- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103223153
感想・レビュー・書評
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「生き方」について、久しぶりに、あれこれと考えさせられる一冊だった。
効率優先、利益至上主義の世の中が、決して日本人を幸福にはしていない・・・という主張は、なるほどな、と思う。ケータイ・ネットに象徴されるIT社会について、著者は「便利になるというプラスの側面があれば、必ず不の側面がある」と述べた上で、「21世紀型のIT社会が与える影響は、因果関係の証明が非常に困難なケースが多い」と主張している。
そのとおりだと思う。テレビやケータイやパソコンが子どもの発育にどんな影響を与えるか、なんてのは実際に子どもを使って実証実験などできるわけがないのだから、どんな説も、仮説の域を出ない。だから、「電子機器が子どもに悪影響」なんて言うとメーカーなんかが「科学的証明がされていない」と反発するのだが、そんなこと、証明できっこないのだ。だから、悪影響が出ないうちに予防線を張るしかない・・・そんなことが、いろいろな例を示しながら、繰り返し述べられている。
後半では、子育てについても、かなり詳しく触れられている。著者が云わんとするのは、「電子メディアに囲まれて育った現代の親世代が”普通の生活”をしている限り、子どもはおかしくならないはずがない」という点だ。
う~ん、怖い。ウチも、テレビとPCの数なら、平均の家庭の3倍はありそうだからなぁ・・・。(そのわりに、テレビ番組はそんなに見ていないのだが)
子どもの前では、テレビのスイッチを消そう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
柳田邦男氏による日本論、日本人論。便利なものを受け入れると、必ず失うものがあるということを読者に何度も何度も訴えている。具体的には携帯、インターネット、IT化の効率主義が蔓延する中、じっくり考える習慣やナイーブな感性、画一的でない対人関係の処理、豊かで味わいのある言葉などなど、人間が人間らしく生きるうえで大事なものを失くしてしまったということが書かれている。私もテレビは全然見ないし携帯に依存することもないので共感できますがノー・ケータイ・デーとかノー・テレビ・デーとかは非現実的すぎると思いました。