あこがれ

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著者 : 川上未映子
  • 新潮社 (2015年10月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103256243

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あこがれの感想・レビュー・書評

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  • 川上さんあんまりたくさんは読んだことはないのですが、どの作品にも共通して感じるのは繊細さと透明感。
    どちらかというと文体は苦手なのですが、描かれている世界に最終的に心がまるっと持ってかれてしまうことが多いです。文学性が高い作品を書かれますね。

    この作品ももれなくそうでした。繊細すぎて胸が痛い。
    ミス・アイスサンドイッチ。素晴らしいネーミング。
    小学生ってこうして何にでもあだ名をつけてしまう子がいつの年代にもいますね。文章のリズムが子供の心のとっ散らかった感がよく出ていてさすがと唸りました。
    描かれている心模様は確かに恋ではなく、あこがれと言った様相。そのさじ加減が抜群にうまいと思いました。
    そして皆さんがもれなく心を捕まれたであろうヘガティーの(ヘガティーもすごい小学生チックなセンスの絶妙なネーミング!)人生を穿った名言。でも子供って時々ナチュラルに人生の確信をついた言葉を放つときがあるのでこの流れ、違和感を感じません。

    ミス・アイスサンドイッチの一件から数年後の、今度はヘガティー側から描かれた家族事情の一編も、確かにある種あこがれを描いていますが、あこがれ、というものはどうしたって切ないものなのだなと思わされます。
    最後、街を泣きながら無茶苦茶に走ってゆくヘガティーと一緒に思わず泣きました。
    「あこがれ」というタイトル、この本はそれ以外にないですね。

    好き嫌いを越えて、川上さんの作品には読まされずにいられない引力を感じます。

  • あー。余韻。
    終わり方が好き。

    川上未映子がこんなに小学生を描くのがうまいとは思わなかった。
    子育ての賜物だろうか。安直?

    ぐらつきながらも、ふたりとも一生懸命生きている。
    アルパチーノ。

  • この小説大好きだ、と思える作品を読み終えたとき、興奮していて上手く感想が出てこない。
    この作品が正にそうで、今とても、じんわりと、興奮している。
    ぼろぼろ泣いてしまった。
    初めのうち読みづらかった長い文章。そういえば何か思ったり考えたりしてるときってこんなふうにまとまりなく心の中で喋ってるなぁと(子どもの頃は特に)思い出して、川上さん凄いなぁと思った。

  • 「誰かへの想い」の二つの結末。あこがれの結果には明と暗があるもの。
    小学4年の麦くんのミス・サンドイッチへの、小学6年のヘガティ―の姉への、あこがれというにはあまりにも不確かな思い。それを支えてくれる友達の存在。
    麦くんとヘガティ―の肩を組んで立つ姿が強く強く心に響く。
    「会えるうちに会っておく」ことって時に残酷。

  • パワーストーンの説明に笑った。

    口に出そうとして、
    結局口にすることのできなかった想いというのは、
    一体どこに行くんだろう。
    私たちは思ってる以上に色々なことに頭をめぐらせて
    言葉で上手く表現することのできない想いや悩みを
    自然と消化しているのかもしれない。
    言語化するとき、捨象するとき、
    そこから必ずこぼれ落ちるものがある。
    そこに慈しみを持たなくてはいけないなと思った。

    他人にこの小説はどんな内容か、を問われるなら、
    一言でいうなら「小学生が階段を一歩かけ上がる話」と説明するが、
    簡潔には言い表せないことを小説は言葉にして紡ぐ。

    「AはBだ」と言い切ることは、とても気持ちが良くて
    はたから見たら「何て賢い人なんだ」と
    思われるかも知れないが、
    自分は何か一言では明確に言い表せないことがあって、
    そこに辿り着くまでに様々な道具を下準備して、
    筋道を立てながら伝える方がタイプだ。

