ひっ

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著者 : 戌井昭人
  • 新潮社 (2012年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103178224

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ひっの感想・レビュー・書評

  • 芥川賞候補に3度くらいなっている作家戌井昭人氏が2012年に発表した作品「ひっ」を読了。

     暑さ故に軽い作品をと思いページ数の少ない本作品を選んだのだがページ数は少ないが以外にどぎつい物語だった。自由にに生きる男の徹底的なテキトー具合を読者に突きつけてくるのでそこのところを受け入れられるかどうかで楽しめるかどうかが決まる本だろう。

     タイトルの「ひっ」は彼の叔父のひっさんからとったものだ。叔父は親戚の中では突出した自由人だった男でやくざの見習いから、クラブのボーイ、クラブでひょっとしたことから作曲家へなり財をなすが何を思ったか最後には三浦半島の奥地で隠遁生活を始めてしまう。

     主人公はそんな自由人の叔父のギターを売りさばいたあぶく銭でアジア各地を放浪し、お金が尽き帰ってきたら叔父は既にあの世に行っていたが、叔父と近しい人たちとのドタバタが待っていたいうのが大筋だ。叔父の適当人生をなぞりながらも自分も徹底的に不埒な生活を続けていく主人公の様子に笑いを誘われつつあきれてもしまうのだが、テンポの良い文章に助けられ読み進めてしまったというのが正直なところだ。

     主人公のように自由に生きるのは実は難しい。今の歳になってもなかなか自由になれない自分と比較してこの主人公や叔父の生き方はとてもとても羨ましくもあるのだがその領域に足を踏み込める日々は残念ながらすぐには来そうにもない。いや来ないかもしれない。

     読後には数年後にやってくるだろう引退の日々の過ごし方を考えてしまった。もっと考えなきゃなあ。

     そんな人の生き死に、自由と自堕落、仲間との時間といったものを考えさせてくれるハチャメチャ小説を読むBGMとして選んだのはBill Evansの"How my heart sings"。
    https://www.youtube.com/watch?v=3ButnM9OsyM
    たまに引っ張りだして聞いてしまうアルバムだ。”Moon Beams”より甘くなくていい。

  • 「テキトーに生きろ」という破天荒な伯父の教えを受けた俺は家庭内乞食に墜ち、人生どん詰まりに…。自由と自堕落、人の生き死にをとことん描く、天衣無縫の長篇小説。

    12年上期芥川賞候補作。「すっぽん心中」と同じくどうしようもなく情けない男が主人公。それなのに物語のテンポの良さに惹かれてつい読み進めてしまう。不思議な作品。
    (B)

  • 格言めいたことを言ってるけどわけわかんない
    ひっさんや気球さんたち。
    戌井さんの書く人物の魅力。
    苦しい時は清く真直ぐな人から正しい言葉をかけられても
    何も響いてこなくて、
    彼らのようなテキトーさの方がグッときたりする。
    (ト)

  •  初めて著者の小説を読んだが、なんかインスパイアドバイ町田康みたいな感じで、もう日本のスモールな世界だけでしか通用しないダメ男の物語なんかうんざりだな、という気がした。

  • 鉄割アルバトロスケットのアクトを2006年くらいに何度か観てすごくおもしろかったけどそれっきりで、気がついたら戌井さんが3度も芥川賞候補になっていたと知り特に期待もせずに読んでみた。テンポはいいしさらっと進むけどフックも多くてドキドキしながらあっというまに読了。某バンドから名付けたであろう「むらむら帝国」など声を出して爆笑する箇所が何度もあり。

  • 感性の干からびを恐れるあまり遊びまわる作曲家のひっさん。波乱万丈、波ありすぎの人生が矢鱈めったらおかしい。「毎日しめじ食ってたらポロンとちんぼこが落ちて、代わりにしめじが生えてくるんじゃねえのか」 野卑で下世話なかけあいも他者を思いやる愛情に満ちており、思わず泣き笑いを誘う。人間も小さくなったり大きくなったり萎んだり万物は常に変化し続ける。ミミズでさえ常に前進し時はテレポートさえする。何だか何故か積極前向きになれる不思議なテイストがある。

  • よく分からない叔父がテキトーに生き、なんか成功し、よく分からない男に刺されて引退し、よく分からないまま隠居生活に。
    甥がよく分からないままギターを売ってそのまま海外に旅に出て、1年後なんとなく帰ってきたら叔父が死んでいた。
    そのまま遺品整理を叔父の友人たちとし、よく分からない裸の気球おじさんと会い、よく分からないまま終わった。
    -なんとなく引きこまれて読み終わったけど、なぜか芥川賞候補の作品らしい。読み終わってから気づいた。
    こういうのは意味不明さと性がなければいけないんだろうか。偉い人や文豪の考える事はよく分からない。
    ところどころ聞き覚えのある登場人物がいるのは気のせいだろうか。

  • モラトリアム期間のダメな若者が適当に金作って旅して働く気になるまでみたいな超ありきたりな小説なんだけど、こういうのってなんで何作読んでも飽きが来ないんだろう。
    堕落はバラエティ豊富。

  • 作曲家などの仕事で成功したひっさんの甥っ子である私が、突然亡くなったひっさんの遺品を整理するため庭に穴を掘っている.そこからひっさんのことや私がひっさんのギターを売り払った金でインドを放浪したことなどが出てくる.ひっさんの友達で近くの洞窟に裸で住んでいる気球さんの登場が面白い.芥川賞の候補作の由だが、?という感じだ.

