- Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103133612
感想・レビュー・書評
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ネットが介在すれば、、実際かくも簡単に宗教は成り立っていくのだろうなと思われるリアリズムと読みやすい文章であっという間に読了。
この作家の作品は久しぶりだったが、こんなに軽い(読みやすい)文章を書く人だったかと驚いた。
ほんの思いつきで起こした行動が、様々な人間たちを巻き込む奔流となり予想もしない事態へと発展していくさまは、バタフライ・エフェクトという言葉を連想させる。
出る杭となる者は、出る前に打たれた時の対策を用意していなければあえなく抹殺されるだけ、という真理が下巻にて描かれていくのだろうか。 -
宗教をどうやって設立して運営していくかをわかりやすく書いてありとても面白かった。ちょっとうまくいきすぎかな。。新興宗教に興味ある人は読む価値あると思います。
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とにかく長いな、、、上巻だけで、450頁以上・・・
公務員をやめて、宗教をビジネスとして成り立たせるために奮闘する。
ただのエリート公務員が教祖になって人を集め、布施を集め、段々と教団の規模が大きくなってくるが、これからどうなる?不穏な動きが。 -
読了。
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き〜も〜ち〜わ〜る〜い〜
としか言いようがない。
私は『言葉が通じない人』が苦手!
使用している言語(日本語とか英語とか)が違う、という意味では無い。
価値観が違い過ぎる人が苦手なの!
価値観が違う、といっても個人個人で差があるのは分かってる。
でも、突拍子もなく違う人は本当に困る。
極端な例ではあるけれど、「人を殺してはいけない」と話したら「何で?」と答えるような人がいる。「だって、自分が殺されたら嫌でしょ?自分がされて嫌な事は人にしちゃいけないよ」と説明すると「私、死んでもいいから」と答えるような、そういう突拍子もなさが苦手なのだ。
「そんなの誰でも苦手だよ!」と多くの人が言うだろうけど、そういう人がうじゃうじゃ出てくるから、この作品は『き〜も〜ち〜わ〜る〜い〜』のだ。
この作品はハードカバーで上下巻と、かなりのボリュームがある。
でも、ストーリーの展開がやたら速いし難しい言葉も出て来ないから、サクサクと読める。
サクサク読めるだけに、そういう『言葉が通じない人』にごく普通の人がブンブン振り回されていく展開に目が離せなくなるのだ。
この作品は新興宗教、という私にはよく分からない事業(?)を舞台としている。
ああいう団体が事件を起こした時、教組は巨悪の権現・悪の親玉みたいに扱われる。
それは『正しい』事なの?
という事を考えさせられる作品だ。
一方、宗教というモノはオカルトチックな意味ではなく、底知れない力を持っていると思う。人が何かを信じる、という力は相当なものだもん。
何かを「正しい」と信じる人が、それを信じる余りに他者を傷付けても構わない、という考え方は怖い。
でもこれは、宗教に限らずごく日常的に行われている考え方だ。
信じるモノが同じである人達が集まった時、つまりは何か反社会的な団体に思考が染まった時、自分達は正しいと思うばかりに、その他者を傷付けても構わないという思考が暴走する。
客観的に見ればおかしいよ、という事も集団で「正しいよ!」と認め合ってしまうから正しいとされてしまう…怖い!
そういう怖さと気持ち悪さを、ハードカバー2冊に面々と書いてある。
私は、主人公・正彦の「宗教という精神的拠り所を提供する代わりに、対価を貰う」という考えに抵抗は無い。
精神的拠り所なんて誰でも持っているだろうし。
家族、恋人、友達。
あるいはコレクションしている何かとか、アニメキャラでもいい。
そういうモノが見つからなかったり満足しなかったりする人に宗教を提供するという考えは、別におかしなものではないと思う。
でも、そういう精神的拠り所を(宗教という形で)1箇所に纏めた時、人はどういう方向に行っちゃうの?というのが綿密に描かれている。コワい。
正彦はある意味「普通のおっちゃん」だから、そういった盲信した集団の怖さを想像出来なかったのだろう。
あんまり書くとネタバレになるから、この辺でやめておくけど…
この作品は細かく丁寧に宗教団体の事を書いてあるけれど、「新興宗教キモい」という価値観で書かれていない。
「日常に転がる悲劇」の話だ。
だからこそ、気持ち悪くて、怖い。 -
荻原 浩『砂の王国』も面白かったが、こちらはそれよりも内容が濃い。
巨大宗教を食ってのしあがるのかと思ったが、思ってもいない終わり方で意表をつかれた。 -
かなり分厚い本が上下の2冊組。
ハードな読書になるかなと思いましたが、
ストーリーの面白さに一気に読み終わりました。
貧しい生活をしている正彦と矢口。
正彦の書いたゲーム本の原作をもとにインチキ宗教集団をたちあげます。
何の根拠もない全くの空想から生まれた神を元にした
インチキ宗教でしたのに、なぜか大評判。
順調に信者も増やし、本部だけでなく支部を持つまでに発展します。
もちろん主人公たちは教祖として宗教集団に君臨し、
好き放題、勝手放題、やりたい放題…。
この傾向は、少し前に世間を騒がせた
あの新興宗教と全く同じだと思いました。
どうして人は宗教にはまり込むのかと、
ずいぶん不思議に思ったのですが、
小説の中で、そのあたりの人々の事情が書かれてあり、
そういうことか、と妙に納得。
頼れるものはわらにもすがりたいという人間の不安感をうまく利用し
大発展した新興宗教に翻弄される信者の女性たちやその家族に、
宗教に頼る人間の愚かさやおかしさが感じられました。
と、前半は愚かさばかりが感じられたのですが・・・
後半はちょっと違いました。
(続下巻)