この世は二人組ではできあがらない

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  • 新潮社 (2010年2月24日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103143222

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この世は二人組ではできあがらないの感想・レビュー・書評

  • 栞と紙川。ちょっとモテるタイプで適当っぽい紙川に対し、付き合うことに承諾はしたものの、当初は栞の熱はあまり感じない。やや引き気味に受け止めつつ、自身の夢である作家になるべく、こつこつ働き執筆に精を出す。

    同じ78年生まれ、会社勤めをしながら書き上げた作品でデビューするなど栞は著者自身を投影したようなキャラクターである。

    付き合い、時間や夢や思い出を共有して、半同棲もして。結婚を考え、すれ違って、別れて。半ば終わりが見えているのに紙川にお金を貸してあげる栞のきっぷの良さと強さが悲しい。そういう「強い」女はなかなか幸せになれないのだ。か弱く甘えてこそ、殿方は「俺がなんとかしてやらにゃ」と決心するのだろう。そんな分かりやすい、か弱さを表に容易く出せる女の方がよっぽど「強い」だろうに。

    「カップル」や「夫婦」といった二人組になれなければ、どこか世間から取り残されたように感じること。今まさにその渦中にあり、二人組になるべく模索を続ける私には栞のような生き方は出来ないだろうが、それでも響く部分があった。真剣に恋愛しても結婚を選ばない人の思考回路が少し分かったような気もする。

    分籍についても全く知らなかったので、(多分実際必要になることはないが)戸籍という、このよく分からないシステムに少し詳しくなれた。

  • 話の、自分の人生の主人公にはどうしたらなれるのか?

    話し手・シオちゃんはずっと「自分」を持っている。自己実現を最重要事項として生きている。でも夢を実現してもどこか虚ろで、ずっと寂しい。ロストジェネレーションって感じだ。
    一見「ひとつの恋愛を経験して凛としていく女性の物語」みたい。だけど違うと思った。

    この話の主人公はシオちゃんではなく紙川さんだ、と最初の方で述べていた。
    紙川さんはひとりよがりでぐるぐるしていて、情けないし、将来への道を選ぶのもへたくそだ。でも、なんだかんだ言って自分の人生を生きている感じがする。
    話し手シオちゃんは、自分の頭でしっかり考えて未来を選択して切り開いていく。でも自分は主人公じゃないと思ってる。2人の違いは何なんだろう。

    軸を他に置いているかどうかだろうか?と思ったけど違う。紙川さんは他人の評価をかなり気にしてる。シオちゃんは他人のリアクションが自分の内側に入ってこないようにガードしてる。なのになぜか主人公なのは紙川さんだ。
    2人の恋愛は、確かなあたたかさはあれど、相手のことがちゃんと見えていなくて表面を撫でているだけ。2人とも同じだ。馬鹿だから見えない人と、見えるけど拒否してしまってる人の違いだろうか。
    あるいは、単純に自分が物語の主人公と思って生きているかどうかなのかな。

    シオちゃんは主人公になりたくなさそうだけど、私はやっぱり なったっていいと思う。せっかくだし。
    紙川さんみたいに自分で作った世界から出ないでその枠の中から人に声をかけて生きるのは嫌だけど、シオちゃんみたいに外の世界と一定の距離を保って表情少なく生きるのは、もっと嫌だ。
    傷つこうか見苦しかろうが迷惑かけようが「人と近付こうとする」ほうが豊かだってことなのかな。う〜〜ん難しい。

    それか もしかして紙川さんの方も 自分を主人公と思ってないのかもしれない。誰も主人公になれない世代なのかもしれない。
    若者はさみしいな。みんなさみしいのかな。みんなロストしてんのか。そうだとしたらさみしいことだ。

  • ナオコーラさんの世界観、相変わらず分かるようで分からない。

    他作品に比べて結構清々しい読後感を覚える。
    とりあえずナオコーラ作品のヒロインとは絶対合わないだろうなあ...と毎度慄くこと必至。

  • 坦々と。
    考えたくないことも突きつけられて辛くなる。

    ぐちゃ、
    ぐちゃ。

    考える。


    ナオコーラの熱い主張。
    今な小説と思う。
    他の年代の人が読んだらどんなことを思うのだろう。もしかしたら、意味がわからないかもしれない。

    彼女の小説の、会話文がすき。


    栞は、彼だし私だし、著者だった。
    きっと、他の誰かでもある。

  • 大学生から卒業後までの3年くらいを小説家志望の女性視点から見る。
    就職や退職、同棲やら別れやら、色んなことがある。それらを淡々と描きつつ、人生についての本質的な思想や意見が随所に出てきた。

