三人姉妹

著者 :
  • 新潮社
3.07
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本棚登録 : 263
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103144311

作品紹介・あらすじ

大学を出ても就職せず、ミニシアターでバイトしながら仲間と映画作りをしている水絵は三人姉妹の末っ子。長女の亜矢はある日子連れで実家に戻って離婚騒動に、次女の真矢は不倫を脱し、奇病にもまけず転職に成功。水絵は映画合宿がつぶれて、好きな彼とはうまくいかず、夜中のドライブを楽しんだけど、今度は家族の危機が!三姉妹のゆるやかな毎日を瑞々しく描き心温まる長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 黒タイツに赤いパンプス、レギンスにペタンコのストラップシューズ、
    ストッキングに華奢なサンダル、と
    足元だけで三人姉妹の性格まで想像させてしまう表紙(しかも猫がいる♪)に
    期待をむくむくと膨らませて開いたのだけれど

    「母親は、」で始まった文が「。」に辿り着くまで7行という、1文の長さに驚きつつ

    うんうん、大島真寿美さん、いろんなスタイルで書けるんだなあ。
    この三女の水絵の長い長いモノローグ、
    脳内ではめまぐるしく思いが駆け巡ってるのに
    実際に言葉として口に出すのはほんの少しで、しかもゆる~く喋ってる感じが
    しっかり伝わってきて、すごいなあ。
    と、感心して読み進めて、読み終わって、ふと気づく私。

    猫、出てこなかった!そこらへんをさりげなく通り過ぎる野良猫すら!

    というわけで、猫が出る♪きっと出る♪という
    勝手な思い込みを裏切られた(?)悲しみで☆は少な目ですが、
    きっちり描き分けられた三姉妹の個性あふれるやりとりが楽しく

    劇的な事件が起こるわけでもない、ごく普通の家族の日常の
    明るさの中に潜む小さな毒や、切なさの中に潜む滑稽さをあぶり出す
    大島さんの上手さが存分に発揮された作品です。

    いきおくれ、いじわる小姑と噂されようとどこ吹く風で
    昼間は事務服を着た取締役として、自動車学校で地味に堅実に過ごし
    夜になると、ポルシェで高速をガンガン飛ばして
    ドライブインでジンジャーエールをラッパ飲みする
    長女の義妹 雪子が、惚れ惚れするくらい素敵です。

    • kuroayameさん
      三姉妹それぞれの個性が光るお話のように感じられて、とても魅力的ですね。
      私は特に女友達や姉妹などの日常生活が書かれているものにひかれるタイプ...
      三姉妹それぞれの個性が光るお話のように感じられて、とても魅力的ですね。
      私は特に女友達や姉妹などの日常生活が書かれているものにひかれるタイプなので、レビューを拝見させていただき、是非読んでみたいと思い、読んでみたい本に登録させていただきました♪。
      いつもレビューにて、本探しのヒントをおしえていただきとてもうれしいです★。
      ありがとうございます。
      2012/11/18
    • まろんさん
      kuroayameさん、こちらこそ、いつもレビューを楽しませていただいてます♪

      この本、ずうっと三女の水絵の視点で描かれるんですが
      長い長...
      kuroayameさん、こちらこそ、いつもレビューを楽しませていただいてます♪

      この本、ずうっと三女の水絵の視点で描かれるんですが
      長い長いモノローグの中で、あっちに飛びこっちに飛びする水絵の意識や
      家族や姉妹のやりとりが楽しいです(*'-')フフ♪
      私はひとりっ子で、お兄さんがほしかったなあと思いながら育ったけれど
      この本を読むと、姉妹もいいなあ♪と思ってしまいました(*^_^*)
      2012/11/20
  • どこにでもいそうな三姉妹。
    いや、今は3人きょうだいというだけで、少ないかな‥

    リアルで共感しやすい設定。
    長女の亜矢は見合い結婚して子供も一人いるが、離婚すると息巻いて実家に戻ってくる。
    裕福な家に嫁いだが、向こうの両親や小姑に息が詰まることもあるらしい。

    とばっちりが来るのではとはらはらする三女・水絵は大学卒業後フリーター。映画が好きで、映画研究会に今でも関わりながら、映画館でバイトしている。
    翌月、友達と免許を取るために、長女の嫁ぎ先が経営する自動車学校に行くことにする。
    穏やかな旦那さんは歓迎してくれ、長女も気晴らしになる様子。
    先月あれほど揉めたのにと内心呆れる妹。
    旦那の妹の雪子は学校を手伝っていて、徹底的に地味だが、実は意外な面を持っていることも知る。

    次女の真矢は、さっそうと働いていてキャリアウーマン志向、もともと要領が良い。
    真矢が行きつけのバーのマスターのグンジさんは、映研のOBでもある。
    グンジさんのほうは真矢をゆっくり口説いているつもりなのだが、真矢はゲイだと思いこんだまま。

    水絵は映研の後輩の右京君と付き合っているのだが、恋人と言い切れるほど盛り上がっていない。
    次第に連絡が減ってきて落ち込んでいたら、年上の女性と歩いていたという報告が。美人で評判の大学院生の澤さん。
    思いがけなくその女性が会いに来て、水絵に謝ってくる。恋人と別れた直後で甘えてしまって誤解させたが愛しているわけではないというのだ。謝られても‥
    澤さんが映画研究会の映画に出てくれるなら、そのメイキングを自分に撮らせてくれるなら許すと条件を出す水絵。
    妙なことをすると周りに呆れられるが?

