聖痕

著者 :
  • 新潮社
3.60
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本棚登録 : 428
感想 : 64
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103145301

感想・レビュー・書評

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  • 古語、会話文を地の文と同化させる等々の文体、そして何より、主人公の美しさに驚嘆させられた。
    いやはや、すごい小説だった。

    ただ、わざわざ震災を絡める意図が見抜けなかった。

  • 基本的に読書をする際なるべくわからなかった単語があればメモを取りながら読むようにしているため、この作品の場合左についている注をほぼ全て書き写す羽目になり、(めんどくさくて)読むのに何ヶ月もかかってしまった。
    その作業に気をとられていたというのもあるだろうけど、話、つまんなくない?
    ペニスを切り落とされた青年が主人公とあって、話がどう転がっていくのかと思ったけれど、途中からその設定を忘れてしまうほど普通の小説になっている気がする。
    注を気にせずさらっと読み流せばまた印象が違うのかもしれない。

  • 買ったはいいが、どこかに往ってしまってようやく読むことが出来た。
    類まれなる美少年だが、幼少時変質者に性器を切り取られてしまい、リビドーを生涯持たない男として歩む半生を書いた本。裕福な家庭に生まれ、恐ろしいくらいに美しく、しかも東大に進む彼。全女性からの憧れを受けるも、女に全く興味なく、興味は美食。そんな男が青年から社会人になり、なんと結婚し、果ては子供まで・・・。そんな人生記は読んでみたいでしょう、まして筒井が書いたとなれば。たくさんある脚注も面白い。

  • すごくへんな話だった

  • 1973年、葉月貴夫は5歳にして性器を切り取られた。しかしなお美しく健やかに成長した貴夫は、周囲の人びとのさまざまな欲望を惹き起こしていく―。彼は、果たして我らの煩脳を救済し給うのか?巨匠筒井康隆が、古今のありとある日本語の贅と、頽廃的なまでの小説的技術の粋を尽して、現代を語り、未来を断固予言する、数奇極まる“聖人伝”

  • 齢80になる大御所の最新作であるが、その作風は実に瑞々しい、やけに古色めいた文体は後半になるにつれ興が乗ってきたのか甚だしくなるが、ストーリーの展開を妨げる物でもなく、一昔前の文学を読んでいる気にさせるが、内容は現在に至るまでの話である。5歳で生殖器を失った主人公ではあるが、以後の人生は順風満帆であり、わざわざこんな人生を物語にする必要があるのかとも思ったが、スケープゴートが失くした生殖器だったなんて、まるで星新一のショートショートの落ちではないか、さすがはSF小説家である。

  • 面白かった。

    けど、東北の方の震災に引っ張られるラストはどうなんやろ。

  • ナニがないだけで欲望と言うものがなくなるのか。静かな気持ちで生きていけるのかな。

  • あまりの美貌ゆえに、変質者に幼少期に性器を切り取られるという猟奇的事件に巻き込まれた主人公の生涯が描かれた作品です。
    切り取られたおかげで肉欲どころか、一切の世俗的な欲望とも無縁で生き、唯一執着するのは美食のみという主人公に老若男女惹きつけられていくのですが、私自身は高貴で聖人のような彼に魅力は感じなかったかな。犯人のことも赦しちゃうのだからオドロキですよ。
    それに、私の読解力がないせいなんですけど、いつまで経っても主題が見えない・・・(最後まで読むと言いたいことは分かるのですが)どこに向かって著者が何を書きたいのかがずっとわからず、消化不良でイマイチのめり込めませんでした。

    大御所の新刊ということで、それだけでありがたがられてる印象アリ、個人的にはあの古語表現や枕詞の多用はうっとおしかったです。

  • あまりの美貌に、幼年期に局部を変質者に切り取られてしまった主人公の物語。

    リビドーを持たず生きるということ。

    古語をたくさんちりばめていて(左のページに注釈をつけている)
    一見、古文のようなんだけど、
    意外と注釈を追わなくてもなんとなく通じる、日本語のすごさ。

    筒井文章の快感。

    中庸の作家が描くと、陳腐になってしまう美の描写も、
    さすが筒井康隆。
    映像化不可能と思われるほどの神々しい美。

    なにかおそろしいことが起こるのではないかと、
    若干期待もあったかもしれないが、
    主人公の悟りきったラストに、
    これはある意味、感情障害なのかも?と思ったり。

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著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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