- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103150312
感想・レビュー・書評
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以前に読んだ短編集『とりつくしま』で、独特の世界観があることは分かっていましたが、中編の本作では世界観の揺らぎが(私にとっては)大きすぎて、受け止めきれませんでした。夢幻と現実の境目を軽々と行ったり来たりしているようで、どちらにも気持ちを寄せきれないというか… 特にきっとこの小説の一番エキサイティングな場面であるラストが謎のままです。面白かったんですけど、難しかった。
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現実なのか幻想なのか妄想なのか不思議な世界。
歌人らしく美しい言葉と表現でつづられている。
生まれること生きること、そこに存在することを考えては迷うひとの人生についてゆらゆらと描かれる。
とらえどころの無い不思議な話なのだけど、心の奥に響いていてなんと言えないもの悲しい読後感にみまわれる。 -
おもしろかった。ちょっとドキドキしながら読み進んでいきました。不思議な世界に迷い込んだような、生と死の間のような…タバサには得体のしれない怖さがあるけど魅力的な人物だと思いました。久々にヒット♪
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きた。
この、沼にずぶずぶと沈んでいるかのような感覚。
迷い始めたことを薄々感じてるのに抜け出せない状況。
人間の意志すら、「生命」の営みに組み込まれた自由でないもの、なんじゃないかと思わせられる。
ラストだけ、え、そんな、が拭えないけど、世界観に魅了された。なんだか少し こ、わいのだけど。 -
過去から眼をそむけて生きる人の、行き着く先はここなのかもしれない。
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ふわり、ぞくり。
しん、としている。
不思議。
世界観が好き。
途中川上弘美・小川洋子の文章の感じと似てるって思ったけど、最後にぽーんと放り投げられるところはまた違う感じ。 -
ひさびさにヒットでした。
めいろに迷い込むような感覚で読み終わりました。
引き込まれたーという感じです。
実は、これほどおもしろいと思わせたこの本は、1回目、2回目、読んでも読んでもわけがわからず、読み終わっても困り果ててたのでした。
自分てどうしようもないなと諦めかけて、3回目でようやくはいっていけたのです。
人は訳がわからなくなると、こんなにも迷い込むものなんだと思いました。
ストーリーとは関係なく、そう思いました。
わけがわからないながらに、なんとか理解しようと努めるものなんですね。 -
少し風変わりな街のただ一軒ある薬屋に流れ着いた女。
抑制された生活の中でふとよぎる記憶。
すべてを捨てて何も望まず、ただ生きている。
新たに宿るいのち。
また色づくかと思われた人生。
ラスト、どうゆうことなんだろう。
浮遊感、不安感、絶望、希望、幸福感など全部、「今」は必ず過ぎ去ってしまう、ということ。
マサヤさんと同じ。
というか、そうなってしまうということ?
読後、冒頭の文をまた読み返す。 -
とても不思議な雰囲気のお話。
謎も解けるか…と思ったら謎のままだし。
でも心地よい言葉と作者の世界にひたれていい感じ。 -
ひとりの子を亡くし、ひとりの子を置き去りにした女、山崎由実。自分の存在を消そうとしてたどり着いた薬屋タバサ。タバサの薬、訪れる客、タバサの母ルリとマサヤさん。不思議に満ちてます・・。これって恋愛小説なのでしょうか?(帯に魔術的な恋愛小説と書いてあった)あと、最後がよく分からず消化不良・・。しかし全体的な雰囲気はかなり好き。「とりつくしま」の独特の言葉遣いと、ぞくっとさせられるタバサの儀式。「せんないことですよ。そこにいればよろしいでしょう。」