仮想儀礼〈下〉

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著者 : 篠田節子
  • 新潮社 (2008年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103133629

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仮想儀礼〈下〉の感想・レビュー・書評

  •  大きくなりすぎた聖泉真法会。やがて信者達は暴走をはじめ、教祖である桐生すら行動を把握・制御できず、一部の信者が起こした騒動から事は一大スキャンダルに。教団はカルトとして世間から猛抗議を受け、教団内部からも裏切る者や退団する者が続発。あっというまに栄光から転落へ。残ったディープすぎる信者達と桐生教祖、そして矢口の運命は?

     下巻になり雰囲気は一転、物語はある意味ホラーに。立ち上げた者すら最後にはのみこまれてしまう宗教というものの本当の恐ろしさがここにあった。残った女性信者達が、人を救うためと心から信じて、いいことをしているつもりで狂っていく様は、本当にリアルで恐ろしい。彼女たちがそこまで聖泉真法会にのめりこんでしまった理由もそれぞれしっかり描かれているのがよかった。後から気づいてまた恐ろしいと思ったのが、自分の思考。金儲け目的で立ち上げたニセ宗教、いつか痛い目みるぞと読んでいた上巻と違い、桐生や矢口の根底に見え隠れする優しさや誠実さ、責任感の強さを感じ続けた結果、そんなに悪いことをしているわけじゃないのに、どうにか全員が救われる方法はないのかと擁護するような気持ちになって読んでしまっていた。自分恐い恐い。希望叶わず、教団の行く末はやはり破滅だったが、不思議と読後感は悪くない。とりあえず、心中しなくて良かった。

  • ●上下巻読破所要時間は1/4日。寝食は若干犠牲にしました・・・若干すぎ?

    ●読前『永遠の仔』が苦手ならやめたほうがいいと言われたが、視点になっている主人公自身は基本的に常識人なので、特に暗くて重くてドロドロ鬱欝キノコが部屋の隅に生えてんで!てな話にはなってませんでした。←個人的見解。あと『永遠の仔』のお話自体はおもしろかったですよー。
    新興宗教ビジネス小説と思いきや、宗教にハマってしまう人を顧客として扱う以上、案の定コントロールしきれなくなるのは予想通り。
    と言うか、女性信者がアレすぎて、男性読者は引くんじゃないかなあ・・・・(-ー;)
    信者の暴走に帰着していくのもそれはそれでいいのですが、ライバル新興宗教との戦い?や政治家との絡みをもっと突っ込んで書いてくれていたら、もっと私の好みでした。
    かなり面白い部類に入るのは間違いないと思いますが、ちょっと惜しい。個人の闇は、どうしてもついていける人間といけない人間に分かれるからでしょうか。
    まさか政治家と宗教の件は書いたらイカンのかね? お話やのにねえ??

  • 下巻は転落していく宗教組織の顛末、人間としての生き様に焦点が絞られていく。
    狂気じみていてそのうねりにのみこまれていく主人公。

    実際に自分のまわりでこういうことがおこったらと考えると本当におそろしい。
    宗教の救いと洗脳は紙一重なのだろうか。

  • 長編では今のところ今年一.
    久々に食事抜かして吸い込まれた.
    ロズウェルでも思ったけどコメディを混ぜると格段にテンポがよくなる.

  • 宗教の「内側」に入ったこともないし、入ろうとも思わないけど、
    こういうものなのかな…

    ある人を確かに救いもするし、落としもするのが宗教だと思う。
    私は何かを信仰することで救われるタイプじゃないと思うけど、
    すがりたい気持ちは理解できるつもり。

    宗教ビジネスって考えたこともなかったけど、
    あるんだろうなこういうこと…って、今までとはまた違う意味で、
    やっぱり怖いよ宗教って!と思った。

    読んでて、どうなる?どう終える?ってわくわくしてたけど、
    終わり方も唸らされたわ。いいと思う。この余韻、読後感。

    いやーこの大長編でも全く飽きることなく最後まで止まらなかった。
    面白かったー!!

