月桃夜

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著者 : 遠田潤子
  • 新潮社 (2009年11月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103198314

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月桃夜の感想・レビュー・書評

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  • 戦後、1953年まで奄美大島はアメリカだった。
    このことはほとんどの人が知らない。
    戦後ですらそうなのだから、近世の奄美の歴史なんてなおさら。

    薩摩藩の支配下の元、ヤンチュという債務奴隷によって砂糖黍は作られ、
    黒砂糖は、薩摩藩の財源となり、江戸幕府が恐れるまでの力を持った。
    島のヤンチュたちの生活は悲惨で、毒のあるソテツの実を食べなければならないほど。

    と知識として知っていた奄美の歴史が、物語として動きだす。
    はじまりは、現代の奄美の海。
    漂うカヤックの上、世界の終わりを待つ鷲が、死にかけた茉莉香に200年前の島の兄妹の話を語る。

    血の繋がらない兄妹の悲しい恋愛、とありがちな物語だが、「言葉」に囚われる山の神や兄・フェイクサの夢中になる「碁」、妹・サネンの憧れる奄美の女性の刺青(針突:ハヅキ)という小道具で飽きさせない。
    とっちらかりそうになりながらきれいにまとまる。

    ヤンチュの女ミヤソが七夕夜、短冊に願いごとを書いてもらおうとして、
    「…どうしよう、願いごとなんて、なんにも思いつかないよ」と言い、その夜、天の川の下で首を吊る場面の切なさ。

    自分のルーツである奄美大島の物語を読めたのは嬉しい。

  • 【第21回ファンタジーノベル大賞】
     内容は、どちらかというと暗くて重いのだけど、読後はなぜか清々しい。なんだろう。自分でもその源がわかりません。
     好きな作家さんが増えそうな予感。
     21回の大賞をダブル受賞した『増大派に告ぐ』をゴールデンウィークで読む予定。

  • 不思議な本でした

    生まれは選ぶことができない
    運命に流される・受け入れる

    シマンチュ・ヤマトンチュ
    奄美・薩摩
    藩・幕府

    搾取する者されるもの

    考えるとうんざりする

    どこかに頼らないと生きていくのは難しい
    あこがれだけで生きていくのは難しい

    でもどんな状況でも人はなにか希望を見つけて生きている

    岩樽という人が最後に魅力的に描かれていたのが印象的

  • 2017/5/24

  • 「雪の鉄樹」で圧倒的な筆力に引き込まれた遠田さんのデビュー作。
    日本ファンタジーノベル大賞を受賞した作品なので、鷹が喋るとか、山の神様が登場したり、幽霊が出てきたりとファンタジー要素がふんだん。
    だけど、ファンタジー苦手の私でも、思ったほどそこは気にならなかった。
    ただ、どうしても主人公のフィエクサにもカヌーで漂流する少女に対して全くといっていいほど寄り添えなかった。
    妹のサネンは健気でかわいかったが、フィエクサの妹への愛が、どうしても自分勝手な感情にしか思えなくて、もう、サネンの幸せを邪魔しているようにしか見えなかったから・・・
    サネンを気に入った薩摩から来たお役人、正木様がとてもいい人で、そちらに感情移入してしまってもう後半はフィエクサが鬱陶しくてならなかった。
    自己弁護と、自己憐憫・・・結果、みんなを不幸にしたフィエクサ・・・
    あ~こんな読み方しちゃいけないんだろうな~と思いながら、兄妹の禁断の恋に胸を痛めることもなく、「ハン?」といった感じで読了。

  • さすが、ファンタジーノベル大賞。
    重いし残酷だけど、光の射す方向が確かにあることも
    (全編を通して)不思議と感じながら読み進んだ。

    そして、全然知らなかった奄美の歴史。。。

  • あああ

  • 薩摩藩から徹底的に圧政をしかれる奄美大島の砂糖きび労働者、死を求めてシーカヤックで奄美の海をさまよう若い女性。200年前と現在の奄美を舞台に、兄と妹の哀しい物語が繰り広げられる。

    俺は女兄弟おらんのだけど、妹に懸想するってのはちょっと考えられない。でもまぁないわけでもないんだろうなぁ。ついこないだまでオカマだのレズだのと差別してきたジェンダーフリーも、今は恋愛の形として受け入れられつつあるわけで、近い将来タブーとされてきた近親愛もオープンになってくるのかなぁと思ったり。

    これほど自然かつ濃密に神や精霊が登場する小説ってのも珍しい。山には山の神様がいるんだろうなぁ、現代でもそういう神様はきっといる。俺も趣味で山に入るわけだけど、そういう神精霊方への敬意とか畏れってのは忘れずに持っておきたいと思う。

    哀しいけど美しい物語である。

  • 昔話の神様というのは、もっと悪い人いっぱいいるのに、何故に信心深い善人に厳しいのか。それが現実って事なのか。
    てかこの倒錯した感じとか、あれ、もしかして自分、ナルシストかな?酔いすぎかな?って思うような人にもしかしてあってるのかな?なーんて思いつつも、いや、いいさ、男はいつもロマンチストなのだ、と無理やり自分を納得させて、結局のところ、好き。

  • 人を愛おしいと思う気持ちが痛いほど伝わってくる、素晴らしい本だった。
    この人のためなら自分はどうなったっていいと思える相手がいるのは、幸せな事だと思う。一生のうちに数え切れないほどの人と出逢っても、そう思える相手はきっとごく僅か。今自分が頭に思い浮かべている人達に出逢えていなかったらと想像すると、どうしようもなく悲しくて耐えられないほど辛い。
    そういう気持ちを改めて感じさせてくれる、良い物語だった。

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月桃夜の作品紹介

想いは人知れず、この世の終わりまで滾り立つ-。死んでもいいと海を漂う茉莉香に、虚空を彷徨う大鷲が語りかける。熱く狂おしい兄の想いを、お前はなかったことにできるのか?かつて二百年前の奄美にも、許されぬ愛を望んだ兄妹がいた…。苛酷な階級社会で奴隷に生まれた少年は、やがて愛することを知り、運命に抗うことを決意する。第21回「日本ファンタジーノベル大賞」大賞受賞作。

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