- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103145325
作品紹介・あらすじ
著者自ら「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長篇」と宣言する究極の小説、ついに刊行! 河川敷で発見された片腕はバラバラ事件の発端と思われた。美貌の警部、不穏なベーカリー、老教授の奇矯な振舞い、錯綜する捜査……。だが、事件はあらゆる予見を越え、やがてGODが人類と世界の秘密を語り始める――。巨匠が小説的技倆と哲学的思索の全てを注ぎ込んだ超弩級小説。
感想・レビュー・書評
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※だいぶ辛口の感想ですので、本書未読の方や本書を好きな方はスルーお願いします、、、
う〜ん、、、一応読みきりはしたものの、途中だいぶ読み飛ばしました、、、
ミステリーっぽい入り口で、これはどんな事件でどんな謎が隠されているんだろう?とわくわくしていたら、あれよあれよとそこから離れ、神みたいな存在が出てきて語りまくり行動しまくり…
う〜ん、、、
だんだんミステリーの雲行きが怪しくなってきたな…とおもったら案の定、事件の真相は科学の世界では到底たどりつけない理由で決着がつきました。
でもそれは、小説という世界ではインパクトはあると同時に禁じ手に近いものになるので、しかもそれを何度も出されると予測もつくし飽きもくるのが正直なところです。
戦争に関する“神”の考え方にも、違和感がありました。
それは、作中の彼は“神”であり、読み手のわたしは人間であるという違いもあるでしょうが、しかし作中の“神”の言い分をそのまま肯定することは、平和な世の中を切に願うわたしという人間そのものを否定することになるもおもいました。
筒井さんの小説は文字が消えていく世界をえがいた実験的小説「口紅に残像を」や、テレパスの七瀬を主人公にした三部作しかまだ読んたことがありません。
七瀬シリーズ最終巻「エディプスの恋人」を読んでから本書を手に取ったのでなければ、本書は読みきれなかったとおもいます。(「エディプスの恋人」の結末も、本作と似たような系統にある)
少なくとも科学的な理屈の通るミステリーを読みたいとおもわれた方は、序章ですぐ引き返すことを強くオススメします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これが筒井御大よね〜〜と納得はするが、冒頭のバラバラ死体の描写で「お!ミステリか?!」と期待させられた読者としては、噴飯物のような壁本のような。御大、最近哲学志向だね???
ミステリスキーは読んじゃダメ、絶対。笑笑 -
久しぶりの筒井康隆。
相変わらず難解かつ、メタだけど、読んでて楽しい! -
大巨匠の長編。一時はもう読めないと思ってた。
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2時間程度で読了。
読みやすかった。
ミステリーかと思って読み進めてみたら、自分と思ってる方向性ではないミステリーの世界へ連れて行かれた。 -
独特の世界観。
教養俗物の香り少々。 -
バラバラ殺人事件かと思いきや、GODが出てきて、このフィクションは可能世界で、それを読んでる読者の世界も可能世界だと言い出す。
登場人物のセリフが妙に長ったらしいのが面白い。
それにしてもこの作家さん、1933年生まれだから執筆当時82歳か。すごいバイタリティーだ。
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GOD
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メタSFであり、諸哲学理論によって裏打ちされた筆者の宇宙観や「神」観を提示する作品。
GODが人々の疑問に無機質に答えていく様子には何故か爽快感を感じる。
一方で途中からGODではなく筒井康隆が話しているかのような錯覚を覚え、ニヤリとしてしまう。
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筒井康隆だから出版できた本。
無名の作家が同じものを書いても、夜に出すことはできなかったのではと思う。
冒頭数ページを読んで、刑事物かと思い読み始めた予想を裏切られる。
作品の大部分を占める答弁はほとんど理解できなかったので、評価はせず。 -
武蔵野大学図書館OPACへ ⇒ https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000140373
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若い女性の片腕が発見された。
おっ、これはミステリー仕立てなのか。
パン屋で臨時アルバイトの美大生がリアルな片腕のバゲットを作り、それが売れに売れる。
ここまではなんだなんだと引っ張られる。
美大の結野教授が公園で当てものの様々なパフォーマンスを繰り広げ、人々は神様だと驚嘆する。
この辺りで期待は持ち続けながらも、やや退屈になってきた。
傷害罪という名目で法廷に引っ張り出された結野教授は、自分はこの者の体を借りているだけで結野教授そのものではないので名前はない、「偏在」であり、人間が作った神の概念以上の存在だが、敢えずGODとでも呼んでもらおうと言う。
マスコミの話題となり、GODはテレビでのスペシャル番組に出演し、参加者への一問一答という形式を使い、古今東西の哲学、論理学、数学、物理学の概念を断片的に引用して宇宙論を展開する。
これは、なあ、とうんざりしつつも、筒井康隆のことだ、何とか落とし前を付けてくれるのだろうと最後まで頑張って読んだのだが、微かな期待は裏切られ、エンディングはぼくにとってはチンケなものだった。
それまでに披露されてきた哲学等々の「智慧」の大半を理解できなかったぼくの資質の底の浅さによるものなんだろうけど、「筒井宇宙論」を披露するのに物語の形式が適していたのかどうか。
「文学部唯野教授 Part2」形式にして頂ければ、もちっとありがたがって読めただろうに。 -
筒井康隆 「 モナドの領域 」
神との対話をテーマとした哲学パロディ本。モナドの領域とは 神がプログラムした決定済の未来といったところ、神の話の前提となる。神と人間の関係は ライプニッツの可能世界論を用いている
ライプニッツの可能世界論
*神は無数の可能世界を創った
*現実世界は 無数の可能世界の一つ
*現実世界は 最善
隣接する可能世界との破られた接点を縫合する
GODの存在理由は 愛するため。創ったもの全てを愛する
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めちゃめちゃSF
長いセリフは読み飛ばした -
遺棄された右腕に群がる捜査員の情景から始まり、ベーカリーで焼かれた腕を模したパン…普通のミステリ?と思いきや…。そうだった、これは筒井さんじゃないか。「普通」じゃないよね。難しい哲学的理論も言葉遊びのようなところもきちんとついていった気がしていたのですが、読み終わってみると実はよくわかっていないかも。でも煙に巻くような最後の紙の束のところなんてすごく好きです。作品の総まとめ的な気持ちで書かれたであろうこともちゃんと伝わってきました。人によりダメな人もいるかもしれませんが、私はまたゆっくり読み返したいです。
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一度読んだはずだとは思うが、なぜか急に再読したくなった。
天才・筒井氏の「最高・最後の長編」。
やはり面白い。
一部内容が複雑すぎで難しいシーンもあるが、
それを乗り越えたら出てくる「あの一言」で一気にヤラれてしまう。
やはり筒井氏の「メタ」は別格に上手い。流石です。
自分の筒井氏ベスト3に入った。
(『家族八景』『残像に口紅を』そしてこれ『モナドの領域』)