  • 宗教の怖さを思い知る一冊。それにすがり依存してしまうと道徳心やまともな判断基準さえも失ってしまう。清らかな心を保つ程度の関わりならいいのだろうがすがってしまっては自分自身を失うということなのだろう。

  • 新興宗教をビジネスとして始めた男達が、成功への階段をのぼる。
    そしてその先に・・・。
    社会派小説のような前半から、信仰へとのめりこんで行く信者の怖さがホラー小説のように変化してゆくようだ。
    篠田さんの作品は、途中からどんどん踏み外して壊れていくような、どこかに行ってしまうような、そんな人間の怖さを描くものも多いように思う。

  • 現実ではない小説なんだけど、忘れてしまいそうです。

  • 新興宗教ものだが、「上」は社会派小説の範疇に収まっていたような気がする。
    「下」は、やや新興宗教者らしさが厳しすぎるかも。

    参考文献

    実践 チベット仏教入門
    クンチョック・シタル, 斎藤 保高, ソナム・ギャルツェン・ゴンタ
    春秋社

    宗教法人ハンドブック―設立・会計・税務のすべて
    実藤 秀志
    税務経理協会

    税務重要計算ハンドブック〈平成24年度版〉
    中央経済社

    まるごとわかる「法人税」―仕組みを押さえて大きく節税! (基本&実践BOOK)
    北村 義郎
    かんき出版

    宗教法人法はどこが問題か
    弘文堂

    新宗教事典〈本文篇〉
    弘文堂

    新宗教事典
    弘文堂

    性差別する仏教―フェミニズムからの告発
    大越 愛子, 山下 明子, 源 淳子
    法蔵館

    カルト資本主義 (文春文庫)
    斎藤 貴男


    発行年の記載がないため、最新または当時のもののand/orを掲載した。

  • ゲーム作家という夢を追い、出世を約束された職を失った正彦は、彼を唆した同じく失業中の矢口と共に、思いつきで金儲け目当ての教団「聖泉真法会」を立ち上げ、桐生慧海と名乗る教祖となる。
    悩みを持つ女たち、生き辛さを感じる若者たちの小さな集まりはネットを背景に拡大するが、次第に営利・売名目的の人間たちの介入を招き、巨額の金銭の絡む事件、信者の暴力などを引き起こし-
    いち教団の栄枯盛衰を通し描かれる「宗教」の虚実。上下巻。

    上巻はトントン拍子にスポンサーを得て信者も増えていく様が面白くも、怪しい業者や有名政治家、信者の家族などが不穏な空気を漂わせ。
    下巻は一時の隆盛が一気に崩れて、教祖であるはずの慧海でさえ舵取り出来ない、恐ろしい崩壊が目に見えているのに止まれない流れが本当に怖い…
    正彦も矢口も宗教のトップに居るには善良すぎたよ。
    そして内実がレッテル・フィルターを通して世間に伝わらない事と、集団心理がつくづく怖いと。
    最終的に集った六人も、真の教えを習得して幸せなのか、結局は抜け出せず集まってしまって哀しいのか…難しい。

    上下巻一気に読んじゃうくらい引き込まれる作品でした!

  • 主人公は結構真面目でいい人、な印象。
    そして税務署コワイ。
    本人よりもそれを支持する人の思い入れの方が
    熱くて重い、それもコワイ。

  • 鈴木正彦という人物の宗教ビジネスへの関わりを一本のレールとして描く。他の登場人物の背景もそれぞれ出てくるが、彼の心の声も交えて時間が経過していく。9.11やインドネシアの政情不安など実際の出来事も時系列で関係してくるのでリアリティが高い。
    虚業を営みながらも世間の常識から大きくはずれないとする教祖の考え方も納得できるからこそ、小説といえども現実感が増す。
    じわじわと堕ちていく様は怖い。
    読めてよかったと、実感できる作品。

  • 下巻の前半でかなり堕ちたなと思ったが、その後もっといってしまうとは…。まさに宗教に食われてしまったという感じ。
    ボリュームがあって読むのを躊躇うかもしれないが読んで損はなし。というかぐいぐい読めるので大丈夫。良本でした。

  • 篠田節子にハズレはないなあ。 思い付きのビジネスで作った宗教法人が、にわか教祖の手を離れ 一部の信者達の暴走で壊れていく。 「救われたい」と願う他人の深い闇に金目当てで迂闊に触れてしまった報い。ただ、エセ宗教から生まれたのは悲惨な事件だけではなかった。不思議な読後感。