    自分と社会の関係性や、外国人と外人などの表現の違い、親と自分、恋人と自分、夢。

    みんななんとなく考えたことはあるけど、あえて誰も言わないようなことをズバリ言ってくれる作品だった。

    ロストジェネレイションと呼ばれる時代に育った方々の、静かな怒りみたいなものが顕著に表れていた。

    自分もやらなきゃと思う。

  • 社会って何?という疑問から始まる、小説家志望のしおちゃんと紙川さんの恋愛、社会との関係のお話。

    なんか山崎ナオコーラさんの文書って読みやすい。するする読める。
    2人ぼっちじゃなくみんなで生きている、とか、二人が好きあっていたのではなく二人が世界から好かれていただけ、とか、なんか、ああ、そうだよね、と思いながら読んだ。

  • いい意味で主人公が成長しない。

  • 最初から最後までうっすら泣きそうな気分で読みました。
    なんでか山崎ナオコーラさんの作品は私の琴線に触れる。
    率直で良い文章。人との繋がり方について、私はずっと模索している。

  • 愛を免罪符に女に寄生したあげく使い捨てる男は当然理解できないし、それをすべて承知のうえで社会慣習に染まりたくないからなどという陳腐な理由で尽くしてしまう女もわたしとはまったくちがう生き物で、そんなわけで主人公ふたりに終始苛立ちながら読み進めた気がする。
    ゆるさはこの作者の持ち味だし、文章自体もまったく嫌いではないのだけど、人間のまっすぐさやひたむきさ、一生懸命さといったものがあまりに欠けていて、わたしはそういうのをきっと、現実にも物語にも求めてしまっている。
    要するに、おまえら流されすぎだろ!って、おもったわけです。
    生きるということは崇高な営みでもなんでもないのはわかっていながら、それでも生きるということのうつくしさやみにくさを、あいしているのだよなあ。

  • おもしろい話の書き方だなあと思った。エッセイと、創作の間にあるような話。主人公が考えていることの輪郭がはっきりとしていて、ほんとうにこういうふうに考えてるんだなあと思える。
    自分の社会的役割とかつながりたいという欲求とか生きることによって派生する原因不明の窮屈な感じとか、すべてにおいて常日頃考えている事柄ばかりでうわあってなった。けど、こうやって真正面に立ってみたいとも思った。というか、立っているわけじゃなくて立たされているってのもあるんだろうけど。
    自分の世界があればいいやと思うひとには、読後ちょっと心の中に小石を投げ込まれた気分になるかもしれない。
    一生を水の中で過ごすのもいいかもしれない、けれど、たまには外に出てみればいい。たぶん、自分が思ってる以上に世界はやさしいものかもしれない。

    (173P)

  • 「新潮」2009年12月号にて。
    「恋愛否定」の小説ということで読んでみた。この話の主人公はあきらかに作者で、自伝小説風な色彩が強い。途中、「これは日記か!?」とツッコミを入れたくなる箇所も多少あり。でもこの作者の感性はやっぱりわりと好き。文体も問題ないし、途中までは「うんうんわかるわかる」な箇所もありつつ快適に読み進められたのだけど、後半というか最後ら辺、ものすごい、怖かった。

    「ひとりの愛より、みんなの小さな好意をかき集めて、生きていきたい」

    そうか…。わたしも恋愛至上主義とは程遠い価値観を持っていると自負しているし、「まだ誰も見つけていない、新しい性別になりたい」というのもわかるけど、この結末にはちょっとした恐怖を感じた。人間としてのどろどろした中身がなくなっていくようで、怖かった。

    作者は恋愛に代わるものとして「芸術」を提示したいのかもしれない。その気持ちはわからなくもないけれど、愛のない芸術は成り立つのだろうか?やっぱり創造のきっかけは「誰かに伝えたい」、その「誰か」がない作品って、熱量が全然感じられないということだよね…と思ったら、確かにこの小説からは「熱量」というものがあまり感じられなかった(だから「面白くない」「価値が低い」と言ってるわけではなく)。不思議な感覚。

  • 「社会とは一体なんであろうか」
    そんな一文から始まる物語は、少しとっつきにくさを感じるかもしれませんが、20代女子のリアルな悩みや社会に対する疑問が描かれていて、主人公「栞」のころころ変わる言動にひき込まれていきます。

    大学で知り合った紙川さんとの恋愛も描かれていますが、どこか一歩引いた栞の視点で描かれていて、恋愛に重きをおいていない栞の心情がうかがえます。

    常に何か(社会情勢、仕事、恋愛、親etc・・)を考えている栞。

    周りに流されず、自分の意思を意地でも貫こうとする栞の姿は、とても生きにくいのではないか、と感じてしまいます。まるで栞の頭の中を覗き込んでいるような小説です。

    図書館スタッフ(学園前):トゥーティッキ

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    帝塚山大学図書館OPAC
    http://opac.tezukayama-u.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&category-book=1&category-mgz=1&materialid=2110021818