  • 穴に落ちるシーンが印象深い。遺品を燃やした温かな灰に、穴の中で包まれる情景がとても優しいものを感じさせる。亡くなったひっさんの優しさに包まれるようで。
    全体的にあっさりしてる。純文にしては軽い。

  • そそられるタイトルだったので
    読んでみたいナーと思っていたら図書館で遭遇

    なんかぽわぽわした話だった
    装丁もタイトルも「もしやちょっとコワイ話?」と思わせるけど
    にくめないお話だった

    いつか機会があったら
    違うのも読んでみようかなと思ったので
    星は3つにしておく

  • 「ひっさん」と呼ばれる叔父と甥の物語。全く以てあきません。やっぱ芥川賞の候補に選ばれるような文芸作品はわけわかりません。ついでに、何故これを読もうと思ったのか、俺の心理もわかりません。

  • 芥川賞候補の常連になりつつある戌井さん。
    自分の好きな候補作常連作家さんは、結局受賞しないのだが、戌井さんはどうであろうか。
    まあ面白けりゃなんだっていいか。

  • 芥川賞候補になった作品。
    感想としては、すっごくファンになる、という訳ではなかったけれど、文学は時代を反映しているというのを改めて感じました。
    ひっさんの、テキトーに生きるっていう言葉なんかは正に。

  • 駄目な大人の話だなあ。でも面白い。
    特に、主人公のおじさん、表題にもなっている「ひっさん」がいいなあ。漫画みたいな半生。言っていることが格好いいんだけど、よく考えると意味がわかんない。「お前のは、テキトーが死んでる」とか。意味がわからないけれど名言だなあ。

    大筋はひっさんの死後遺品を整理しながら半生を振り返り、近所の人たちと故人を偲ぶ、という筋の話だけれど、全編がなんだかあっさりしている。やろうと思えばいくらでも湿っぽく泥臭くできそうなのに、この乾き具合というか、あっさり感がじめじめしてなくて面白い。特にとぼけたかんじの会話が秀逸で、映画にしてもきっと魅力的なのだろうと思う。

  • つまらない話だな。これが純文学というもので、2012年第147回の芥川賞候補だったのか。。。

  • 戌井さんお得意の、駄目な男の話。

    いつも戌井さんのものを読んで素晴らしいと思うのは、
    その読後感の爽やかさ。

    例えば西村賢太の私小説のような読後の胃酸が逆流する感じや、
    酒を飲みたくなったりつらくなることがない。

    戌井さんの書かれる小説は、純文学でもありながら、
    エンタメでもあるような気がする。
    こんなに軽快な純文を、私は知らない。

    所々に鏤められた、小さくシュールな笑いも好き。
    ひっさんの作曲した楽曲のタイトル羅列のところなど。

    ひっさんのように、きちんとテキトーを生きるのは
    私には理想的でありながらとっても難しい。
    テキトーを貫くのも。
    それに、ひっさんは「俺」のいうように、
    やっぱり寂しい人でもあったとおもう。

    これだけ高い知能を持ってしまった人間って、
    何なんだろうか。
    生きるのに苦労している人がたくさん。
    たくさんの動植物の犠牲を強いて。

  • むちゃくちゃな人生を生きて、ぶどう棚の下でギターを抱えて亡くなった叔父の「ひっさん」の遺品を整理するために、相模湾に面した田舎の一軒家にやってきた、これまたむちゃくちゃでしょうもない人生を生きている男が、ひっさんのことを思い返しながら自分の人生について(ぜんぜんまじめじゃなく)考える物語だ。
    なんともゆるくて皮肉な感じの物語なのだけれど、主人公のだらだらした生き方を「テキトーに生きているのではなくてテキトーに死んでいる」と言い切ったひっさんの言葉はなかなか胸に落ちるものがあるな、と思う。
    むちゃくちゃをやる勇気も度胸も根性もないけれど、全力でテキトーに生きてみたら楽しいだろうな。

  • 初・戌井昭人さん。

    ひっさんと甥っ子、元プロレスラーのウマちゃん、下野さん、アナンちゃん。

    おもろい本に立て続けに出会えて幸せだ。

    普通に暮らしていると、全然耳にしないような感じなのにリアルなんだよなー。
    面白かったなー。

    で、母ちゃんがカッコいいよなー。
    あたしは心配性でダメだから。

  • なるほどこの前の情熱大陸はこの本のプロモーションだったのか。今回はかなりエロい表現多いですが、やはりおもしろい。でもこの人が芥川賞候補っていうのがどうもピンとこない。
    テキトーに生きろは、なんとなくとも、いいかげんにとも違うんだよ。

  • 情熱大陸に触発されて読了。芥川賞候補作。「お前のは、テキトーが死んでる」ってささる。表面上はあいもかわらずテキトーに見えるけど、何か触発されたかのようにとにかく動く。動き続けることで、何かが変わる。

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ひっの作品紹介

ヤクザの見習い、フィリピン逃亡、クラブのボーイ、売れっ子作曲家を経て、半島でひとり隠棲する伯父の「ひっさん」は、身内で唯一の大人の男だった。おれは社会に出たものの、万年正月のような家庭内乞食に墜ち、あぶく銭を手に入れ、インドネパールを彷徨う。が、悟りも開けず帰国したら…。自由と自堕落、人の生き死にをとことん描く、天衣無縫の傑作長篇。

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