死顔

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著者 : 吉村昭
  • 新潮社 (2006年11月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103242314

死顔の感想・レビュー・書評

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  • 私が近づいているか否か?誰にも判断のしようがない、しかし歳を重ねつつ、いろいろなことを感じながら生きていく。そのいろいろな事は、様々な作家が書いているように、突然に終焉を迎える。いろいろなことを考えながら

  • 吉村昭(1927.5.1~2006.7.31)著「死顔」、2006.11発行、5編が収録され最後の「死顔」は著者の遺作となりました。「新潮」2006年(平成18年)10月号に発表されたものです。父の死、次兄の死のことが書かれています。次兄の妻が病院側の延命措置の申出を辞退したことに「それは正しい。そうであるべきだ」と。また、死は安息の刻、自分の死顔は家族のみに限りたいとの思いを吐露されています。

  • 「二人」「死顔」は次兄の死を目の当たりにした吉村昭さんの死生観について書かれている。
    その他の作品も生と死について真摯に向き合う著者の心が伝わってきて、命の儚さや重さについてとても考えさせられた。
    津村節子さんのあとがきで吉村氏の遺言や最後の彼の姿を知り、私の中でこの本は完結したように思う。

  • 淡々とというんか、お話ではないお話。
    どんなふうに『死』に逝くときに向き合えるのか・・・・
    そんなことを考えたくって選びました。
    あるひとつのむかえ方・・・という感じに読めた本です。

  • 戦争中に母は九男一女を産んだが兄弟たちは貧しい時代に病で次々と死んでいき、高齢になった今、残ったのは二人の兄と自分だけだった。
    そのうちの一人の兄が死を迎えようとしており、横浜に住むもう一人の兄と見舞いを済ませた矢先に、彼は逝った。

    その他短編。
    中学生のときに肺結核を発病し、療養のために温泉地へ滞在していたときに起きた女中の無理心中。
    死にゆく兄の隠し子問題と残された兄弟二人だけになりしみじみとなる冬。
    保護司として介護苦のすえに夫を絞殺した光代の世話をすることになった滋夫の複雑な思い。

    鎖国以来、外国に不条理な条約を結ばされ屈辱を味わった日本人だが、根からの真面目さが垣間見たロシアのクレイスロック号遭難事件。
    兄弟たちや父母の死を見届けてきて、新たに兄の死を経験し、生き残ったのは兄と自分二人となった心境。

    吉村昭氏と津村節子さんが夫婦だと、今更知ったよ。
    単体では知っていたからつながってびっくり。

    人が死んでいくのは当たり前なんだけどなんだか切なくなるものだね。
    どの短編もよかった。
    遺作についてを読んでああ更にしみじみ。)^o^(

  • 最後に帰結するかんじの、死についてのお話。
    これが遺作、となるとちょっと薄ら怖いかんじはしますね。

  • 昨日津村節子『紅梅』読了。
    吉村昭の遺作小説集『死顔』が本棚にあったのを見つけ、読み終わった。5編の小説や小説の材料が収録されている。
    絶筆となった『死顔』は最後まで校正を重ねていて、まだ終わってないことを気にしていた作品。

    次兄の死のことを書いている。

    疲れるのでお見舞いを早く切り上げること。
    亡くなった後、自分は弟であるがあえて駆けつけず、家族だけで別れを惜しむ時間ににしてあげたこと。
    死者の顔を見るのは家族にまかせ自分は遠慮したこと。

    これらのことは吉村昭自身の遺書にも反映されている。
    いかなる延命処置をしないこと、家族だけでの別れ、遺体を焼いてから身内のみの家族葬、死後三日間公表しないこと、弔問、弔花は断り、電話も「取り込んでおりますので失礼します」と取り次の人に答えてもらうことと残った家族への気遣いにあふれている。

    弔電、書簡にもいっさい返事を出さぬこと、
    死顔を家族以外の第三者には見せぬことも明記されている。

  • 遺作になった「死顔」を含む5編の短編収録。

    やっぱり三浦哲郎氏と作風の(私小説を書くという点でも)似ていて好きだなあ。

    「二人」と「死顔」はかなり重なる部分も多い。
    著者は幼いころから「死」というものを間近に見てきて、また自分自身肺結核で一度は命をあきらめたという経験もあることから、「死」に対する具体的なイメージや思いが強かったのだろう。
    「二人」はがん宣告を受ける前の作品である(たぶん)にもかかわらず、その時点で既に、死と直面しながら書きあげた「死顔」と同じ理念でまとめられていることからもそれが見てとれる。

    あとがきで、最期の時、著者が自分で「もう死ぬ」といって点滴やカテーテルを引きぬいたと津村節子氏が書いているが、事実としては知っていたものの、奥様の言葉として読むと、一層その壮絶さが胸にしみる。
    ご家族の複雑な思いを思うと、なんとも言葉がない。


    一番印象に残ったのは殺人を犯した出所者の保護司の話「山茶花」かなあ。

  • 延命処置をせずに死を受け入れた作家:吉村さんの
    遺作です。

    若い頃に自身の結核や戦争で死に直面して死生観が
    確立された吉村さんが描く死への冷静ですが揺れ動く
    心象が見える作品です。

    静かに死を自分との距離で見つめている感じですかね。

    改めて人生の大きな命題は死に対する姿勢と
    感じました。

  • 強く実体験に基づいた三篇と、小説一編、ノンフィクション一編。
    このまとまりのなさも、遺作という意味においてまとまりを見せる。
    次兄の死というモチーフは、「二人」と「死顔」の二篇に展開され、その上に遺作に寄せた妻・津村氏のあとがきも含めると、ただ短編集というよりは、強く死生についてを思うこととなる一冊。

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