  • さいたまとたまプラーザに住むゆるやかな男女の関係を中心にしながら、結婚や出産、性別、戸籍など、現代社会へのさまざまな疑問が主人公の思いにのせてつづられている。

    主人公は私より少し上のロスジェネ世代。
    その世代だからこそ見てきたものや感じるものがあるのだろう。
    「二人組」にならず、社会と人と、ゆるい糸で繋がっていたい、という価値観は、実は誰もがほんとうは持っている思いなのではないか。

    ◽︎

    日々が過ぎていくのはわりと奇跡

    恋人というのは運命の結びつきというようなものでは決してなく、お互いがそれぞれに生きているだけで、ただ寄り添うということに過ぎないのだ

  • 人の死に様は、その人の寝つき方と関係するのでは、という内容の一節があった。

    特に現実でその事例に遭遇したことがあるわけではないのだけど、妙に腑に落ちる話だと感じたのだった。
    私は死ぬことを怖れている。できたら、眠っている間にいつの間にか死んでしまっていた、という死にかたがいい。なので、夜に布団へ潜ったら一瞬で眠りに落ちる私は、死に様としては理想の形なのだ。夜なかなか寝付けない人は、なかなかスッとあの世に行くことができずに苦しむのだとか。そんなのは嫌だ。

  • 主人公の不器用さ、ナオコーラの小説の小説としての不器用さがもどかしくてやきもき。言いたいことは伝わりましたよ、わたしもそう思うこともある。だけど、もっとうまく言えないか。見渡せないか。

  • 再読だったけど、安心して面白い。第三の性か。子どもができた今、どう思うんだろう

  • 5年前に読んだ作品。
    何が起こるわけでもないが、この作家の凄さを実感した。

    とても大好きな作品。

    また本棚から引っ張り出してきて読もうと思う。

  • うーん、何にも起こらないって感想です。普通というか日常というかなかなか変わったジャンルのお話

  • 2016年7月25日読了。
    ぐさっとくる~。すごいな~。これはすごいな~!!

  • 題名のとおり、この世は「二人組」ではできあがっていない。そんな世の中の、カップルのひとつの在り方。ちょっと母性本能をくすぐる優男の「紙上」と、受け流し系の彼女の「栞」。実在のバンド、フィッシュマンズの「頼りない天使」という曲が好きな男なら、私まで好きになってしまいそうだ。歌詞の「今日からは二人ぼっち」というのを口ずさむ男を想像してしまう。結局は、「二人ぼっち」の恋愛は迷走する。思わず「頭で考えず少しくらい感情で愛に走れよ!」と言ってしまいたくなるが届かない。紙上と久々に会った栞の返答が実にナイス。

  • おもしろかった。彼女の本もっと読みたい。
    何度も素敵なフレーズがあったのに、最近ふせんを持ち歩いていなく、
    引用をひとつしか登録できずに残念。

    紙川と栞のふたりだけの会話がへんてこで、おもしろかった。

  • 山崎ナオコーラさんの著書との出会いは反人生なのですが、まだこちらは完読できてないのでまた挑戦しようと思ってます。初めて読んだ時から心理描写に惹かれてついつい読んでしまいます。シオちゃんや紙川さんがそばにいてくれたらなぁーとか思いながら読みました。後味がさっぱりしてて私は好きです。

  • 主人公に共感できたりできなかったり。統一感のないそれがリアル。

  • ある方のレビューで絶賛されていたので読んでみました。
    初ナオコオーラです。

    簡略化した乾いた文体はまあ読み易く、主人公に似合った感じでした。しおちゃんて、見た目ラブリーかわいこちゃん、中身中性的なオトコ、って感じの印象でしたから。

    著者の主題は明確でダイレクト。メッセージ性の高い小説でした。これって私小説なのかな?
    主人公である20代の女性の成長物語を通して自意識の磨き方を主張し、「自分と社会との関係」について問題提起している感じの本です。

    自分探しをするようなタイプの主人公と同世代の子が読んだなら、はっとするコトバが随所にちりばめられて感動したという印象になるのかもしれませんね。
    だけど私には少し青臭い感じで、ハマりきれなかったなあ・・・

  • うんうんわかるわかるというお話。現代まっしぐら。

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この世は二人組ではできあがらないの作品紹介

なぜ全員が男女二人組でなくてはならないのか。川を二つ越えながら、日々を営んでいた。埼玉とたまプラーザ。この小説の舞台は狭いアパートだ。社会とつながりに切り込む"反恋愛小説"。

この世は二人組ではできあがらないはこんな本です

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