- Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103242260
作品紹介・あらすじ
幕末を斬り裂いた一太刀!イギリス人殺傷事件、薩英戦争、馬関戦争…開国前夜の騒乱と、志士たちの姿を鮮明に描ききった感動巨篇。歴史小説の金字塔。
感想・レビュー・書評
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生麦事件から薩英戦争、倒幕へと時代の潮流を、臨場感たっぷりに感じることが出き面白かった。
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生麦事件と言いながら、話は明治維新まで駆け抜ける。司馬史観のようなファンタジーはあまりなく、割と史実に忠実に描いていると思う。
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吉村昭 「 生麦事件 」
生麦事件から明治維新(日本国建国)直前までの 歴史小説。最後は 維新の英雄が総出演。
攘夷思想が 外国との戦争を通して、開国思想に転換し、日本建国に至ったとする物語。生麦事件は 外国との戦争(日本建国)のキッカケとなったとする論調
1862年 島津久光の大名行列→生麦事件
*前藩主で兄の斉彬の遺言(朝廷の権力を拡大し、公武合体による政治)を実現するため 朝廷へ
*リチャードソンの馬が行列に入る(非礼の行為)→奈良原がリチャードソンを斬る→海江田がとどめを刺す
ニール(陸軍中佐)/イギリス公使館の代理公使
*軍事行動をすれば →日本の攘夷論者が蜂起→全面戦争となる〜これまで維持してきた秩序が破壊される
*下手人処刑、久光の首、賠償金を 薩摩藩に求めた→薩英戦争へ
阿部正外/外国人との事務折衝(神奈川奉行)
*国際感覚の欠如により生麦事件は起きた〜大名行列の先を横切った者は斬られるのが習いは 外国人には通用しない
*事件の根底にあるのは 薩摩藩の大藩の傲慢
毛利敬親(長州藩主)が京へ
*久光の公武合体とは反する〜久光が鹿児島に戻った後は 京は長州藩士により支配→攘夷決行を幕府が命じるように 朝廷に建議
1863年 下関戦争
*ニール→オールコックへ公使変更
*長州の敗戦→和議し、幕府が賠償金を支払
1863年 薩英戦争
*薩摩藩は 生麦事件の責任は幕府にあるとした〜幕府は外国と条約を結ぶ際に国法(国主の威厳を保つべく)を記載しなかったため
*引き分け→イギリスが鹿児島から撤退(攘夷実行)→久光は攘夷に批判的→和議へ=生麦事件の解決→攘夷思想から開国やむなしへ
*薩摩藩は 賠償金の支払とともに イギリス軍艦の購入を申し入れ
「私の言っていることは明白である。それがわからぬのは、あなたの学識が浅く、理解力が乏しいため」
薩摩藩と長州藩の対立と融和
*公武合体を進める薩摩藩 と 攘夷実行を唱える長州藩の対立
*薩摩藩は 薩英戦争の引き分けにより 攘夷の愚かさを知る→列強と和親し、軍備強化
*長州藩は 下関戦争の敗北後、西郷隆盛の寛大な処置により、薩摩藩と融和→倒幕、開国、明治維新へ
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読みだして、たぶん半分くらいまでは、薩摩藩その場しのぎ過ぎ、嘘つきすぎ、日本人日時守らなさすぎ、という方向の感想で、武士の威厳がどうこうとか、国法がどうこうとか、あまり理解できない感じ。半分過ぎてもそうかも・・・。内容としては、幕末時の混乱や、ここまで生麦村での騒動が波紋を広げたのかと詳しく知ることができる気がします。ただ、主人公格となる人物を追うような本ではないので、生麦事件自体の和議成立後は、この先が知りたいと強く思う主軸がないので、読み進め辛かった。
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生麦事件とは、幕末に大名行列を妨害したことで、薩摩藩がイギリス人を切り捨てた事件。
教科書にも載らないような小さな事件だが、これこそが明治維新につながるターニングポイントだったと著者は語る。 -
この本に出会えてよかった!!
これぞ求めていた本です。
明治維新と開国を薩摩藩とイギリスとの出合いをきっかけとしてとらえた作者にリスペクト!!
そう!そうだったんだ。とすべてが納得できます。 -
確かに生麦事件は幕末における一つの転機だと思う
攘夷がいかに夢物語かを気付かされる薩長
事なかれ主義で瓦解してゆく幕府
その明暗がハッキリわかれた事件の全貌を前後含めて
丁寧に描かれております -
日本の歴史のものすごく重要な出来事はものすごくちっぽけなことがきっかけだったのでした。数名の生命が関わってるのに不謹慎かもしれないけれど、倒幕の直接のきっかけにしては小さい出来事でしょう。こんなにエキサイティングな事件を学校の歴史の時間ではどうして見過ごしてしまうんでしょうね・・・