プライド

著者 :
  • 新潮社
3.40
  • (16)
  • (81)
  • (72)
  • (24)
  • (5)
本棚登録 : 445
感想 : 71
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103233213

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なんとなく、いつの間にか自分も含めて冷めているというか、低体温というか、熱が感じられなくなったと思う。選択肢が昔より広がったからなのか、汗をかくことは格好悪いからなのか、頑張っても頑張らなくても平穏無事に過ごせるからなのか。もともとパレートの法則いわく、2:8は変わらないからなのか。
    手離れが良いということが重宝され、みんな共有して、責任が曖昧になってる時代に、プライドとは執着心なのか。なんとしてもこれで生きるという覚悟と行動から生まれるのか、それともそれらを生み出す原動力なのだろうか。
    あまりにも日本は背水の陣を長くしきすぎたような気がする。退路を断ったはずなのに、ずるずると時間だけが経ち、ピンチになっていることに麻痺して、当たり前になって、さらにピンチになって、後ろの河を埋め立てて、ずるずると後退して、前に進むことを忘れてしまったんじゃないだろうか。
    著者が書く主人公達は、その理由の良いも悪いも含めて前に進むことを選んだ人たちだ。現実はそんな人は少ない。本当はたくさんいるのかもしれないけど、周りは批評家が多くて、それこそプロフェッショナルとか情熱大陸とかそんな番組に出る人たちが選ばれて対岸の火事のような、非現実感を伴っている。
    でも全ては自分の人生なのだ。熱く生きるか、クールに生きるか、暑苦しく生きるか、選ぶのは自分しかいないし、誰に求めるわけにもいかない。自分がどう生きたいのか、本当に真剣に自分と向き合うことはつらいことだけれども、やっぱり正面からがっぷりよつで考えなきゃいけないと思うきっかけは読みようによっては感じることができると思う。
    自分の人生は自分で決める、当たり前のことを当たり前にできなくなった僕たちに、当たり前の難しさをフィクションとして捉えるのか、きっかけとするかはやっぱり読み手次第なのだろう。熱に浮かれた時代は終わった。もう一度、熱を持つために、どう自分と向き合えばよいのか、もう一度そこから始めることにしよう。

    • だいさん
      真山仁 さんの本好きなんですけれど、
      これは読んでいないです。
      真山仁 さんの本好きなんですけれど、
      これは読んでいないです。
      2013/06/02
    • libraさん
      短編集なので、そこまで深く切り込んでいるかというよりも、朴訥としたそれぞれの生き方を良いも悪いもなく描いていきます。矜持という言葉よりプライ...
      短編集なので、そこまで深く切り込んでいるかというよりも、朴訥としたそれぞれの生き方を良いも悪いもなく描いていきます。矜持という言葉よりプライドということばのほうが通用しやすくなった現代、昔の人たちの考えと最近の人たちの考えはずれてきているのかもしれません。
      2013/07/07
  • 官僚、医者、村の役場、養蜂家などなど色んなエピソードが盛り込まれてる短編小説。共通点は、登場人物が仕事に誇りを持ってそれを守り通していること。
    仕事に熱が入らない時に読みたい一冊。

  • ハゲタカに比べると勢いがない。
    1話目の事業仕分けの話が一番熱いかな。
    すっきり終わらないでこの後どうなったのかという話も入っている。

  • 短編集

  • プロに徹して真面目にいい仕事をしようと思えば手間ヒマかかる。
    でも非効率なところが、意外とその分野では大事だったりする。
    プロが知ってるちょっとしたノウハウが美味しさや品質、
    仕事のできばえの決め手になるのかもしれない。
    非効率だからって無駄とかソンとかでは計れないなと思いました。

    今までのように何でも「安ければ・早ければ・ラクならば・
    売れれば・気づかれなければ・・・」という世の中の考え方を
    本当にそれでいいんですか?と言われてるようで、
    ちょっとハッとしました。

    確かな目・舌・技術・手などを持つ職人さんやプロが
    いなくなってしまわないように、しっかり支えなくちゃ
    いけないなと思いました。
    そのためにも必要な分だけ、品質のよいものを、無駄にせず
    使い切る、欲張らない・・・とか、
    そういうことなら自分にできると思う。

  • 今年は個人的に真山仁の年だった。週刊ダイヤモンド掲載「ハゲタカ3」を含め読めるものは全部読んだ。しかもはずれなし。全て高レベルで感動。
    いつリストラされるか分からない今の時代、プライドを持てる仕事をしっかり自覚してせねばと改めて決意。

  • これもちょっとまえ
    現実とリンクする展開。
    面白かったけど、やはり短編集なので、読み応えがちょっと足りなかったな。

  • 再読。それぞれが内に秘めたる矜持を垣間見せる本。食糧自給率って総カロリーから算出するんだって。輸入品に鶏唐揚げなんかあったらあっと言う間に自給率下がっちゃうよ。数字のマジックだな。

  • 真山さんの短編集は初めて読んだけど、社会の暗い部分をしっかりと書く手法はさすが。
    風刺も交えて書いてあって「ああ、あの事件か」と思い返してみるのも楽しい。

  • 6話の短編、作者の得意とする企業モノ以外の一俵の重み、暴言大臣など政治モノも良かった。

著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

真山仁の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×