すっぽん心中

著者 :
  • 新潮社
3.60
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本棚登録 : 217
感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103178231

作品紹介・あらすじ

首のまわらなくなった男と男運の悪い娘、その道行き。おかしさと哀愁は他の追随を許さない芥川賞候補作。変化を求めず、目の前で起こることをやり過ごすのが人生だと思っていた休職中の田野と痛い目に遭いつづけながら、あっけらかんとしているモモ。不忍池で出会った二人は霞ヶ浦にむかう(「すっぽん心中」)。スイッチの入った男の狂騒と暴走(「植木鉢」)、屋上の狂人のバトルと本心(「鳩居野郎」)の三本立てで贈る現代の小説。

感想・レビュー・書評

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  • 不思議で不気味な物語。
    発想力が芸術的。

  • 場面を想像すると嫌な感じがジワリとするんだけれど、不思議と読み進んでしまう(^^;そして読み終えると、それぞれの話のアホさが笑える(^o^;)

  • 3つの短編。

    事故で仕事を休んでいる時に出会った若い女のモモ。
    すっぽんを売って一儲けしようと、霞ヶ浦まで行って捕獲する過程で殺してしまったすっぽんの末路。

    実家の近所で起きた殺人事件に異様に反応し、妻と子供と車で実家に向かうまでの奇行と、翌日朝食を食べながらテレビで見た呆気に取られた犯人逮捕の報道。

    鳩がなによりも嫌いだったというのに、仕事が軌道に乗るまでビルの屋上に住まわせてもらうことになり
    よりによって鳩によって狂人扱いされる寸前での商売初め。

    すっぽん!

  • 軽快なタッチで一気に、面白く読めた。

  • 今年の芥川賞候補作品。

    ・すっぽん心中
    ・植木鉢
    ・鳩居野郎

    事故の後遺症に悩む青年と男運のない少女が霞ヶ浦にすっぽんを取りにいく「すっぽん心中」。理不尽な世の中の流れに逆らえない人たちの哀愁が漂う。

    他、自由奔放な夫に振り回される妻、鳩嫌いな男の悲劇など。

    文学は難しい。

  • 表題を含む3作の短編。
    タイトルからして面白い。いずれも、ありがちな日常の中に潜む人間の狂気や勝手な勘違いみたいなものを描いているが、暗さはなく、むしろあっけらかんとした印象になる。早い人なら1時間で読み終えれるくらいの手軽さ。

  • 奇妙な本だった。
    題材もすっぽんやら鳩やら、なんだか少し変で、不穏な感じ。

    そして、それらに対して何か少しだけネジが狂うというか、なにかのタイミングが妙なためなのか、人が少しだけ狂気に踏み込む感じ。

    うわー、これ、私に起きてもおかしくない。
    端から見てると変だけど。

    だけどやっぱり、ちょっとおかしみを誘うのだ。

    私に起こってもおかしくないけど、でもやっぱり起こらないかな。

  • 戌井昭人氏の「すっぽん心中」を読了。軽い内容の短編が収められているだけなのであっという間に読み終わってしまった。

    戌井昭人氏の著作は人を食ったというか、いい加減というか文章に何と言いたらよいのかわからないが不思議な魅力がある。だが書かれている物語自体が本当にくだらなく人にはお勧めできない内容でありその筋も面白いと言ったらよいのかどうかわからなくなる不思議な本が彼の作品には多い。

     いあままで著者の本をどれくらい読んだのか電子書棚を確認してみたらいあままでなんと「ぴんぞろ」「どろにやいと」「まずいスープ」「ひっ」と
    4冊も読んでいることが判明。なぜそんなにかと考えてみたが彼が5回も芥川賞候補になり5回落選しているからだということに気づいた。

     やはり各賞の選者が注目している作品として、各賞の候補作品はなるべく手に入れるようにして読んできたので、彼は5回も芥川賞の候補になっているのでしかるに4冊も読んでしまったわけだ。

     彼の作品の魅力は読んだ後の脱力感だ。ちょっと小ばかにされたような気がしながらも読み終えるとか肩に力が抜けていてリラックスしている自分に気づくというのが彼の作品がもたらしてくれる変な作用である。

     なぜちょっと過激で、かなり馬鹿馬鹿しく、でも読後の脱力感をもたらしてくれる作風なのかをちょっと考えてみたがたぶんに彼が下北沢のスズナリ劇場などで公演しているパフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」の劇作家でもあるからではないかという結論に至った。小劇場の不思議な空間での時間で観客を魅了するものを考えて言葉を踏むぐ努力をしていくうちに自然と身についた彼独自のコミュニケーションのとり方なのだろう。ということで、ちょといろいろ考えすぎて、軽い本を読んで笑いたいお思っている人には結構おすすめです。お堅い方はやめたほうがよいかと。

     そんな僕の大好きな役者山田孝之主演でショートムービーをとってほしくなるような笑い話を集めた作品を読むBGMに選んだのがJimmy Smithの”Christmas cookin’"。力の入ってない脱力感あふれるクリスマスアルバムです。https://www.youtube.com/watch?v=IPT-XW7CDtg

  • 2017/02/03

  • 変化を求めず、目の前のことをやり過ごしてきた田野と、痛い目に遭いつづけながらあっけらかんとしたモモ。不忍池で出会ったふたりは上野から霞ケ浦をめざす…。表題作をはじめ、全3編を収録。。

    脱力感…とも違うような、なんとも言えない読後感が残る独特な味わいの作品集。表題作は13年上期芥川賞候補作。「これは純文学だ!」と思って調べてみたら、確かに2009~14年で5回も芥川賞の候補となっていた。作者は劇作家でもあるらしい。「なるほどあのテンポは…」と納得。
    (B)

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著者プロフィール

1971年東京都生まれ。劇作家・小説家。97年「鉄割アルバトロスケット」を旗揚げ。2009年小説『まずいスープ』で第141回芥川龍之介賞候補、14年『すっぽん心中』で第40回川端康成文学賞受賞、16年『のろい男 俳優・亀岡拓次』で第38回野間文芸新人賞受賞。

「2022年 『沓が行く。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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