないが、今なら楽しめる一冊。ぐいぐい読める。宗教ってやっぱり金儲けなのか。

  • 決して短い小説ではないのに、面白くてぐんぐん読み進めてしまえる一冊です。
    実際の事件などを踏まえて、現代社会の歪みや心のあり方はどうするべきか、読むほどに悩んでしまいます。
    自分たちの作った宗教にすがり、生きる道を見つけたかに見える者、迷い続ける者、教祖・慧海(正彦)の心の葛藤と野望・・。

    集会所に集まる人たちが抱えるそれぞれの問題もさまざまで、
    今時の若い「生きづらさ」「トラウマ乗り」と言う言葉にドキリとしたり。

    豊かになった世の中で、心だけが飢餓期になっているのかと思った一冊です。
    善とか悪とか割り切れないのが人の世なんでしょうね・・

  • ネットが介在すれば、、実際かくも簡単に宗教は成り立っていくのだろうなと思われるリアリズムと読みやすい文章であっという間に読了。
    この作家の作品は久しぶりだったが、こんなに軽い(読みやすい)文章を書く人だったかと驚いた。
    ほんの思いつきで起こした行動が、様々な人間たちを巻き込む奔流となり予想もしない事態へと発展していくさまは、バタフライ・エフェクトという言葉を連想させる。
    出る杭となる者は、出る前に打たれた時の対策を用意していなければあえなく抹殺されるだけ、という真理が下巻にて描かれていくのだろうか。

  • 宗教をどうやって設立して運営していくかをわかりやすく書いてありとても面白かった。ちょっとうまくいきすぎかな。。新興宗教に興味ある人は読む価値あると思います。

  • とにかく長いな、、、上巻だけで、450頁以上・・・

    公務員をやめて、宗教をビジネスとして成り立たせるために奮闘する。

    ただのエリート公務員が教祖になって人を集め、布施を集め、段々と教団の規模が大きくなってくるが、これからどうなる?不穏な動きが。

  • き〜も〜ち〜わ〜る〜い〜
    としか言いようがない。


    私は『言葉が通じない人』が苦手!


    使用している言語(日本語とか英語とか)が違う、という意味では無い。
    価値観が違い過ぎる人が苦手なの!



    価値観が違う、といっても個人個人で差があるのは分かってる。
    でも、突拍子もなく違う人は本当に困る。
    極端な例ではあるけれど、「人を殺してはいけない」と話したら「何で?」と答えるような人がいる。「だって、自分が殺されたら嫌でしょ?自分がされて嫌な事は人にしちゃいけないよ」と説明すると「私、死んでもいいから」と答えるような、そういう突拍子もなさが苦手なのだ。
    「そんなの誰でも苦手だよ!」と多くの人が言うだろうけど、そういう人がうじゃうじゃ出てくるから、この作品は『き〜も〜ち〜わ〜る〜い〜』のだ。


    この作品はハードカバーで上下巻と、かなりのボリュームがある。
    でも、ストーリーの展開がやたら速いし難しい言葉も出て来ないから、サクサクと読める。
    サクサク読めるだけに、そういう『言葉が通じない人』にごく普通の人がブンブン振り回されていく展開に目が離せなくなるのだ。


    この作品は新興宗教、という私にはよく分からない事業(?)を舞台としている。
    ああいう団体が事件を起こした時、教組は巨悪の権現・悪の親玉みたいに扱われる。
    それは『正しい』事なの?
    という事を考えさせられる作品だ。


    一方、宗教というモノはオカルトチックな意味ではなく、底知れない力を持っていると思う。人が何かを信じる、という力は相当なものだもん。
    何かを「正しい」と信じる人が、それを信じる余りに他者を傷付けても構わない、という考え方は怖い。
    でもこれは、宗教に限らずごく日常的に行われている考え方だ。


    信じるモノが同じである人達が集まった時、つまりは何か反社会的な団体に思考が染まった時、自分達は正しいと思うばかりに、その他者を傷付けても構わないという思考が暴走する。
    客観的に見ればおかしいよ、という事も集団で「正しいよ!」と認め合ってしまうから正しいとされてしまう…怖い!
    そういう怖さと気持ち悪さを、ハードカバー2冊に面々と書いてある。




    私は、主人公・正彦の「宗教という精神的拠り所を提供する代わりに、対価を貰う」という考えに抵抗は無い。
    精神的拠り所なんて誰でも持っているだろうし。
    家族、恋人、友達。
    あるいはコレクションしている何かとか、アニメキャラでもいい。
    そういうモノが見つからなかったり満足しなかったりする人に宗教を提供するという考えは、別におかしなものではないと思う。


    でも、そういう精神的拠り所を(宗教という形で)1箇所に纏めた時、人はどういう方向に行っちゃうの?というのが綿密に描かれている。コワい。


    正彦はある意味「普通のおっちゃん」だから、そういった盲信した集団の怖さを想像出来なかったのだろう。
    あんまり書くとネタバレになるから、この辺でやめておくけど…




    この作品は細かく丁寧に宗教団体の事を書いてあるけれど、「新興宗教キモい」という価値観で書かれていない。
    「日常に転がる悲劇」の話だ。


    だからこそ、気持ち悪くて、怖い。

  • 荻原 浩『砂の王国』も面白かったが、こちらはそれよりも内容が濃い。
    巨大宗教を食ってのしあがるのかと思ったが、思ってもいない終わり方で意表をつかれた。

  • 転落したエリート公務員がインチキ宗教を立ち上げる。
    社会に適応できないウワー的な方々や中小企業の社長が相手。
    インチキ宗教からだんだん中小企業のように商売していく。
    賢い桐生が難題を切りたくって少々爽快。さらに賢い増谷も爽快。

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仮想儀礼〈上〉の作品紹介

信者が三十人いれば、食っていける。五百人いれば、ベンツに乗れる-作家になる夢破れ家族と職を失った正彦と、不倫の果てに相手に去られホームレス同然となった矢口は、9・11で、実業の象徴、ワールドトレードセンターが、宗教という虚業によって破壊されるのを目撃する。長引く不況の下で、大人は漠然とした不安と閉塞感に捕らえられ、若者は退屈しきっている。宗教ほど時代のニーズに合った事業はない。古いマンションの一室。借り物の教義と手作りの仏像で教団を立ち上げた二人の前に現れたのは…。二十一世紀の黙示録的長篇サスペンス。

仮想儀礼〈上〉の文庫

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