野球を学問する

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  • 新潮社 (2010年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103239611

野球を学問するの感想・レビュー・書評

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  • 現役引退後、早稲田大学の大学院に進学し、最優秀論文賞を受賞した桑田真澄の論文内容を伺いしることができる貴重な一冊。
    同時期に発売された原辰徳著"原点―勝ち続ける組織作り"と読み比べることで、さまざまな発見があった。
    両者の決定的な違いは、学生野球の父と言われる、飛田穂洲の捉え方である。

    桑田は自身の経験、また画期的といわれる現役野球選手へのアンケートを武器に飛田野球への疑問を投げかけ、再定義を求める。
    一方、原辰徳が自分の監督の原点と位置付ける父原貢が、本文において原点は飛田穂洲の精神野球であると断言する。
    この二人の違いは、時代性の違いか、投手と野手の違いか、仕えた指導者の違いか、考えながら読むと実に面白い。

    後半、桑田は、飛田野球を再定義する、
    練習量重視→練習の質の重視、絶対服従→尊重、精神の鍛錬→心の調和
    そして、その主張が原辰徳の本文での内容とピタリと一致することに、さらに驚嘆をおぼえる。

    思えばこの二人、同じチームでエースと4番として、監督と選手として、同じ目標に向かって突き進んだ時期がある。
    スタンスは違えど、目指すべきところは同じということか、だから野球は面白い。

  • 桑田真澄と平田竹男さんとの対談形式で書かれている。
    今問題になっている部活での体罰、いじめなどにも触れられている。
    戦前の野球スタイルが今もまだ引きずられている現代の野球に
    警鐘を鳴らしている。
    桑田にコミッショナーやってほしい。

  • ・飛田穂洲「野球道」
     →練習常良(練習では常に最善を尽くすべし)→千本ノック
     →武道には「残心」という心構えがある。心をとぎらせない。茶道もしかり。→ただ勝てばいいのではなく、その行為を通じて、自己の精神の修練を行い、物事の本質に迫ろうとする。
     →「練習量の重視」「精神の鍛錬」「絶対服従」
    ・PL学園から推薦がきても、学校の先生が他の学校を勧めて行かせてくれなかったので、転校。
     →他の学校だと桑田が行けば他に5名一緒に推薦でとってやると言われていた。
    ・高校1年で優勝した後に監督に「練習を3時間にしましょう」と提案。
     →3時間の全体練習の後は、各自の必要な練習(休息)をする。→効率的で合理的な練習。
     →それまでは、ピッチャー陣は早めに練習が終わるが、野手に合わせて無駄にトレーニング。
    (日本の残業にも似ている)
    ・選手は監督に対して、絶対服従をしているが、自分が指導者になったら同じ指導をしたいかという問いには
     50%もいる。
    ・高校1年からプロで投げることをイメージして、ストレートとカーブしかなげなかった。スライダーやフォークなどはプロでは通用しないと知っていたから。
     →だからこそ、打順や点差、なぜこのバッターがここにいるのかなどを考え観察していく。
    ・学生時代の洗濯機の使い方も工夫。
    ・自分自身をリスペクトしないと、プレッシャーの中で平常心を保てない。
    ・「野球道」→スポーツマンシップ
     →練習の質の重視「サイエンス」/尊重「リスペクト」/心の調和「バランス」
    ・絶対服従では勝てない。一人一人がかんがえる必要がある。
    ・サッカーがイタリアやイングランドのスポーツであっても日本ならではの良さを出していけばいい。
    ・諦めようとした時に母親から、何が起こるか分からないから絶対に諦めたらダメと言われ、シャットアウトゲームができた。でもこれは運やツキ。打たれても野手の正面にボールが飛び、アウト。
    ・体の大きさが全然違う清原君に出会って変わった。彼と同じことをしていても絶対に勝てないから。だから自分の長所を生かし、そして運とツキの貯金を考えた。
     →トイレ掃除、ゴミ拾い、挨拶と返事、靴を揃える
    ・ピッチャーはいくら上手くても、頑張っても試合に勝てない。誰かが打って点をとってくれない限り勝てない。だから、いつもチームメイトに感謝して投げる。声かけ、心配りを忘れないようにすると、野手もこいつのために打ってやろう、捕ってやろうとプレーをしてくれる。
    ・真のスポーツマンはスポーツだけではダメ。勉強も人生も!
    ・引退するまで一度も恐くなかった時はない。でも恐いからといって何もしなかったら、何もおきない。勇気を持って挑戦しなければ、何もおきない。

  • スポーツビジネス論のテキストにしてもいいなと感じました。

  • 桑田氏が早稲田の大学院で学んだ理論を紹介する本。
    野球を学問するというのは,野球の技術的なことではなく,それを取り巻く環境などに焦点をあてている。こんなに視野の広く,こんなことを考えている野球選手がいたなんて驚くべきことである。
    一般人が語っていたら,贔屓目に見ても☆3はいかないけど,これだけ経験と実績のある桑田氏の言葉だから重みがある!


    進行役は元通産相の平田先生なのだが,経済や産業に関わる解説はほとんどない。純粋にスポーツをビジネスから切り離して考えたいという意図のように思えるが,スポーツのもたらす経済効果や振興についても言及してもらいたかった。

    ネタバレ:
    桑田氏は単位をとればいい,卒業できればいいという勉強の仕方ではなく,学んだことを本当に身に着けようと思って取り組んでいた。その姿勢は勉学だけではなく,生きていくうえで最も重要だと思う。この強い思いが彼を一流の野球選手にしたのだろう。
    更に周囲の学生からは,期待されたこと以上,教えてもらったこと以上の結果をだそうとする気迫を評価されている。

  • 野球界における悪しき伝統というのは今もまだ残っている部分が多々ある。理不尽な上下関係、根性論などで才能の芽を潰すということは絶対避けなくてはならない。最近でも高校野球の暴力事件などが毎年何件か挙げられる。これは指導者の管理が行き届いていないことから生まれるのであり、高校野球指導者に対してシンポジウムなどをもっと活性化させ指導者の質を高めることが必要だと思った。

  • 日本の野球界に待ったをかける人がどれだけいるんでしょう?
    この人の知性に満ちた野球への愛を感じた1冊です。

    よくぞ学術的に野球界を斬ってくれた!と思いました。
    生きた化石化したスポーツである野球(少なくとも日本において)をなんとかしなければ、今後球界はもっと選手を搾取しつづけ、選手はそれに気付かないであろうな…と思いました。

    「野球だけできればバカ(勉強が出来ない)でもいい」という考え方は間違ってるとずっと思っていたのですが、桑田氏もそう考えていてちょっとうれしかったです。

  • 桑田真澄さんが早稲田大学で学んだことを当時の教授と振り返った対談本。
    桑田さんの生真面目さがよくわかる一冊。
    野球に付き物の、体罰、いじめ、酷使等、野球道と言われてきた日本の野球を研究し、新野球道を作る志は尊敬。僕も息子が野球をはじめて認識したのは、ちゃんとした指導者がいないということ。子供に野球を教えるまでに指導者を育てなければならないということには強烈に同意。
    とくに学生野球に口を出したい人は、最新の身体理論を勉強すべし。水飲むな、1000球投げろ等、勉強不足の親、指導者が多すぎる。桑田さん、頑張って野球界を変えてください。

  • 論点としては興味深い。
    ではあるけれど、掘り下げて論じられているわけではないかな。。
    早稲田でどのようなプロセスで論文を作り上げたかというのがテーマになっている印象。

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