    ほのかに笑えて、情けなくても深刻すぎない~けっこうありそうだけど、自分は体験していない、友達の話を聞くような感覚。

  • 三女目線の話。
    家族の距離感のようなものがうまく描かれてると思った
    長女、次女目線の話も読んでみたい

  • 書店のポップで気になって手にとりました。大島さんの本は初めてです
    三人姉妹の末っ子水絵の目線で繰り広げられる連作短編小説。
    だらだらと文字が連なってるけど、言葉は軽く綴られてるので読みやすい。
    右京みたいな男、絶対やだな。

    角田光代さんの短編が好きなひとはわりかし好きかも。ガールズポップなお話

  • なんてことない、3人姉妹の末っ子が主人公で出戻った姉にぶうぶう言ったり自身の恋に悩んだり。
    どんな時でも姉にばれて面倒くさい思いをしたり、助けられたり、兄弟姉妹は家族の中でも少し特別感があると思える。
    3人姉妹が可愛くて楽しそうで羨ましくなった。

  • 上から亜矢、真矢、水絵の三姉妹のお話。こういった日常ものって割と好きで、本作もよかったのだが、後半、水絵とその彼氏である右京くんとのお話に集約してしまい、やや残念。頼りない右京くんと、フリーターでこれまた頼りない水絵との関係のほうが作者は面白く感じたのだろうか。

  • 右京くんが憎くて憎めなくて肝。

  • スラスラ読めてさらさら過ぎ去る
    タイミングの見極め方

  • 仲があんまよろしくない3姉妹ものってあんま読まないな~~~

  • 本全部が「三人姉妹」をテーマに書かれたものと思って読んでいて、それにしては一人ずつに際立った個性があるわけではなく、末っ子の恋愛うじうじ話ばっかりだなあ…
    と。
    読み終わってやっと気付いた。
    短編集によくあるように、収録作品の中のタイトルの一つが、本のタイトルになっていたのでした。
    ぜんぶ水絵の話で、水絵は三人姉妹なわけだから、勝手に感違いしていました。

    家庭に大きな事件や秘密があるわけではなく、末娘の水絵が、フリーターしながら学生時代からの仲間と自主制作映画の製作にはげみ、
    こちらから告って付き合い始めた男の子のことを、『本当は惰性で付き合ってるんじゃないか』『私のこと、本当は好きじゃないんじゃないか』
    『このままフリーター続けたら、家族の当たりがキツくなるんじゃないか』
    などと、延々と、淡々と考えつづけるお話だ。
    お、これから面白くなりそう!(ヒロインの水絵的に)
    と思ったところで終わってしまった。

    しかし…
    面白くなってしまっては、この本的にはまずいのかもしれない。
    なにも成し遂げなかった、何も残らなかった日々だからこそ、後で振り返ったらキラキラして見えるんじゃないか、びびちゃんが、そんなことを言っていた。
    形のあるものを残してしまうと、あとでそれを見て、「つまらない」と感じておしまい、と。
    あ、目からウロコかも。
    何も残っていなかったら、美化することも可能なんだな…
    美化する云々は、私が勝手に思ったことですが…

    とにかく、末娘水絵の、何も残さずに消えて行った若い日々…それを描くのがこの本なのだ。多分。
    残らないものこそが美しい、というのが大島さんの考え方なのだろうか。
    『空に牡丹』も思いだす。

    しかし、無個性とも言える三姉妹だった。
    読み始める前にタイトルから想像をたくましくした、姉妹同士のドロドロな葛藤は無かった。
    (変な妄想して申し訳ない)
    びびちゃんの方が印象的だし、長女の嫁ぎ先の小姑・雪子さんはかなりキョーレツだ。
    そして、男性陣の方が生き生きと描かれ、リアルで「あるある」な感じもした。

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著者プロフィール

1962年名古屋市生まれ。92年「春の手品師」で文学界新人賞を受賞し同年『宙の家』で単行本デビュー。『三人姉妹』は2009年上半期本の雑誌ベスト2、2011年10月より『ビターシュガー』がNHKにて連続ドラマ化、2012年『ピエタ』で本屋大賞第3位。主な著作に『水の繭』『チョコリエッタ』『やがて目覚めない朝が来る』『戦友の恋』『空に牡丹』『ツタよ、ツタ』など。2019年『妹背山婦女庭 魂結び』で直木賞を受賞。

「2021年 『モモコとうさぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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