仮想儀礼 下

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 449
感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103133629

作品紹介・あらすじ

スキャンダルの末、教団は財産を失う。しかし、残った信者たちの抱える心の傷は、ビジネスの範疇をはるかに超えていた。家族から無視され続けた主婦、ホテルで飼われていた少女、実の父と兄から性的虐待を受ける女性…居場所を失った者たちが集う教団は、次第に狂気に蝕まれてゆく。「カルト」の烙印を押された聖泉真法会。さまよえる現代の方舟はどこへ向かうのか-真の救済の在り処を問う、著者の新たなる代表作。

感想・レビュー・書評

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  • この話みたいなことが実際にあって、その経緯をこんな感じでマスコミの情報だけで得たとしたら、まぁどんな印象を持ったのか、と思うとなかなか恐ろしい。これだけマスコミは信用できないという話が巷にあふれているのに、でもそれ以上に宗教団体の方が信用できないんだからね、という自分の中の気持ちが抑えきれないわけですよ。
    なんでこんなにも宗教団体がうさん臭いのか。お金を取るからか。でもお金を取らなくても尚更のこと
    うさん臭いよな。誰だ、この責任を取るべきなのは。キリストなのか、それとも大川隆法か。
    まぁそんなこんなで、話としてはダメ人間が頑張ってるけどやっぱり流されたりしてダメなのよ、という話で、もう、何やってるのよ、アンタ!って言いたくなる感じがムズムズしてついつい先が気になってしまって読んでしまうタイプ。
    しかも文体がけっこうあか抜けないというか、先生っぽい難しさがないというか、素人っぽいというか、いやおまえが言うなって話だけど、そこもまたムズムズして、最後の結末までモヤモヤ感を引っ張っていくこの感じはたまらん。

  •  大きくなりすぎた聖泉真法会。やがて信者達は暴走をはじめ、教祖である桐生すら行動を把握・制御できず、一部の信者が起こした騒動から事は一大スキャンダルに。教団はカルトとして世間から猛抗議を受け、教団内部からも裏切る者や退団する者が続発。あっというまに栄光から転落へ。残ったディープすぎる信者達と桐生教祖、そして矢口の運命は?

     下巻になり雰囲気は一転、物語はある意味ホラーに。立ち上げた者すら最後にはのみこまれてしまう宗教というものの本当の恐ろしさがここにあった。残った女性信者達が、人を救うためと心から信じて、いいことをしているつもりで狂っていく様は、本当にリアルで恐ろしい。彼女たちがそこまで聖泉真法会にのめりこんでしまった理由もそれぞれしっかり描かれているのがよかった。後から気づいてまた恐ろしいと思ったのが、自分の思考。金儲け目的で立ち上げたニセ宗教、いつか痛い目みるぞと読んでいた上巻と違い、桐生や矢口の根底に見え隠れする優しさや誠実さ、責任感の強さを感じ続けた結果、そんなに悪いことをしているわけじゃないのに、どうにか全員が救われる方法はないのかと擁護するような気持ちになって読んでしまっていた。自分恐い恐い。希望叶わず、教団の行く末はやはり破滅だったが、不思議と読後感は悪くない。とりあえず、心中しなくて良かった。

  • ●上下巻読破所要時間は1/4日。寝食は若干犠牲にしました・・・若干すぎ?

    ●読前『永遠の仔』が苦手ならやめたほうがいいと言われたが、視点になっている主人公自身は基本的に常識人なので、特に暗くて重くてドロドロ鬱欝キノコが部屋の隅に生えてんで!てな話にはなってませんでした。←個人的見解。あと『永遠の仔』のお話自体はおもしろかったですよー。
    新興宗教ビジネス小説と思いきや、宗教にハマってしまう人を顧客として扱う以上、案の定コントロールしきれなくなるのは予想通り。
    と言うか、女性信者がアレすぎて、男性読者は引くんじゃないかなあ・・・・(-ー;)
    信者の暴走に帰着していくのもそれはそれでいいのですが、ライバル新興宗教との戦い?や政治家との絡みをもっと突っ込んで書いてくれていたら、もっと私の好みでした。
    かなり面白い部類に入るのは間違いないと思いますが、ちょっと惜しい。個人の闇は、どうしてもついていける人間といけない人間に分かれるからでしょうか。
    まさか政治家と宗教の件は書いたらイカンのかね? お話やのにねえ??

  • 再読

  • 上巻までは、風変わりなサクセスストーリーとして読むこともできたのだが、下巻からは惨憺たる転落劇が始まる。
    あまりに都合の良すぎた成功は、それに相応しいあっけなさで以て終わるのだ。
    新興宗教に対する敵意もさることながら、何より虚構にすがらざるを得ない信者たちが逆境のなかで狂信に呑まれていく様が壮絶すぎた。
    夢の残骸を元に作り上げた玩具のような教義が、信者たちの切なる祈りを受けてついには一介の俗人であった教祖を真の教祖に変貌せしめるとは。
    ラスト、精神鑑定で「洗脳が解け」てしまわなかったのが、唯一救われた気持ちだった

  • こんな風にしかならないだろうなと云う方向にしか進まない下巻。残念。読んでて全く楽しくないので、評価低い。楽しくない小説は嫌いだわ。もっと捻ってほしいなあ・・・ 酷いのは現実だけでいいわ

  • 2023年12月ドラマ化
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99130006

  •  多少の睡眠と仕事を犠牲にして、完読。下巻の後半どこで読むのやめれるわけ?無理すぎひん?

     スキャンダルにより財産も社会的信用も失った教団。そんな教団になおすがりつく信者は、社会のどんな受け皿をもってしても救われなかった人々ばかり。

  • 下巻は転落していく宗教組織の顛末、人間としての生き様に焦点が絞られていく。
    狂気じみていてそのうねりにのみこまれていく主人公。

    実際に自分のまわりでこういうことがおこったらと考えると本当におそろしい。
    宗教の救いと洗脳は紙一重なのだろうか。

  • 長編では今のところ今年一.
    久々に食事抜かして吸い込まれた.
    ロズウェルでも思ったけどコメディを混ぜると格段にテンポがよくなる.

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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