  • 鰯の頭も信心から、それをリアルに描くとこうなるのだろう。
    信じたもののためには邪魔なものや反するものを始末もできる、まさに狂信。
    しかしそれは我々にもある。
    自分が好むものを悪し様に言われれば腹がたつし、また人は得てして他人が夢中になっているものに難癖をつけたがる。
    そして争いが起きる。
    宗教がらみの事件の実録を読んでいるようだった。
    エンディングに、救いと恐怖を感じる。
    忘れがたい作品。

  • やることがないのなら、宗教を作らないか…
    から始まる宗教団体の起承転結。
    フィクション

  • やっと終わった、長かった。

    ビジネスとして宗教を始めたが、回りからはカルトだと呼ばれ、信者達は、独自に仏を見るようになり、どんどん歯車が狂ってくる。

    教祖として活動していた桐生は、手におえなくなり、解散しようとするが、信者達は止まらない。

    最後は最悪な事態も発生し、食い止めることができず終止符がうたれる。

  • 2010年版このミステリーがすごい!第7位。面白かった。ビジネスで宗教を作り上げる。なんて私好みなんだ!と思って長かったけど、頑張って読んだ。前半はところどころ笑えるとこもあり、かつ、あまりにもとんとん拍子でうまく行きすぎて、いつひっくり返されるか、どうなってしまうのか、怖い感じだった。しかし、こんな会社の社長がはまった宗教に、社員たちも関係させられるなんて。ワンマン社長じゃなきゃあり得ない。桐生慧海こと鈴木正彦のバランス感覚や頭の良さには感動。生きづらい系の人たちは仕事柄、想像がつく。全く、正直に言えば関わりたくない人たち。下巻は聖泉真法会が没落していくさまが書かれる。マスコミの叩き方のなんと恐ろしいことか。井坂はほんとに許しがたい。正彦が思った通り、こんな人格破綻者が素晴らしい文体を持っているのが恐ろしい。後半の集団ヒステリーぶりはリアルだった。私がカルトとひとくくりにしている中には、こんな呑まれている教祖もいるのかもしれない。下巻は上巻に比べるとイマイチだ。怖いの一言。

  • 「宗教」を経営する話。
    上巻はサクセスストーリーなので、サラッと読めます。
    なるほど、こんな風に新興宗教は大きくなるのね、みたいな。
    下巻はある事件をきっかけにカルト扱いされて、
    転落していくのだけど、その内容がかなりドロッとしていて
    上巻との対比が面白い。
    もう最後らへんは気分が悪くなるくらいカルトですw
    でも、その中でも主人公はやっぱり普通の人で、そこにも注目。

    ラストまで救いはありませんのでご注意を。
    最近読んだ作品の中では一番面白かったなぁ。
    人間の心の純粋さや歪み、闇が垣間見える。

  • 上巻にまとめて記述

  • 津市芸濃図書館。
    <上>を読んで、現代の新々宗教の成り立ちが興味深い。

  • 転職に失敗して底からスタートした宗教の似非教祖の話で、徐々に成功していきかなりの規模の宗教まで発展するけど、些細なところから一挙に転げ落ちていく。
    落ちてからはドロドロで飲み込まれるように呼んでしまう
    話がダレる所もなく楽しく読み終えた

  • ひどい読後感。胃から何かせり上がってくる感じ。
    桐生の宗教はしっちゃかめっちゃか。アイテテテな方々が暴走。
    面白くて読むのが止まらなかったけど、ひどい気分。
    グロさ的には桐野夏生のポリティコンの方がまだマシかな。

  • 最後まで予想もつかない方向に
    どんどん転がっていくストーリー。
    その中で、人間というものが、
    悲しさも、制御のきかなさも、
    愛という側面からも、
    しっかり描き出されていて、
    「これぞ、小説!」と思いました。

    まったく知らない世界を覗いているのに、
    社会の縮図を見ているようでもあり、
    とっても恐ろしい世界なのに、
    決して遠い話ではない。
    真実をもとに虚構の世界に引き込んでくれる。
    小説の醍醐味をしっかり味あわせて
    もらった気分です。

    こういう小説を読みたいんだ!って
    思わせてくれる小説でした。

  • 宗教…教祖。あってないようなもの。

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仮想儀礼〈下〉の作品紹介

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