    それはとても地味で地道でじれったくてまだるっこくて、
    準備した割には結構フラフラしたりもして、
    寄り道に反れたり戻ったりして、傍目には不恰好で、
    とてもスマートには見えないかもしれないけど、
    そんな工程を経る文章がとても好きだ。

    著者は、すっと言葉が身体の内側に溶け込んでいくような。
    複雑な感情を適切な文字や文章に落とし込むのが素晴らしい。
    言葉を紡ぐというか、丁寧に編みこんでいく感じが好き。

    ちなみに、ミス・アイスサンドイッチは
    グラビアアイドルの森下悠里さんを
    思い描きながら読み進めました。

  • 過ぎ去ってしまった時間の中で見つめていたものが、目の前に現れた感じがする。
    絵を描くことにこだわりがある麦くんと、父親が映画評論家で銃撃戦のシーンが大好きなヘガティー。

    二人それぞれの目線から「あこがれ」を捉えていて、どちらもストンと落ちるストーリーで良かった。

    ほんとうに生きていく上で大切にしていたい感覚や疑問は、いつの間にか、常識や忙しさに追いやられてしまっている。
    生きていく上では大切な感覚や疑問は、大切にしなくても大丈夫なことなのだろう。
    麦くんとミス・アイスサンドイッチのたった一度の触れ合い。お母さんと、おばあちゃんにまつわる、見たくないもの、消えてゆくもの。
    ヘガティーの苦しさ。アオの苦しさ。

    登場する人、それぞれが何かを見つめ、何かを考えてきたことが、なんとなく分かる。
    心情がはっきりと説明されているわけではないのに、気持ちの書き方が上手いんだなぁと思った。
    川上未映子さんの作品は、じーんと鈍く痛むなぁ。

    アルパチーノ。

  • 自分は女性作家の感性に依存した小説があまり得意ではない。どうにも、その言語の向こうに作者の顔が透けて見えてならないからだ。
    川上未映子はデビュー当時から暫くは、確かに彼女特有の世界を持っていたのだけれど、それは他の女性作家と違って独特の節回し、トゲトゲした言語への挑戦みたいなものがあって、それで好んで読んでいた。
    しかし最近になるにつれて、徐々にその傾向は弱くなり、この作品ではすっかりそのあたりにいそうな普通の女性作家の文章になってしまっているように感じた。
    でも、嫌いじゃない。というかむしろ好きだ。
    出てくる印象的な比喩、「アルパチーノ」という挨拶、それぞれのあだ名、どこか可笑しいそれらがすんなりと自分の中に入ってきて、綿あめを食べている気分になる。
    麦くんとヘガティーそれぞれが主人公の話が一本ずつ収録されているのだけれど、どちらも甲乙つけがたい。
    ミス・アイスサンドイッチは結局どんな顔をしていたのだろう?どうしても『ワンダー』が頭の中をちらつくけれど、こちらは最後までその描写がなされることがなかった。
    ヘガティーの話はこれからのインターネット世代になると、恐らくこういった問題はどんどん増えて行くのだろうなあと思う(自身の親がかつてネットにさらされていた、とかそんなのが)。
    どちらの話も優しく、子供の純粋さに包まれていて、そこに一種の危うさみたいなものを感じないでもないのだけれど、とても良い読書だったと思う。

  • 小学生の麦とへガティー。それからミス・アイスサンドイッチ。

  • 170923

  • 今までもいくつか読んでた、川上未映子。気づかず。
    今回かなり気に入ったので他の作品を見てみると、やはり印象に残ってたものばかり。好きな作家さんにしっかり加えました。
    特に終盤、ヘガティーの子供らしいまとまりのなさと、でも確信をつく考えや、ぐっとくる言葉がとても良い。麦くんも、チグリスも、好きだなぁ。小学校の時の自分の心の中が色々思い出された。辛いことも沢山あったけど、宝物だし、今の自分にもしっかり繋がってる。

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あこがれの作品紹介

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